英語が出来れば、少なくとも情報伝達という点においては、もはや国境は存在しなくなる。
ネットや海外メディアでの世界的評判、そしてRed Hot Chili PeppersやGuns n'Rosesと言った巨人達とのツアーを通じて、彼女たちはエンターテイナーとして確固たる評価を手にした。
彼女たちが向かう先に壁は無いのである。
1974年のデビュー以来ヘヴィメタルという音楽ジャンルを牽引し続けてきた鋼鉄神、ジューダス・プリースト。
初期はプログレ寄りのハード・ロックだったが、1978年の「Stained Class」、そして1980年の「British Steel」で、より重厚でスピード感あるヘヴィメタルサウンドを確立。「Defenders of Faith」「Screaming for Vengeance」「Painkiller」等の名作をリリースし、押しも押されもせぬメタルゴッドとして君臨し続けてきた。そのサウンドはデビューから45年経った今も健在。 ヘヴィメタルはどんな音楽か、と聞かれれば、ジューダス・プリーストを聴いてもらえばそれでいい。
我らが鋼鉄神の名曲20曲をランキング化した。
20.Halls of Valhalla(2014)
2014年のアルバム「Redeemer of Souls」は傑作では無いかもしれないが、いい曲が複数収録されている。「Dragonaut」のタイトなロックサウンドも捨てがたいが、このアルバムではやっぱり一番プリーストらしいと思うのはこの曲。2015年の来日公演時、アルバムを聴かずにライブに挑んでしまったのだが、この曲のカッコよさにはブッとんだ。聴いたことがあるような曲、と言えばまあその通り。
18.Judas Rising(2005) ロブ・ハルフォード復活作となった「Angel of Retribution」の幕開けを飾る曲。荘厳なオープニングからの重厚なメロディ展開が感動的。個人的には初めてリアルタイムで聴いたジューダスの曲なので思い入れポイントも加算。「Angel of Retribution」からはこの1曲しかここでは挙げていないが、「Deal with the Devil」「Worth Fighting For」など佳曲多しの良作。あれからさらに14年経ってますます盛んであろうとは、この時知る由なし。
17.Riding on The Wind(1982)
「Screaming for Vengeance」2曲目(トラックリスト上は3曲目だけど事実上は2曲目)。「Electric Eye」から間髪なしで始まる鮮烈なドラムイントロと一気に空気を変えるリフがカッコ良い。ライブ映えもするし、もっと評価されるべき屈指の名曲だと思う。「嵐の出撃」という邦題もパーフェクト。
16.A Touch of Evil(1990)
「Painkiller」収録のバラード。攻撃性全開の同作において、初期ジューダスの叙情性を感じさせる唯一の曲。ヘヴィなリフとギターソロも秀逸。メタルバンドのバラードというと一歩引いてしまう人もいると思うのだけど、この曲はシンプルなメロディで分かりやすい。ライブでも定番曲の一つ。
15.Living After Midnight(1980)
ライブでは終盤に必演のパーティーロック調の佳曲。ひたすらノリの良い曲であり特筆すべき点も別に無いのかもしれないが、こういった曲を大事にする辺りに、彼らがいつの時代もライブの楽しさを重視してきたことが感じられる。ヘヴィメタルもロックンロールの中の1ジャンルに過ぎないことを、メタルゴッド自らが啓蒙してくれてるような気分になる。この曲を批判するメタルオタクがいるとすれば、それはプリーストのライブを体験したことがない人だ。
14.Between The Hammer and The Anvil(1990)
「Painkiller」がプリーストに取って「第2のデビューアルバム」と呼ばれる最大の所以は、ドラマー、スコット・トラヴィスの加入だと思う。彼が加入しなければ、この激烈なサウンドは実現し得なかった。目が覚めるような強烈なリフとリズム、史上最強レベルのロブのシャウト。ギターソロも素晴らしい。この極端なサウンドでありながらも歌心を感じさせるのがロブの本当にすごいところだと思う。徹頭徹尾凄まじい曲ばかりの「Painkiller」の中でも、際立っている曲の一つ。
10.You've Got Another Thing Comin'(1982)
「Screaming for Vengeance」収録のノリの良いハードロックチューン。僕はIron MaidenよりもJudas Priest派なのだけど、それはプリーストがヘヴィメタルの様式美を保ちつつも、あくまでもロックンロールとして格好良いパフォーマンスを大事にし続けていると感じるからだ(メイデンがそうじゃない、ということではないが、この点についてはプリーストに軍配が上がると僕は思う)。ライブで聴くこの曲のカッコ良さは筆舌に尽くしがたい。
9.Hell Bent for Leather(1978)
1978年「Killing Machine」収録の荒々しいスピード感あふれる名曲。ダークな妖しいイントロ、印象的なリフ、ピロピロギターソロと死角なし。ロブがハーレーにまたがったら大抵この曲。
8.Breaking The Law(1980)
