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シンディ・ローパーの名曲20曲ランキング。



インパクトのある歌声、奇抜なファッション、チャーミングなキャラクター。80年代の洋楽を語る上で避けては通れないのが、シンディ・ローパーだ。「We are The World」でやたら目立っていた女性、として認識している人も多いと思う。あの音楽の神々の中において、10秒足らずのソロパートにも関わらずインパクトを残しているという事実がシンディの存在の特異性を物語っている。
日本とも強い絆で結ばれているシンディ・ローパー
その全キャリアの名曲20曲をランキング化した。


20.Unconditional Love(1989)
3rdアルバム「A Night to Remember」収録。最初の2枚のコマーシャルなポップミュージックと比べるとこのアルバム以降はシンディの歌のうまさに重きを置いているように感じる。商業的には失敗したものの、良く聴くといい曲が多い。なぜかシングルカットされなかった情熱的なバラード。


19.You Don't Know(1996)
「Sisters of Avalon」のリードトラック。90年代のシンディは迷走期と捉えられがちだが、このアルバムはいい曲が多く、良かった。メロディアスなミッドテンポの曲がで、シンディの歌手としての凄みを感じられる佳作。


18.Hole in My Heart(All The Way to China)(1989)
「A Night to Remember」収録。シンディが主演した映画「Vibes」用に作られた楽曲。キャッチーでスピーディーなポップロックと、まくし立てるようなヴォーカルがインパクト大。多くの人がイメージするシンディのイメージ通りの楽曲。


17.Boy Blue(1986)
「True Colors」収録。エイズで死んだ少年のことを歌った曲。曲調は爽快感のあるダンスポップだが、サビ部分のシンディの情熱的なシャウトが印象的。シングルの収益はエイズ支援団体に捧げられた。


16.I Don't Want be Your Friend(1989)
「A Night to Remember」収録。この曲はデズモンド・チャイルドのソロアルバム「Discipline」に収録されていて、それがオリジナルだと思っていたのだが、シンディが先だった。劇的で感動的なパワーバラード。


15.I'm Gonna be Strong(1994)
1969年、フランキー・レインが発表した楽曲をシンディの前身バンドBlue Angelがカバー、ソロ独立後の1994年にベストアルバム「Twelve Deadly Cyns」用に再度カバーした楽曲。この1994年版が一番知られていると思う。アカペラ風のアレンジとなっており、シンディの熱い歌声が一番味わえる感動的なナンバー。


14.Sally's Pigeons(1993)
「Hat Full of Stars」収録、シンディ作曲の曲。10代の頃中絶で亡くなった友人について歌っている。静かに穏やかに展開する、サビと呼べるサビが無いように思える内省的な曲だが、メロディは分かりやすい。エルトン・ジョン「Tiny Dancer」のフレーズを含む。


13.When You were Mine(1983)
「She's so Unusual」収録のアップテンポで超分かりやすいポップチューン。1980年のプリンスの曲のカバー。僕はプリンスの大ファンだが、この曲に関してはシンディ・ローパーの方が良くハマっている。


12.Change of Heart(1986)
「True Colors」のオープニングチューン。全体的に緊張感のあるロックサウンドの名曲。バックコーラスはThe Bangles、MVはロンドンのトラファルガー広場で通行人が大勢いる前で撮影された。


11.I Drove All Night(1989)
「A Night to Remember」収録。疾走感のあるサビが印象的なロックチューン。元々はRoy Orbisonの為に作られた曲だったが、彼がリリースする前に亡くなってしまい、結局シンディ版の方が先に世に出た。セリーヌ・ディオンも後に歌ったりしてるのだが、シンディ版が一番サウンドがオーガニックで良い。


10.The Faraway Nearby(1986)
「True Colors」収録の天才的ポップチューン。シングルカットこそされなかったものの、個人的にはシンディの最高傑作の一つだと思っている。シンプルなフレーズメロディの繰り返しではあるが、シンディの声や歌唱法がこの曲を名作たらしめている。


9.The Goonies R' Good Enough(1985)
映画「グーニーズ」の音楽ディレクターを任されたシンディがサントラ用に製作した超キャッチーなポップチューン。サウンドは同時代のDuran Duran辺りに通じるものがある。シンディ自身はあまり好きじゃない曲だったらしく、長らくライブでは演奏されなかった。コミカルでカオスなMVは必見。


8.Rain on Me(2008)
「Bring Ya to The Blink」収録。2000年代のシンディはカヴァー集ばかりだったが、この久しぶりのオリジナルアルバムは高評価を得た。全体的に無機質なエレクトロサウンドが占めている中でこの曲はシンディの魅力全開のバラード。


7.She Bop(1983)
「She's So Usual」収録のダンスポップチューン。音は今聴くとだいぶショボいのだけど、バックのシンセやドラムマシーンの音が斬新。女性の自慰行為を連想させる歌詞で、PTA団体PMRCの「最も不快な15曲リスト」に見事選ばれた。


