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マドンナの名曲20曲ランキング。

MVでは祭壇でセックスをし、黒人から宗教的な救いを受け、異性同性入り乱れて乱行をする。
つまるところ、それの何が悪いのか?

マドンナが世界のエンターテイメントシーンに与えてきた影響は数字では計り知れない。
ダンス、ファッション、ミュージックビデオ、映画といったあらゆるジャンルでマドンナは既存の価値観に対して声を挙げ、その声は大きかった。
宗教、セックス、人種、フェミニズム、あらゆるタブーを打ち破ってきた彼女の活動は、現在のLGBT運動、BLM(Black Lives Matter)運動にまで少なからぬ影響を与えている。
アルバム売り上げは3億枚。史上最も大きな「声」を持った女性アーティストの、1983年のデビューから今に至るまでの楽曲ベスト20をランキング化した。


20.Lucky Star(1983)
マドンナ自身が作詞作曲した、デビューアルバムからの4枚目のシングル。マドンナに取って最初の大ヒット曲となった。アップテンポのダンスビートをベースにしたキャッチーな曲。なにより、初期のマドンナの鼻にかかったような歌声が魅力的。今のダンスミュージックと違って機械的過ぎないサウンドで、活力が感じられる。このビデオのメイクやファッションをアメリカ中の10代が真似をした。


19.Cherish(1989)
「Like a Prayer」収録の、マドンナにしては可愛らしいポップなラブソング。アルバム自体は宗教をテーマにした重厚な雰囲気で、朗らかなのはこの曲くらい。モータウン調の爽快なメロディと歌が非常に魅力的。ビデオでは男のイケメン人魚達に取り囲まれる(その内の一匹とのちにちょっとだけ付き合った)。


18.Drowned World/ Substitute for Love(1998)
名作「Ray of Light」のオープニングトラック。当時マドンナが傾倒していた東洋神学やヨガの影響を大きく受けた神秘的な空気感に包まれたアルバムを象徴する1曲。それでいて聴き手を遠ざけることの無いキャッチーさも兼ね備えている。これまでのマドンナとは一線を画した、地声での歌唱も特徴的。


17.Open Your Heart(1986)
シンプルなポップロックチューン。元々はシンディ・ローパーに提供する為に書かれた曲だが、マドンナが歌うこととなった。独特なパーカッションのリズムと80年代っぽい爽快で分かりやすいコーラスの完成度が高い。「あなたの鍵でこじ開けて」、というのは多分隠喩。


16.What it Feels Like A Girl(2000)
「Music」収録のバラード調エレクトロポップ。静かなメロディの中に憂鬱さや怒りが感じられる。
暴力的と批判されたMVは午後9時以前の放映が禁止された。
この世界が女に取ってどんな場所か分かるか。
20年経った今でもこのメッセージは伝わり切っていない。


15.Burning Up(1983)
マドンナがデビューアルバムを作る前からデモテープを作っていた最初期の楽曲の一つ。作詞作曲も自身の手による。80年代風のドラムマシーンとシンセサイザーサウンドが際立つ、パンク調のダンスチューン。同じくデビューアルバム収録の「Luckey Star」「Borderline」のようにヒットはしなかったが、名曲だと思う。


14.Frozen(1998)
「Ray of Light」収録。サントラ風のメランコリックなメロディとエレクトロサウンドが見事な傑作。アルバム全体の雰囲気同様、退廃的でスピリチュアルなMVも素晴らしい。


13.Live to Tell(1986)
3rd「True Blue」の第一弾シングル。前作の勢いそのままに出したこのアルバムだが、それまでのちょいエロダンスアイドル風のイメージとは異なる大人風バラードを先行シングルにおいたことで、マドンナはアーティストとして第二段階に入った。神秘性やメッセージ性を押し出したこのアルバムで、マドンナはその影響力をさらに高めることとなった。ヒットしたバラードがあまり多くない中で、この曲をマドンナのキャリア最高のバラードと評するファンは多い。