「British Steel」収録。重くて速くてカッコ良い、メタル史に残るメインリフが強烈。シュールすぎる迷作MVも必見。
一応貼っておく。
7.Beyond The Realms of Death(1978)
初期の名バラード。哀愁漂う情熱的なヴォーカルメロディ、そしてギターソロが素晴らしく泣ける。徐々にアグレッシブに移行していく展開も見事。
6.Freewheel Burning(1984)
名盤「Defenders of Faith」のオープニングを飾るバンド随一の疾走系アンセム。親しみやすい硬質なリフと爽快なギターソロ、これぞヘヴィメタルの様式美。
5.Jawbreaker(1984)
「Defenders of Faith」の2曲目。他のアルバムでもそうだけど、プリーストは1曲目から2曲目に持っていく流れがうまい。だから本来はアルバムで聴いた方がいい。緊張感を保ちつつドライブするスピーディーかつメロディアスなリフがかっこいい。最後のシャウトも凄まじい。
4.The Hellion〜 Electric Eye(1982)
「Screaming for Vengeance」のオープニングチューン。メタルゴッドにふさわしい、神々しさを感じさせる荘厳なイントロ、キャッチーに刻むリフとどこか機械的な加工がされたロブのヴォーカル。ライブ版の方がかっこいいとは思う。ヘヴィメタル史上最高の1曲目。
3.Victim of Changes(1976)
「Sad Wings of Destiny」収録の初期の名曲。この時はメタル色は薄く、プログレハードなサウンドだった。Black Sabbath風の途轍もなくヘヴィなリフと、見事な曲構成。最初聴いた時は奇妙さが際立っていて意味が分からなかったが、聴いてるうちに、聴き終えたあとの妙な満足感がクセになった。アレンジ力と作曲能力のすごさに驚嘆するばかり。ぜひライブ版で。
1.The Sentinel(1984)
「Defenders of Faith」収録。重々しいイントロから始まるドラマチックな構成は今も全く色あせない。息が詰まるような緊張感と、勇壮なメロディで疾走する曲展開。最後のサビのたたみかけが見事。重く、劇的で、速い。プリースト、いや、ヘヴィメタルの魅力の全てがこの曲に詰まっている。
20世紀最後のモンスターバンド、ガンズ・アンド・ローゼズ。
彼らは2021年現在、実質5枚しかオリジナルアルバムを出していない。ロック史に残るデビュー作「Appetite For Destruction」、ミニアルバム的な位置付けの「GN'R Lies」、クリエイティビティのピークとなった「Use Your Illusion」の2枚、そして17年の沈黙を経て発売された「Chinese Democracy」。
にも関わらずガンズがハードロック界の頂点であり続けるのは、その楽曲のクオリティの高さ、そしてステージ内外における圧倒的な存在感の衝撃を、今も人々が余韻として引きずっているからだろう。
ライブ活動では復活を果たし、新作も待たれるガンズ・アンド・ローゼズのこれまでの名曲20曲をランキング化した。
20.Used to Love Her(1989)
「GN'R Lies」収録の軽快でキャッチーなアコースティックチューン。ライブにおいても息抜き的な位置付けで演奏されることが多いが、変幻自在なアクセルのヴォーカルが楽しめる佳曲。
19.Street of Dreams(2008)
今でこそ活発にライブ活動をしているが、僕がハードロックを聴き始めた2004年頃、中学生だった僕に取ってガンズ・アンド・ローゼズは伝説上のバンドであり、「Chinese Democracy」は永遠に発売されないと思っていたアルバムだった。とはいえ流出音源はすでに出回っていて、僕も新宿小滝橋通りの「エアーズ」という店でCDを買った(エアーズ覚えてる人います?)。その中で一番気に入っていたのがこの曲だった(デモ音源では「The Blues」という曲名だった)。ありきたりといえばありきたりなピアノバラードだけど、それが良い。実験的なアルバムの中で一番古典的なガンズに近い曲だと感じる。
18.You Ain't The First(1991)
普通この曲をランクインさせるのかどうかは分からないが、個人的にはとても好きなアコースティックチューン。のんびりしたメロディに、気だるそうなアクセルのヴォーカルがアルバムの中である意味異彩を放っている。ギラギラしたハードロックバンドが突然こういう曲をやると、哀愁もひとしお。
16.Don't Cry(1991)
シングルヒットも記録した人気の高いバラード。「Use Your Illusion」1、2にそれぞれ違うバージョンが収録されている(歌詞と、ほんの少しメロディが違う)。バンドを結成した直後の1985年にはすでにイジーとアクセルが書きあげていたらしい。
15.Out Ta Get Me(1987)
「Appetite」4曲目の、痛快なリフと圧巻のヴォーカルが見事なハードロックチューン。始まって3秒で名曲だと分かる曲の完成度もさることながら、ガンズ以外のバンドが演奏したらここまでのエネルギーは生まれないであろうアドレナリン。「Live at The Ritz」でのこの曲の演奏は神懸かり的(下に貼った)。
8.Sweet Child O' Mine(1987)