6.Money Changes Everything(1983)
「She's So Unusual」収録、シンディを象徴する曲の一つ。翌年のマドンナの「Material Girl」しかり、「結局男は金よ!」と言ってのける女性がカッコ良いとされた時代だったのかもしれない。今は男なんぞの収入に頼ろうとすること自体がダサいという風潮になってきているので、こういう曲はあまり聴かない。しかもこの曲も実は1979年にThe Brainsというバンドが発表した曲のカバーだ。いずれにせよシンディを、いや80年代を代表するキャッチーなロックチューンの一つ。


5.All Through The Night(1984
前年ジュレス・シアーが発表した曲のカバーだが、この曲も圧倒的にシンディ版が有名(バックヴォーカルにはジュレス自身が登場している)。シンセサイザーをフィーチャーしたシンプルなサウンドで、シンディの歌の上手さを際立たせている。キャラクターの印象からかシンディを下手ウマだと思っている人が多いが、この人はめちゃくちゃ歌が上手いのだ。


4.Who Let in The Rain(1993)
「Hat Full of Stars」収録のAOR風の感動的なバラード。歌い方は一貫して静かで落ち着いているが、徐々に後ろのサウンドが心地よく華やいでくるのが感動的。素晴らしいメロディを見事にアレンジするとこういうことになる。


3.Girls Just Want to Have Fun(1983)
シンディの代名詞的ナンバーにして、ガールズポップというジャンルを代表するアンセム。ロバート・アザールという歌手が書き、デモ版だけ録音していたのをシンディがカバー。シンセサイザーベースの超キャッチーでややコミカルなサウンド、特徴的な歌声とキャラクターでシンディの名を全米に知らしめた。


2.True Colors(1986)
フィル・コリンズのカバーも知られる名曲中の名曲。静かなメロディとシンディの感情的な歌声がサウンドに幅を持たせている。歌詞は色々な意味で読み取れるが、今ではゲイコミュニティの賛歌の一つにもなっている。


1.Time After Time(1983)
ポップス史に残る名曲であり、日本で最も有名な洋楽ナンバーの一つでもあるラブソング。浮遊感のあるシンセサイザーとギター、刻むようなパーカッションサウンドをベースに、感動的なメロディをシンディが歌いあげる。シンプルながら、誰の心にも永遠に刻まれるサビのメロディ。マイルス・デイヴィスもカバーした。


東日本大震災が発生した直後の3月16日、シンディは横田基地から日本に入り、節電をしながらのコンサートと募金活動を決行した。福島の原発はすでに危機的状況で、海外アーティストが次々と日本公演をキャンセルしていた中での公演だった。急遽チャリティーコンサートとなったこの公演に、日本のファンは涙を流しながら感謝をした。
その1年後にまた来日公演を行い、コンサートは被災地のいくつかの映画館で無料上映され、コンサートの収益も被災地に捧げた。この出来事は多くのテレビでも取り上げられた。
またある日、アルゼンチンの空港で全ての飛行機がストップしてしまい、人々が怒り出す現場に彼女は居合わせた。あろうことかシンディはアナウンス用のマイクを借り、アカペラで歌い出して怒っていた人々を楽しませたのだ。
情熱的な歌声と特徴的なファッションは言わずもがな、ヤンチャさや過激さの裏にかいま見える人間性こそがシンディ・ローパーを愛すべきポップアイコンたらしめているのだ。


マイクスタンドをなぎ倒し、ポリバケツをボコボコに蹴り飛ばし、乱入した客を抱きしめ、のライブパフォーマンス。乱入客はヤラセ風。


Babymetalの英語力が目覚ましく進化した件




2020年現在、一般的な日本人は英語を話せない。英語を話せるというだけでチヤホヤされるのは、先進国では日本くらいのものだ。
ただしこれは、英語を話せなくても日本なら問題なく暮らしていけるから、という合理的な事情によるところが大きい。
しかしエンターテイメントの世界では、事情は変わりつつある。映画も音楽も世界規模のサブスクリプションサービスが登場したことにより、国境は取り払われた。
世界を相手に出来るか出来ないかでは、収入は一ケタ変わる。そして世界を相手にする為には、現状ではどうしても英語が必要になってくるのだ。アメリカやヨーロッパの音楽と映画が世界を支配しているのは、その質以上に、「英語文化である」ことが大きな要因となっている。


そんな中、Babymetalが英語を話せるようになった。つい数年前は対応不可だった海外メディアの英語インタビューを、ほとんど問題無くこなせるようになった。


2016年Loudwireインタビュー

Su-Metal(中元すず香)の英語の発音は元々良かったが、2016年時は英語で返すことは出来なかった。それが今やこのレベルにまでなった。↓


2019年Rocksoundインタビュー

使える単語はまだ限られているようだが、特にSu-Metalは、ネイティブ脳になりつつある。つまり頭の中で日本語→英語という翻訳作業をほとんど行なわずに英語で会話をすることが出来るようになっている。
こうなると、もう英語に対する抵抗はほぼゼロであり、少し勉強をすればそこら辺の頭の悪いネイティブよりも遥かにまともな英語が話せるようになる。

ファンなら周知の通り、Babymetalは欧米のファンの方が多い。彼らに向けて想いを直接発信出来るというのは、告知効果として非常に大きい意味を持つ。
英語をほとんど完璧に会得しつつあるBabymetalは、もはや日本にとどまる理由が無い。
日本のテレビに出る出ない、ドラマの主題歌に採用されたされない、そんなちっぽけなことは気にしなくても良くなったのだ。
Babymetalが世界で活躍していることを日本のメディアが扱わなくても、そんなことは彼女たちにとっては取るに足らない問題なのだ。