12.Ray of Light(1998)
「Ray of Light」タイトルトラック。 イギリスのフォークデュオ、Curtiss Maldoonの "Sepheryn "をベースに、疾走感のある見事なダンスチューンに仕上げている。


11.Justify My Love(1990)
レニー・クラヴィッツとの共作。SMや同性愛を含むセクシャルな歌詞とビデオが話題になりがちだが、それを差し置いてもいい曲だと思う。重いビートとマドンナのささやくようなヴォーカルが妖しい雰囲気を出している。


10.Holiday(1983)
デビューアルバム収録、マドンナ最初のヒット曲となった。シンプルな曲ながら、弾けるようなマドンナのヴォーカルと爽快なパーカッションが聴き手を飽きさせない。どっかそこら辺のスタジオで撮影しただけみたいなMVも味。


9.Crazy For You(1985)
マドンナっぽくないと言えばぽくない、いい意味でThe 80年代の華やかなパワーバラード。カーペンターズの楽曲やマイケル・ジャクソン「Human Nature」の作詞を担当したジョン・ベティスが作曲。ライブ版も最高。MVを見れば分かる通り、どちらかというと体を求めてる内容。


8.Music(2000)
8枚目のアルバム「Music」タイトルトラック。前作「Ray of Light」から作風が大きく変わり、アルバム全体がダンスミュージック路線で構成されている。スティングのライブを観て触発されたマドンナが自身で書き下ろした、音楽に対する賛歌のような内容。賛否あるものの加工されたマドンナのヴォーカルや普遍的なディスコビートが◯。


7.Vogue(1990)
世界30か国以上で1位を獲得したマドンナのキャリア象徴する曲の一つ。70年代のディスコサウンドに影響されたハウスミュージックで、ファッションアイコンとしてのマドンナのイメージを確立させた(ただ実際には雑誌ヴォーグのことを歌った曲ではない)。


6.Borderline(1983)
ポップさとマドンナと甘ったるい声、哀愁のあるメロディと、80年代のいい所を詰め込んだ名曲。当時の青春ドラマ風のチープなMVもいい。若いマドンナの瑞々しさ満点。


5.Hung Up(2005)
「Confessions On The Dance Floor」収録。ABBAの「Gimme!Gimme!Gimme!」をサンプリングしたダンスチューン。世界43か国のシングルチャートで1位を獲得し、マドンナ健在を印象付けた。


4.Express Yourself(1989)
「Like A Prayer」収録のダンスアンセムフェミニズムを全面に打ち出しているという点で最もマドンナらしい曲とも言える。保守的な女性から解放される、という内容のMVも必見。


3.Like A Virgin(1984
こちらもポップ史に残るアンセム。ビリー・スタインバーグとトム・ケリーが作曲した当初は男性が主人公のバラードだったが、これをナイル・ロジャースが見事にプロデュースし、マドンナの代表曲となった。


2.Material Girl(1984
「Like A Virgin」収録。タイトルトラックと並んでマドンナを象徴する名曲。軽快で印象的なリズムはジャクソンズの「Can You Feel It」がオリジナル。MVではマリリン・モンローをオマージュ。


1.Like A Prayer(1989)
傑作「Like A Prayer」の力強いタイトル・トラック。マドンナがソングライティングに深く携わり、真の表現者としてキャリアを築き始めたのはこのアルバムから。MVではK.K.Kの十字架や、黒人の牧師にキスをするシーンなどが登場し、バチカンから非難された。そういった経緯を抜きにしても強力なコーラスと、終盤のゴスペルが感動的な名曲。


「Like A Prayer」から30年以上が経った今、世界はマシになったか。いや、それどころか人種差別主義者が世界最高権力者になったり、「黒人の命も大事」という幼児レベルのスローガンを叫ばなければならないほどに、何も変わっていないように思える。

声を挙げること。

史上最も大きな声を持った女性アーティストであるマドンナの言葉に、僕らは今改めて耳を傾けた方がいい。


Like A Prayer(1989)