ロックカルチャーは、もともと「既成概念への対抗」や「自由の信奉」といった、どちらかというとリベラル寄りのイデオロギーを含有している。
つまり、成り立ちからしてLGBT権利拡大との親和性が高い。
アーティスト達がLGBTであるかどうか、というのは、彼らの音楽を前にすれば取るに足らない問題だ。
しかし一方、彼らのカミングアウトや発言は、LGBTのみならず、多くのマイノリティに勇気を与えてくれる。
ここでは、社会の少数者に勇気を与えてくれるロック界のヒーロー達を紹介する。
エルトン・ジョン
1970年代にバイセクシュアルであると公言し、その約10年後にゲイであることをカミングアウト。2005年に男性の恋人と結婚している。
ロブ・ハルフォード
周知の事実ではあったものの、90年代にゲイをカミングアウト。LGBTのメタルファンに大きな勇気を与えている。
リジー・ヘイル
Halestormのヴォーカル&ギター。2014年にバイセクシュアルであることをカミングアウトした。
デイヴィッド・ボウイ
1972年にゲイをカミングアウト、1976年にバイセクシュアルをカミングアウト、その後ストレートなど、実際のところどうだったのかは分からない。自身にキャラクター性を持たせる為の発言とも思われるが、彼が実際にどうだったか、ということより、とにかく彼がLGBTの肯定を主張していた、という事実が肝心。
フレディー・マーキュリー
「ボヘミアン・ラプソディ」でもご覧の通り、1984年から亡くなるまでジム・ハットンと交際した。ジムはフレディが命を落とす時までそばに寄り添っていた。またジムはフレディによると思われるHIVに感染したが、心配をかけたくないが為、そのことを口外していなかった。フレディの死は、LGBTの認知に大きな影響を与えた。
ジャニス・ジョップリン
時代もあり(1960年代)カミングアウトはしなかったが、複数の男性や女性と自由な交際をしていた。
ボーイ・ジョージ
元カルチャー・クラブのヴォーカル。1985年からバイセクシュアルであることを公言。自伝やドキュメンタリー映画の中で、過去の恋愛経歴や、悩みなどを語っている。
ビリー・ジョー・アームストロング
Green Dayヴォーカル兼ギター。
1995年にバイセクシュアルを公言。
「バークリーやサンフランシスコに住んでると、人々は自身がゲイやバイセクシュアルやトランスジェンダーや、何にせよ、そのことをオープンに話す。ゲイの結婚が認められつつあり、それは全体の受容性に良い影響を与える。これは社会に取って、発見のプロセスでもある。僕も、何にだってチャレンジしていくつもりだ。」
モリッシー
ザ・スミスのヴォーカルとして知られる。
彼の性的嗜好は、長年に渡りイギリスのマスコミから好奇の的とされた。
「僕はゲイやバイといった言葉を使いたくはない。そういった人がポップカルチャーに存在しているのは重要なことだと思う。しかしそれらの単語は時として人を傷つけ、困惑させ、不幸にする。だからその言葉を使うことをやめにしたいんだ。」
デズモンド・チャイルド
Bon Jovi、Aerosmith、Kissなどの数々の名曲を手掛けてきた名プロデューサー。男性と結婚し、養子として迎え入れた双子の息子を育て上げた。両腕に掘られている「Nyro」「Roman」は息子達の名前。
アダム・ランバート
オーディション番組「アメリカン・アイドル」でブレイク、現在Queenのフロントマンとしてツアーを行っている。
現代のLGBT権利拡大活動の旗振り役の一人であり、数多くのチャリティー活動を立ち上げている。
「僕を有名にしてくれたこの社会に大きな恩を感じている。この著名性を、善い行いに使うことで世の中に恩返しをする責任が僕にはある。」
リトル・リチャード
ロックンロールの創始者の一人。
子供の頃、言動が女の子っぽいことが理由で父親から嫌われ、友人からいじめにも合う。
「白人の女を追わない奴だと白人の男に理解してもらう為にも、必ず毎朝化粧をする。しかも化粧は自分をカラフルにしてくれるから一石二鳥だ。」
とはいえそのルックスから、女性人気は非常に高かった。
ルー・リード
The Velvet Undergroundのヴォーカル兼ギター。
1960年代に、バイセクシュアルを公言した最初のミュージシャンの一人。実際に彼がゲイであったのかどうかは不明ともされているが、1960年代において、彼の言動や歌詞で「ストレートじゃなくていいんだ」と多くのロックファンが勇気づけられた。
ジョージ・マイケル
Whamで有名になり、ソロでも活躍したイギリスの国民的シンガー。
多くの対エイズキャンペーン活動を行った。
ピンク
LGBT以外にも動物愛護、子供の保護など多くのキャンペーン活動に参加している。
自身の性的嗜好については「定義していない。その必要性を感じない」としている。
世界中に広がりつつあるLGBTの権利拡大運動だが、道はまだ半ば。
10人に1人はLGBT。
何もおかしいことではないのだと彼らは体現し続ける。