少し話がそれるのだけど、良く、仕事で使わないなら英語なんか出来ても意味が無い、と言う人がいる。
しかし言語を習得するというのは、その程度の話ではないと僕は思うのだ。

日本の大学に留学に来てる海外の学生達が将来仕事で日本語を使うと思うだろうか。
言うまでもなく、ほとんどの学生は一生使わない。
そんなことじゃなく、彼らは、漫画や映画、ポップカルチャーと言った文化に惹かれて日本に来ているのだ。
日本語を理解し、より文化を身近に感じてみたいという思いで来てくれているのだ。

さらに英語が分かると、世界の情報にアクセスする力が飛躍的に向上する。
世界の頭のいい人達は基本的に英語で情報を発信している。細かい調べ物をするときにも、日本語で調べてあまり有用な情報が得られない
時は、英語で調べれば世界の誰かがより質の高い、新しい情報を発信している。
日本の媒体を通じてしまうと、そこにはメディアの意図が介入する為、情報の正確性は著しく下がる。この段階でフェイクニュースに変わることも非常に多かったりする。

英語が出来れば、少なくとも情報伝達という点においては、もはや国境は存在しなくなる。
ネットや海外メディアでの世界的評判、そしてRed Hot Chili PeppersやGuns n'Rosesと言った巨人達とのツアーを通じて、彼女たちはエンターテイナーとして確固たる評価を手にした。
彼女たちが向かう先に壁は無いのである。




ジューダス・プリーストの名曲20曲ランキング。



1974年のデビュー以来ヘヴィメタルという音楽ジャンルを牽引し続けてきた鋼鉄神、ジューダス・プリースト
初期はプログレ寄りのハード・ロックだったが、1978年の「Stained Class」、そして1980年の「British Steel」で、より重厚でスピード感あるヘヴィメタルサウンドを確立。「Defenders of Faith」「Screaming for Vengeance」「Painkiller」等の名作をリリースし、押しも押されもせぬメタルゴッドとして君臨し続けてきた。そのサウンドはデビューから45年経った今も健在。
ヘヴィメタルはどんな音楽か、と聞かれれば、ジューダス・プリーストを聴いてもらえばそれでいい。
我らが鋼鉄神の名曲20曲をランキング化した。


20.Halls of Valhalla(2014)
2014年のアルバム「Redeemer of Souls」は傑作では無いかもしれないが、いい曲が複数収録されている。「Dragonaut」のタイトなロックサウンドも捨てがたいが、このアルバムではやっぱり一番プリーストらしいと思うのはこの曲。2015年の来日公演時、アルバムを聴かずにライブに挑んでしまったのだが、この曲のカッコよさにはブッとんだ。聴いたことがあるような曲、と言えばまあその通り。


19.Rapid Fire(1980)
名盤「British Steel」のオープニングを飾る爆走メタルチューン。同時代のNWOBHMムーブメントのバンド達(Raven、Tank辺り)と共通する、ドコドコいうドラムサウンドが可愛らしくて(!?)好き。メロディ展開には乏しいかもしれないが、コテコテなメタルサウンドがカッコいい。


18.Judas Rising(2005)
ロブ・ハルフォード復活作となった「Angel of Retribution」の幕開けを飾る曲。荘厳なオープニングからの重厚なメロディ展開が感動的。個人的には初めてリアルタイムで聴いたジューダスの曲なので思い入れポイントも加算。「Angel of Retribution」からはこの1曲しかここでは挙げていないが、「Deal with the Devil」「Worth Fighting For」など佳曲多しの良作。あれからさらに14年経ってますます盛んであろうとは、この時知る由なし。


17.Riding on The Wind(1982)
「Screaming for Vengeance」2曲目(トラックリスト上は3曲目だけど事実上は2曲目)。「Electric Eye」から間髪なしで始まる鮮烈なドラムイントロと一気に空気を変えるリフがカッコ良い。ライブ映えもするし、もっと評価されるべき屈指の名曲だと思う。「嵐の出撃」という邦題もパーフェクト。


16.A Touch of Evil(1990)
Painkiller」収録のバラード。攻撃性全開の同作において、初期ジューダスの叙情性を感じさせる唯一の曲。ヘヴィなリフとギターソロも秀逸。メタルバンドのバラードというと一歩引いてしまう人もいると思うのだけど、この曲はシンプルなメロディで分かりやすい。ライブでも定番曲の一つ。


15.Living After Midnight(1980)
ライブでは終盤に必演のパーティーロック調の佳曲。ひたすらノリの良い曲であり特筆すべき点も別に無いのかもしれないが、こういった曲を大事にする辺りに、彼らがいつの時代もライブの楽しさを重視してきたことが感じられる。ヘヴィメタルもロックンロールの中の1ジャンルに過ぎないことを、メタルゴッド自らが啓蒙してくれてるような気分になる。この曲を批判するメタルオタクがいるとすれば、それはプリーストのライブを体験したことがない人だ。


