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フランク・ザッパの名曲10選。


その52年の生涯で60枚ものアルバムを発表したフランク・ザッパ。1993年に亡くなった後も大量の未発表作品が発表され続けている。
ジャンル、国境、人種、あらゆる枠組みを超越した彼の音楽は現代のミュージシャン達に多大な影響を与えた。

今回は20世紀を代表する作曲の鬼、フランク・ザッパの名曲10曲をチョイスした。
フランク・ザッパという名前は良く聞くが、作品が多すぎて手を付けられていない、という人はまずこの10曲をダウンロードしてみよう。


1.Inca Roads(1975)
名盤「One Size Fits All」の1曲目。長い曲だが、ジャズ風のパートや現代音楽風のパート、ギターソロなど展開が豊かなので飽きさせない。歌詞はアンデス山脈にUFOが降りてくるという意味不明なもの。70年代はプログレバンドやデヴィッド・ボウイなどSF風の現実離れしたテーマを扱うアーティストが多く、曲展開も含めてそれらのアーティストをパロディ化した曲だと言われている。


2.Don't Eat The Yellow Snow(1974)
エスキモーになった夢の中で、母親に「ハスキー犬がおしっこした雪は食べるな」と言われた。俺はその黄色い雪を毛皮密猟者の目にすり込んだら奴は目が見えなくなった。奴は凍った犬のフンを俺の目に投げつけた。俺も目が見えなくなった。
これはひどい
しかし歌詞は無視していい。
独特のパーカッションのリズムが素晴らしいこの曲は驚くべきことにヒットになった。


3.Montana(1973)
複雑なファンクリズムとどこが間抜けなサビがクセになる名曲。バックコーラスはティナ・ターナー
モンタナ州デンタルフロスを収穫してデンタルフロス王になることを夢見る、という歌詞。いよいよもって意味が分からないが、このブログタイトルの元ネタとして僕の中でヒットした曲。これについてはまたどっかで書く。


4.Peaches in Regalia(1969)
ライブの定番であり、ザッパの代表曲の一つ。前衛的なフュージョン要素をフィーチャーしたインスト。絶妙に奇妙なメロディがクセになる。これが嫌じゃなければザッパの深みにハマれると思う。


5.My Guitar Wants to Kill Your Mama(1970)
明るい雰囲気のブルーズのリズムとアコースティックのギターソロが素晴らしい名曲。アコースティックに入る前の謎の楽器のマヌケな音でズッコケる。比較的聴きやすい、ハードロックの原型みたいな曲。


6.Cheepnis(1974)
この曲はもっと評価されていいと思う。多分、ライブバージョンしか無い。ホラー映画について歌うコミカルな曲。誰かが銅鑼をぶっ叩いて突然メロディをぶち壊して「モンスターから避難しろ!避難しろ!」と叫び出すところが至高。


7.Waka/Jawaka(1972)
爽快なジャズロック風のインスト。トランペット、シンセサイザーが軽やかに疾走する感動的な曲。ジャズロックとはいうものの、非常に聴きやすいサウンド


8.G-Spot Tornado(1986)
Gスポットトルネード。
1986年のインストアルバム「地獄からのジャズ」に収録された曲。変拍子の極致、あまりにも難曲すぎて「人間には演奏できない」と判断したザッパはデジタルシンセサイザーでこの曲を収録した。しかしザッパの遺作となったライブアルバム「The Yellow Shark」で、ザッパ自らが指揮を取りこの曲のアンサンブルを成功させた。このとき相当に癌が進行しており、演奏終了後に涙を見せるザッパの姿には心打たれる。


9.Dancin' Fool(1979)
70年代のディスコカルチャーを完全にコケにした曲。喜劇風のメロディに、サビはスピード感あるディスコ。後半に馬鹿っぽく女性を口説くセリフが入る。


10.Joe's Garage(1979)
3枚組のロックオペラ超大作「ジョーのガレージ」タイトルトラック。オペラ全体は音楽が禁止された監視社会での物語。生涯を通じて自由と権利の絶対的な擁護者だったザッパの「表現の自由、検閲の反対」にまつわるメッセージが伝わってくる。のどかなサウンドながらサックスありドゥーワップありのザッパワールド全開の名曲。


おそらく、よほどの音楽好きで無い限り、ほとんどの人はフランク・ザッパの音楽など聴いたことは無いのではないかと思う。
しかし彼は自由、多作、知的、革新的な存在であり続け、世界中のミュージシャンから尊敬される天才アーティスト。
その生涯を通じて音楽の自由さを体現してきたフランク・ザッパの音楽に是非触れてみてほしい。



死の直前となったライブ。演奏終了後、ステージから引き上げたザッパは客の歓声を聴きながら目を潤ませる。