一般の洋楽リスナーに取ってはガンズと言えばこの曲なのかもしれない。シェリル・クロウ始め多くのアーティストにカバーされた「Appetite」唯一のバラード調の楽曲。サビよりも、イントロのリフが有名。スラッシュはこんなのは曲にならないと当初思っていたが、アクセルが仕上げた。
7.It's So Easy(1987)
「Appetite」2曲目、ガンズを代表するロックチューンの一つ。「Not in This Lifetime Tour」のライブは基本この曲が幕開けに使われた。スタジオバージョンではアクセルの変幻自在のカメレオンボイスを味わえる。
ファックオフ。
3.Nightrain(1987)
サビを含む後半の圧倒的な盛り上がり方はハードロック史上最高のサウンドの一つに挙げてもいいと思う。痺れるほどカッコ良いリフとアクセルのヴォーカルが100点満点。すごすぎる。ガンズは1枚「Greatest Hits」なるベストを(確か、バンドメンバーの許可無く)出しているが、この曲も「It's So Easy」も収録されていない辺りは愚の骨頂。
1.Welcome to The Jungle(1987) Van Halen、Bon Jovi、Motley Crueなど少しチャラめのサウンドが席巻していたアメリカのハードロックシーンに衝撃をもたらした「Appetite」のオープニング曲。リリースされた当初はそこまでヒットしなかったが、「Sweet Child O'Mine」のヒットに伴い、じわじわと口コミが広まった。ハードロック史上最高の曲に挙げる人も多いはず。
18.Tears are Falling(1985)
1985年の「Asylum」収録。アンマスクド時代の代表曲の一つとなった。
17.Do You Love Me(1976)
「地獄の軍団」収録のシンプルでキャッチーなロックンロールチューン。一辺倒でなく、途中からポップに転調するあたりが、大衆性を意識した優れたソングライティング能力を示している。歌いやすく、ライブ定番曲の一つ。
16.Heaven's on Fire(1984)
「Animalize」収録のアンセム風ロックチューン。聴く人が聴けば何となく分かると思うが、デズモンド・チャイルドとの共作曲。Alice Cooperの「House of Fire」やBon Joviの「Lay Your Hands on Me」と同路線。
8.Turn on The Night(1987)
「Crazy Nights」収録のThe 80年代サウンドのキャッチーなロックチューン。ポップさではバンド史上No.1かもしれない。昔ながらのKissファンから賛否両論が巻き起こったのは分からなくも無いが、これを出来が悪いといえるリスナーは居ないだろう。
7.Forever(1989)
「Hot in The Shade」収録のパワーバラード。マイケル・ボルトンとの共作。80年代Kissの最高傑作の一つ。
6.Hard Luck Woman(1976)
伸び伸びとしたアコースティックメロディーが心地よい「Rock and Roll Over(地獄のロックファイヤー)」収録のミッドテンポバラード。実はポール・スタンレーがロッド・スチュワートに提供しようと思って書いた曲なのだが、「Beth」がヒットしたのを見て自分たちでやることにした。そう言われてみると、70年代のロッド・スチュワートが歌っていても1mmも違和感がないサウンド。ポール・スタンレーは天才。
4.Shout it Out Loud(1976)
邦題「狂気の叫び」。Kissの代表曲の一つ。ここからの4曲はほぼ全てのライブで演奏される曲で、そこまで説明は不要な気もする。「Rock n' roll All Night」が成功し、もう1曲アンセムを、ということでこの曲を書いたらしい。
3.I Was Made For Lovin' You(1979)
アルバム「Dynasty」収録。デズモンド・チャイルドとの共作。70年代後半にブームとなっていたディスコサウンドを大胆に取り入れた、やや異色な曲。というより、そもそもディスコチューンを作ろうとしていたのを「ロック風」に仕上げたらしい。
2.Rock n' roll All Night(1975)
「Dressed to Kill(地獄への接吻)」収録。Kissの代名詞的なアンセム。Sladeの「Cum on Feel The Noize」にインスパイアされた。
1.Detroit Rock City(1976)
「地獄の軍団」収録。当時のチャートでは振るわなかったものの、後のハードロック/ヘヴィメタルシーンに大きな影響を与えることとなった名曲。もちろん「デトロイト・メタル・シティ」の元ネタ。
2nd「Peace Sells…But Who's Buying?」、4th「Rust in Peace」、5th「Countdown to Extinction(破滅へのカウントダウン)」は歴史的名盤とされ、1990年から6年連続でグラミー賞にノミネート。
2016年の最新作「Dystopia」もグラミー賞のベストメタルアルバムを受賞した傑作だ。
※知らない人は居ないと思うが、今お茶の間タレントになっているマーティー・フリードマンはMegadeth全盛期を支えた本物の世界的ギタリストだ。