14.Between The Hammer and The Anvil(1990)
Painkiller」がプリーストに取って「第2のデビューアルバム」と呼ばれる最大の所以は、ドラマー、スコット・トラヴィスの加入だと思う。彼が加入しなければ、この激烈なサウンドは実現し得なかった。目が覚めるような強烈なリフとリズム、史上最強レベルのロブのシャウト。ギターソロも素晴らしい。この極端なサウンドでありながらも歌心を感じさせるのがロブの本当にすごいところだと思う。徹頭徹尾凄まじい曲ばかりの「Painkiller」の中でも、際立っている曲の一つ。


13.Turbo Lover(1986)
シンセギター、ドラムマシーンを導入して賛否を呼んだアルバム「Turbo」の1曲目。シンプルなメロディを繰り返しながらだんだん盛り上がっていく、これもライブ映えする曲。発売当時は賛否を呼んだものの、今となっては否定的な意見はほとんど聞かないように思う。シンセギターのサウンドはハマっているし、それ以上に、新しいサウンドを追い求めてきたバンドの姿勢に賛同するファンが多いのではないか。


12.Firepower(2018)
目下最新作にして「Painkiller」以来の傑作と呼び声高い「Firepower」タイトルトラック。「Freewheel Burning」や「Painkiller」系統のプリースト流アンセム(ハイトーンではないけども)。ギターソロも熱すぎる。プリーストのカッコ良さを凝縮したような曲。


11.Exciter(1978)
「Stained Class」収録。プリーストのヘヴィメタルサウンドの原点であることはもちろん、現代のスピードメタルの源流でもあると個人的には思っている。音はだいぶ粗いが、疾走感あふれる名曲。


10.You've Got Another Thing Comin'(1982)
「Screaming for Vengeance」収録のノリの良いハードロックチューン。僕はIron MaidenよりもJudas Priest派なのだけど、それはプリーストがヘヴィメタルの様式美を保ちつつも、あくまでもロックンロールとして格好良いパフォーマンスを大事にし続けていると感じるからだ(メイデンがそうじゃない、ということではないが、この点についてはプリーストに軍配が上がると僕は思う)。ライブで聴くこの曲のカッコ良さは筆舌に尽くしがたい。


9.Hell Bent for Leather(1978)
1978年「Killing Machine」収録の荒々しいスピード感あふれる名曲。ダークな妖しいイントロ、印象的なリフ、ピロピロギターソロと死角なし。ロブがハーレーにまたがったら大抵この曲。


8.Breaking The Law(1980)
British Steel」収録。重くて速くてカッコ良い、メタル史に残るメインリフが強烈。シュールすぎる迷作MVも必見。

一応貼っておく。


7.Beyond The Realms of Death(1978)
初期の名バラード。哀愁漂う情熱的なヴォーカルメロディ、そしてギターソロが素晴らしく泣ける。徐々にアグレッシブに移行していく展開も見事。


6.Freewheel Burning(1984
名盤「Defenders of Faith」のオープニングを飾るバンド随一の疾走系アンセム。親しみやすい硬質なリフと爽快なギターソロ、これぞヘヴィメタルの様式美。


5.Jawbreaker(1984
「Defenders of Faith」の2曲目。他のアルバムでもそうだけど、プリーストは1曲目から2曲目に持っていく流れがうまい。だから本来はアルバムで聴いた方がいい。緊張感を保ちつつドライブするスピーディーかつメロディアスなリフがかっこいい。最後のシャウトも凄まじい。


4.The Hellion〜 Electric Eye(1982)
「Screaming for Vengeance」のオープニングチューン。メタルゴッドにふさわしい、神々しさを感じさせる荘厳なイントロ、キャッチーに刻むリフとどこか機械的な加工がされたロブのヴォーカル。ライブ版の方がかっこいいとは思う。ヘヴィメタル史上最高の1曲目。


3.Victim of Changes(1976)
「Sad Wings of Destiny」収録の初期の名曲。この時はメタル色は薄く、プログレハードなサウンドだった。Black Sabbath風の途轍もなくヘヴィなリフと、見事な曲構成。最初聴いた時は奇妙さが際立っていて意味が分からなかったが、聴いてるうちに、聴き終えたあとの妙な満足感がクセになった。アレンジ力と作曲能力のすごさに驚嘆するばかり。ぜひライブ版で。


2.Painkiller(1990)
「頭の中がグルグル回転して、視点が定まらない。アドレナリンがどんどん分泌されて、吐く息も荒い。『Painkiller』は強烈だった。強烈すぎて言葉を飲み込み、まるで熱病に冒されたように、ただただ唸ってばかりいた。PRIESTの偏執狂的マニアなら、この気持ちは分かってくれるだろう。待望のニュー・アルバムのマスター・テープが届けられて2週間以上が経過しているというのに、その興奮は冷めるどころか、ますます増殖し、全身に広がっている。」
伊藤政則氏はアルバム「Painkiller」についてライナーノーツに上記のように書いた。Painkillerヘヴィメタルというジャンルの到達点の一つだということに異論を挟む人はあまりいないだろう。アルバム全編を通じて鼓膜を破るようなヘヴィでスピード感溢れるサウンド、圧巻の曲の完成度で、「Painkiller」はヘヴィメタルという音楽を新たな境地へ押し上げた。
歴史的なドラムのイントロ、嵐のようなリフ、空気を切り裂くツインギターソロ、血管ブチ切れシャウト、全てを備えたこのタイトルトラックはアルバムのサウンドを象徴している。


1.The Sentinel1984
「Defenders of Faith」収録。重々しいイントロから始まるドラマチックな構成は今も全く色あせない。息が詰まるような緊張感と、勇壮なメロディで疾走する曲展開。最後のサビのたたみかけが見事。重く、劇的で、速い。プリースト、いや、ヘヴィメタルの魅力の全てがこの曲に詰まっている。


世界中から絶賛を浴びた最新作「Firepower」はグラミー賞を初め、ありとあらゆる賞を総なめにした。
Judas Priestヘヴィメタルというジャンルへの貢献は言葉で語り尽くせる物ではないが、驚くほどベきことに彼らは今なお、これから自分達に出来ることは何であるのか、未来を見据え続けている。時代の変化を受け止めつつも戦い続ける姿勢、それもまた世界中のメタルファンやアーティストから彼らが尊敬され続ける理由なのだ。




The Sentinel


Babymetalとは何度も共演するなど交流が深い


↓ロブのインスタが面白い、というお話。興味があればどうぞ


ガンズ・アンド・ローゼズの名曲20曲ランキング。

20世紀最後のモンスターバンド、ガンズ・アンド・ローゼズ
彼らは2021年現在、実質5枚しかオリジナルアルバムを出していない。ロック史に残るデビュー作「Appetite For Destruction」、ミニアルバム的な位置付けの「GN'R Lies」、クリエイティビティのピークとなった「Use Your Illusion」の2枚、そして17年の沈黙を経て発売された「Chinese Democracy」。
にも関わらずガンズがハードロック界の頂点であり続けるのは、その楽曲のクオリティの高さ、そしてステージ内外における圧倒的な存在感の衝撃を、今も人々が余韻として引きずっているからだろう。
ライブ活動では復活を果たし、新作も待たれるガンズ・アンド・ローゼズのこれまでの名曲20曲をランキング化した。


20.Used to Love Her(1989)
「GN'R Lies」収録の軽快でキャッチーなアコースティックチューン。ライブにおいても息抜き的な位置付けで演奏されることが多いが、変幻自在なアクセルのヴォーカルが楽しめる佳曲。


19.Street of Dreams(2008)
今でこそ活発にライブ活動をしているが、僕がハードロックを聴き始めた2004年頃、中学生だった僕に取ってガンズ・アンド・ローゼズは伝説上のバンドであり、「Chinese Democracy」は永遠に発売されないと思っていたアルバムだった。とはいえ流出音源はすでに出回っていて、僕も新宿小滝橋通りの「エアーズ」という店でCDを買った(エアーズ覚えてる人います?)。その中で一番気に入っていたのがこの曲だった(デモ音源では「The Blues」という曲名だった)。ありきたりといえばありきたりなピアノバラードだけど、それが良い。実験的なアルバムの中で一番古典的なガンズに近い曲だと感じる。


18.You Ain't The First(1991)
普通この曲をランクインさせるのかどうかは分からないが、個人的にはとても好きなアコースティックチューン。のんびりしたメロディに、気だるそうなアクセルのヴォーカルがアルバムの中である意味異彩を放っている。ギラギラしたハードロックバンドが突然こういう曲をやると、哀愁もひとしお。


17.14 Years(1991)
ジー・ストラドリンが作曲、ヴォーカルを担当した曲。最近表舞台に出てこないが、ソロアルバムの完成度からも見て取れる通り、イジーのソングライターとしての能力は高かった。歌詞はイジーとアクセルの14年間の友情について、とされている。スラッシュのギターソロとアクセルのピアノの絡みも秀逸。イジーは再結成にこそ正式には参加していないものの、アクセルとの仲は今も良好と思われる(何度かライブにはゲスト出演)。


16.Don't Cry(1991)
シングルヒットも記録した人気の高いバラード。「Use Your Illusion」1、2にそれぞれ違うバージョンが収録されている(歌詞と、ほんの少しメロディが違う)。バンドを結成した直後の1985年にはすでにイジーとアクセルが書きあげていたらしい。


15.Out Ta Get Me(1987)
「Appetite」4曲目の、痛快なリフと圧巻のヴォーカルが見事なハードロックチューン。始まって3秒で名曲だと分かる曲の完成度もさることながら、ガンズ以外のバンドが演奏したらここまでのエネルギーは生まれないであろうアドレナリン。「Live at The Ritz」でのこの曲の演奏は神懸かり的(下に貼った)。


14.Rocket Queen(1987)
「Appetite」のエンディングを飾る、ファンの中では非常に人気が高い曲。ガンズに合流する前の「Road Crew」時代にスラッシュとダフが考案していたメインリフに、アクセルが歌詞を付けた。グルーヴ全開の前半と、ギターソロ&女性の喘ぎ声を挟んでの朗らかなポップサウンドの、2部構成になっている。喘ぎ声はアクセルとアドリアナ・スミスがスタジオブース内で実際に事に及んで収録した音。家族でのドライブでは要注意。


13.Better(2008)
Chinese Democracy」発売直後からアルバム内で最も優れた曲の一つとして人気が高まったロックチューン。曲としてはサビが弱いようにも思うが、アクセルの極上のヴォーカルを堪能できる(このアルバムの一番の存在意義はそこだと思う)。


12.Patience(1988)
「GN'R Lies」収録のバラード。ガンズ最大のヒット曲の一つ。アクセルが歌詞を思いつき、それに合わせるようにメロディが作られた。口笛がやたらとうまい。


11.Civil War(1991)
ガンズにしては珍しいメッセージ性の強い反戦ソング。歌詞を抜きにしても、長さを感じさせないドラマチックな曲展開とギターソロが素晴らしい。アクセルのヴォーカルも見事。


10.Paradise City(1987)
ポップなコーラスが際立つアンセム系ロックチューン。ほとんどのライブはこの曲で締めくくられる。ガンズの最もキャッチーな曲の一つ。


9.Mr Brownstone(1987)
イントロからスラッシュ節のグルーヴ全開ロックチューン。ライブでは2曲目か3曲目に演奏されることが多い。高音ヴォーカルではない為、Velvet Revolverやスラッシュのソロライブでも定番曲の一つとなっている。


8.Sweet Child O' Mine(1987)
一般の洋楽リスナーに取ってはガンズと言えばこの曲なのかもしれない。シェリル・クロウ始め多くのアーティストにカバーされた「Appetite」唯一のバラード調の楽曲。サビよりも、イントロのリフが有名。スラッシュはこんなのは曲にならないと当初思っていたが、アクセルが仕上げた。


7.It's So Easy(1987)
「Appetite」2曲目、ガンズを代表するロックチューンの一つ。「Not in This Lifetime Tour」のライブは基本この曲が幕開けに使われた。スタジオバージョンではアクセルの変幻自在のカメレオンボイスを味わえる。
ファックオフ。


6.Estranged(1991)
「November Rain」と並ぶ、アクセル作の長尺バラード。前半は暗く悲しげな曲調だが、ピアノソロを挟んで爽快感のある朗らかなサウンドに転調する。空に突き抜けるようなギターソロがあまりにも感動的。


5.You Could Be Mine(1991)
ターミネーター2」のテーマ曲にもなった疾走系のロックチューン。


4.Locomotive(1991)
刻むようなリフが圧巻の、スラッシュの独壇場。これまた長尺の曲ながら、飽きさせない見事な展開。名曲。


3.Nightrain(1987)
サビを含む後半の圧倒的な盛り上がり方はハードロック史上最高のサウンドの一つに挙げてもいいと思う。痺れるほどカッコ良いリフとアクセルのヴォーカルが100点満点。すごすぎる。ガンズは1枚「Greatest Hits」なるベストを(確か、バンドメンバーの許可無く)出しているが、この曲も「It's So Easy」も収録されていない辺りは愚の骨頂。


2.November Rain(1991)
アクセル作の傑作長尺バラード。ヴォーカルが素晴らしく、曲展開も豊かなので何回でも聴いていられる。もちろんスラッシュのギターソロの素晴らしさは言わずもがな。
Youtubeの公式MV再生回数を今(2019年7月)見たら12億回になっていた。多分、ロック系のビデオとしては最も再生回数が多い。個人的にはビデオの見どころはスラッシュのギターソロくらいだと思うのだけど…。


1.Welcome to The Jungle(1987)
Van HalenBon Jovi、Motley Crueなど少しチャラめのサウンドが席巻していたアメリカのハードロックシーンに衝撃をもたらした「Appetite」のオープニング曲。リリースされた当初はそこまでヒットしなかったが、「Sweet Child O'Mine」のヒットに伴い、じわじわと口コミが広まった。ハードロック史上最高の曲に挙げる人も多いはず。





紆余曲折を経て2016年にスラッシュ、ダフが戻ったガンズ・アンド・ローゼズ。スラッシュもアルバム制作を「ほぼ」明言しており、遠くない内のリリースが有力視されている。



Out Ta Get Me/ Live at The Ritz


キッスの名曲20曲ランキング。


現在解散ツアーを行っているKiss。
これまで何度か「最後のツアー」と銘打ったツアーをやってきたが、ここ数年のポール・スタンレーの言葉を見ると、今回は本当に最後だと考えた方が良さそうだ。

Kissというバンドは、「過大評価されている」と思われがちだが、僕はむしろ過小評価されていると思っている。
なんであんなパーティーロックバンドがQueenAerosmithと同列に語られてるんだろう、と思っている人は少なくないのではないか。
余りにも多くのベスト盤、ライブ盤をリリースしてきたが故、ほとんどの洋楽ファンはそこに収録されている代表曲15曲くらいで止まってしまっていると思う。
確かに70年代の代表曲は大体それでカバーできるのだが、Kissの快進撃はその後も続いていた。
特に、スルーされがちな80年代のアンマスクド(ノーメイク)時代、彼らは音楽的に最も充実した時を過ごしていた。

ここではキッスの全時代を通じた個人的ベスト20曲をランキング化した。


20.Hell or Hallelujah(2012)
名盤と呼ぶにふさわしい「Hell or Hallelujah」のスピーディーなオープニングトラック。重いリフながらキャッチーなコーラスが、これぞKissなロックチューン。


19.Beth(1976)
名盤「Destroyer(地獄の軍団)」収録のピアノバラード。ドラムのピーター・クリスがヴォーカルを務めている。チャート上ではKiss最大のヒットとなった。


18.Tears are Falling(1985)
1985年の「Asylum」収録。アンマスクド時代の代表曲の一つとなった。


17.Do You Love Me(1976)
「地獄の軍団」収録のシンプルでキャッチーなロックンロールチューン。一辺倒でなく、途中からポップに転調するあたりが、大衆性を意識した優れたソングライティング能力を示している。歌いやすく、ライブ定番曲の一つ。


16.Heaven's on Fire(1984
「Animalize」収録のアンセム風ロックチューン。聴く人が聴けば何となく分かると思うが、デズモンド・チャイルドとの共作曲。Alice Cooperの「House of Fire」やBon Joviの「Lay Your Hands on Me」と同路線。


15.Love Gun(1977)
「Love Gun」のタイトル・トラックにして彼らの代表曲の一つ。ストレートな展開と綺麗なコーラスが印象的だが、哀愁も感じられる。これぞKissな名曲。


14.Rise to it(1989)
「Hot in the Shade」のオープニングトラック。ブルージーなアコースティックのイントロからドライブ感溢れるロックチューンに入っていく感じは、当時ヒットしていたCinderellaからヒントを得たらしい。


13.Reason to Live(1987)
個人的には最高傑作だと思っている「Crazy Nights」収録のパワーバラード。どこかで聴いたことがある…と思うのは、やはりデズモンド・チャイルドが絡んでいる為。ポール・スタンレーのヴォーカルが素晴らしい。


12.Domino(1992)
「Revenge」収録の、AC/DC風の重くて痛快なリフが印象的なロックチューン。ジーン・シモンズ作。MVが痺れるほどかっこ良い。


11.My Way(1987)
「Crazy Nights」収録のポップロックチューン。80年代風のキーボードの華やかなサウンドとキャッチーなコーラスが見事。シングルカットはされなかったが、隠れた名曲。


10.Let Me Go, Rock n' roll(1974)
「Hotter Than Hell(地獄の叫び)」収録。神懸かり的にキャッチーでノリが良いリフが何より印象的。最もライブ映えする曲の一つ。


9.Crazy Crazy Nights(1987)
「Crazy Nights」のオープニングトラック。それまでのソリッドなキッスサウンドに80年代風の華やかなキャッチーさを加えたアルバム全体を印象付ける一曲。


8.Turn on The Night(1987)
「Crazy Nights」収録のThe 80年代サウンドのキャッチーなロックチューン。ポップさではバンド史上No.1かもしれない。昔ながらのKissファンから賛否両論が巻き起こったのは分からなくも無いが、これを出来が悪いといえるリスナーは居ないだろう。


7.Forever(1989)
「Hot in The Shade」収録のパワーバラード。マイケル・ボルトンとの共作。80年代Kissの最高傑作の一つ。


6.Hard Luck Woman(1976)
伸び伸びとしたアコースティックメロディーが心地よい「Rock and Roll Over(地獄のロックファイヤー)」収録のミッドテンポバラード。実はポール・スタンレーがロッド・スチュワートに提供しようと思って書いた曲なのだが、「Beth」がヒットしたのを見て自分たちでやることにした。そう言われてみると、70年代のロッド・スチュワートが歌っていても1mmも違和感がないサウンド。ポール・スタンレーは天才。


5.Hold Me, Touch Me(1978)
実際にはポール・スタンレーのソロアルバムに収録された曲なので入れるかどうか迷ったのだけど、Kissのベストにも収録されたりしているので入れた。穏やかなメロディの美しいバラード。


4.Shout it Out Loud(1976)
邦題「狂気の叫び」。Kissの代表曲の一つ。ここからの4曲はほぼ全てのライブで演奏される曲で、そこまで説明は不要な気もする。「Rock n' roll All Night」が成功し、もう1曲アンセムを、ということでこの曲を書いたらしい。


3.I Was Made For Lovin' You(1979)
アルバム「Dynasty」収録。デズモンド・チャイルドとの共作。70年代後半にブームとなっていたディスコサウンドを大胆に取り入れた、やや異色な曲。というより、そもそもディスコチューンを作ろうとしていたのを「ロック風」に仕上げたらしい。


2.Rock n' roll All Night(1975)
「Dressed to Kill(地獄への接吻)」収録。Kissの代名詞的なアンセム。Sladeの「Cum on Feel The Noize」にインスパイアされた。


1.Detroit Rock City(1976)
「地獄の軍団」収録。当時のチャートでは振るわなかったものの、後のハードロック/ヘヴィメタルシーンに大きな影響を与えることとなった名曲。もちろん「デトロイト・メタル・シティ」の元ネタ。


Kissがメイクをして演奏を始めたのには理由があった。
彼らがデビューした当時、ごく一部の例外を除けば、ロックスターは白人でなければならなかったのだ。ロックスターにのし上がっていくうえで、「ユダヤ系である」ことが大きな障害になると考えたジーン・シモンズはこの策を取った。それは結果としてKissを、サウンドのみならず、ファッションやグッズ展開など、ロックビジネスの先駆者としても位置付けることとなった。
結成から46年、ついにKissが解散するようだ。
ベストアルバムしか聴いた事がなければ、是非80年代以降の作品も聴いて見てほしい。ポール・スタンレーとジーン・シモンズの才能の凄さを感じることができるはずだ。




Forever

長く伸びた、曲がりくねった道。


長く伸びた、曲がりくねった道。
あなたの扉へと続く道。
決して消えることの無い、心の道。

私はその道を見たことはあります。
その道を辿ると、いつもここに来てしまいます。
あなたの扉へと続く道なのに。

嵐の夜、大雨にさらされた道なのに、その日流し続けた涙が溜まっていました。
どうして私はここで立ち止まるのでしょうか。
あなたの扉への道を教えて下さい。

私は何度も孤独に陥り、何度も涙しました。
限りない努力を続けてきました。
そしてその度に、この長く伸びた曲がりくねった道へと導かれるのです。

昔々、ここに立ち、待ち続けたこともありました。
今ここで、待ち続けることなく、あなたの扉への道をお教えください。
私をあなたの扉へとお導きください。
ある嵐の夜、大雨にさらされた道なのに。

長く伸びた、曲がりくねった道。
あなたの扉へとお導きください。




咽頭がんを発表。デイヴ・ムステイン大佐を応援しよう!


ヘヴィメタルファンに取っては言葉を失うようなニュースだが、6月17日、Megadethのフロントマン、デイヴ・ムステインが咽頭がんと診断されたことをインスタグラムで発表した。
すでに1.4万件を超える激励コメントが寄せられている。日本のファンのみんなも、是非応援コメントを書きこもう。日本語でもいいと思う(世界中から応援が集まってる感が出る)。



言うまでもないが、Megadethヘヴィメタルというジャンル全体を代表するバンドの1つであり、その創設者、リーダー、ソングライターであるデイヴ・ムステインはヘヴィメタルシーン最高のフロントマンの1人だ。


デイヴ・ムステインは1981年に新聞での求人を通じてMetallicaに加入するも、問題行動が仇となり1983年にバンドをクビになる。
その後Metallicaを超えるバンドを作るべく、たまたま同じアパートに住んでいたデイヴィッド・エレフソンとMegadethを結成。テクニカルかつ複雑な切れ味鋭いリフ、攻撃的な歌詞で世界的人気を博し、Metallica、Slayer、Anthraxらとともにスラッシュメタルの「Big 4」と呼ばれるようになった。

2nd「Peace Sells…But Who's Buying?」、4th「Rust in Peace」、5th「Countdown to Extinction(破滅へのカウントダウン)」は歴史的名盤とされ、1990年から6年連続でグラミー賞にノミネート。
2016年の最新作「Dystopia」もグラミー賞のベストメタルアルバムを受賞した傑作だ。
※知らない人は居ないと思うが、今お茶の間タレントになっているマーティー・フリードマンMegadeth全盛期を支えた本物の世界的ギタリストだ。


その攻撃的な音楽性や過去の経緯から、ヤバい奴と思われがちなデイヴ。
確かにMegadethをスタートした当初はMetallicaへの対抗心から音楽活動をしていたのだろうし、インタビューでも若干引いてしまうような発言も少なくなかった。
しかし時代は流れ、Megadethがデビューしてから36年、デイヴは57歳。
当然彼は丸くなったし、富も名声に手に入れた。
今は対抗心などではなく、より自由で幅広い創作意欲から音楽活動を続けているように感じられる。現にMetallicaのメンバーともすでに和解をしている(ラーズにはまだ不満があるようだが…)。


唯一無二の音楽スタイル、コンスタントな創作活動、圧倒的なライブパフォーマンスでヘヴィメタルというジャンルの進化に多大な貢献をしてきたデイヴ・ムステイン。

治療を無事終え元気を取り戻した彼をステージでまた見られる日を心待ちにしたい。その時はどんなパフォーマンスであれ、全力で拍手を送る。
デイヴが居なかった期間のヘヴィメタルシーンには、きっと彼の形をした穴がぽっかりと空いていたに違いないのだから。
それくらい彼はこのジャンルに取って大きな存在だということを、彼の不在は知らしめてくれるはずだ。
ガンは大佐に勝てやしないのだ。



〜私は咽頭がんであると診断された。
真剣に捉え、正面から向き合わなければならないことだが、私はこれまでだって、幾つもの障害と向き合ってきたのだ。
医者と話し合い、90%以上の確率で治癒できる治療プランを編み出した。治療は既に始まっている。
残念だが、今年のコンサートはほぼ全てキャンセルすることになる。「2019メガクルーズ」は実施され、我々は何らかの形で参加する。

Megadethはツアーに戻ってくる。
出来るだけ早く。

それまでの間、キコ、デイヴィッド、ダークと私はスタジオで「Dystopia」に次ぐアルバム作りを行う。聴くのが自分でも待ちきれない気分だ。
家族、メンバー、医療チーム、トレーナー、全員に感謝をする。
近況はこれからも絶えずみんなに伝える。

また会おう。

デイヴ・ムステイン(インスタグラムコメント)