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テイラー・スウィフトの名曲30曲ランキング(2021年時点)。

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一度、自分の能力以上のスーパースターにまで祭り上げられてしまうと、アーティストは自分の心、自分の音楽を見失いがちになる。
そこんところ2010年代を少し不安に過ごしていたテイラーファンは少なくないのではないかと思う。
アコースティックベースのフォークサウンドからダンスや現代ポップ調にサウンドは移行。さらにルックスの良さからセクシー路線で宣伝されるようになり、気がつけば、批判を恐れずに言うと、テイラー・スウィフトは白人特権の体現者となっていた。彼女がこの地位にまで登りつめたのは、音楽以外の要因が大きい。
世界中の大衆達は彼女が書いた詞など気にせず、「かわいい、真っ白、細い、顔ちっちゃー、シュッとしてはる」の嵐。
曲は確かにテイラーが書いたという一貫した痕跡はあるものの、その内きっと外部のイケイケソングライターが書いて、悪徳プロデューサー色に染まっちまうに違いない、という空気感すらあった。
しかしそんな心配は不要だった。
2020年に2枚立て続けにリリースした「Folklore」と「Evermore」では大仰なサウンドプロダクションを取っ払い、ソングライターとしてのプライドをこれでもかと見せつけたのだ。
サウンドの変化も、周囲からの押し付けではなく、彼女の音楽的才能の表現だ。
テイラー・スウィフトは全人類憧れのスターである前に、圧倒的な才能を持ったソングライターなのだ。
曲が良ければ、それをどんなサウンドやプロモーションで飾り付けするかは自由。ただし曲が先だ。テイラー・スウィフトは曲を書ける。
わずか14年のキャリアで8枚のアルバムを出し、その曲を基本全て自分自身で作詞作曲してきたのだ。
それも、途方もなく過酷なツアーとプロモーション活動を繰り広げ続けるなかで。
21世紀が産んだ音楽界最大のスターにして才能あふれるソングライター、テイラー・スウィフトの名曲30曲をランキング化した。


30.Fearless(2008)
2nd「Fearless」のタイトル曲。どのアーティストに取っても2枚目のアルバムは鬼門だが、デビュー作を上回るポップさと一貫したカントリーサウンドで、このアルバムは音楽界から絶賛を受けた。雨、ドライブ、ファーストキスなど、テイラーの歌詞の定番になる要素も多く含んだ透明感あるラブソング。


29.Shake It Off(2014)
「1989」収録。あのハイパーメディアプロデューサーことマックス・マーティンが付き、地獄のような邦題「シェイク・イット・オフ〜気にしてなんかいられないっ!!」で売り出し、「あ、ヤバいかも…」と不安にさせられたピークの楽曲である。
しかし悔しながらもプロデューサーというのはやはり偉大なもので、ヒットするのも納得がいく、猿でも分かる強烈なダンス・チューンに仕上がっている。
私も猿の仲間なので、このリズムを聴いて何も感じないと言えば、それは嘘になる。


28.Teardrops On My Guitar(2006)
デビュー作収録のバラード。「Tim Mcgrow」と並んでテイラー・スウィフトの才能を世界に知らしめた曲。15、6才でこんな曲を書いたのだから、誰がなんと言おうと天才。


27.Mirrorball(2020)
「Folklore」収録。このアルバムは約10年続けてきたポップのアレンジを排除して、内省的なサウンドと感情的な歌詞に重きを置いている。売れ線をあえて脱却したのだ。ささやくような歌声と、自分の弱さや自意識過剰な感じを受け入れるような歌詞もいい。


26.We Are Never Ever Getting Back Together(2012)
多分日本では「Shake It Off」と並んで知られている曲。テレビで1億回くらい流れているので知らない人はいないと思う。「Red」収録。「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない」というこれまた痛めの邦題が付けられた。邦題にするならもっと短くすりゃいいのに。テイラー初のチャート1位シングルであり、理由はやはり異様に耳に残るリズムと、女子の共感を得る歌詞によると思う。これが「たのむからヨリを戻してくれ」だったらそんなには売れなかったと思う。テラハの主題歌にも採用されない。


25.Death By A Thousand Cuts(2019)
「Lover」収録。ネトフリ映画の『サムワン・グレート 〜輝く人に〜』に触発されて書いた失恋ソングだとのちに明かされている。メロディはテイラー節全開で、キラキラしたアレンジもいい。


24.The Story Of Us(2010)
「Speak Now」収録。歌詞が分からずとも、強力なフックとメロディ、疾走感のあるロック調で耳を鷲掴みにされる(そういう表現あるか?)名曲。何かしらの主題歌になったらめちゃくちゃ売れそうな曲。


23.Invisible String(2020)
「Folklore」収録のフォーク調の曲。元彼の子どもにプレゼントを贈るわたし、大人になったわ、という曲。どの元彼かは不明。


22.Holy Ground(2012)
「Red」収録。こういう曲を聴くと、テイラー・スウィフトは悲しい曲を軽快に表現する達人だとつくづく思う。一聴すると疾走感ある爽快な曲なのだが、早く次に進んで踊りたいのだけど、あんたとじゃなきゃ踊りたいとも思わないの、どうすりゃいいのさ、という恋愛ジレンマ的内容。


21.Our Song(2006)
初期テイラーの代表曲。朗らかなカントリーサウンド×皮肉たっぷりな歌詞と、テイラーの音楽の核となる部分がハッキリと示されている。こんな名曲を10代で書いているというのはやはり驚異的なのである。


20.Picture To Burn(2006)
デビュー作収録のロック調の曲。親しみやすいギターメロディと、女子の共感を得たに違いない、別れた男の写真を燃やしてやる、という内容。邦題は「焚書坑儒」です。多分。


19.Mine(2010)
「Speak Now」のリードシングル。「Speak Now」はやや存在感の薄いアルバムなのかもしれないが、いい曲が多く、適度にポップなアレンジが絶妙な名盤と思う。キャッチーさ前回のメロディ展開はもはや職人技。


18.Fifteen(2008)
「Fearless」収録。哀愁あるメロディと歌声、完璧な構成とシンプルながらも模範的なポップソングだと思う。高校に入学して、これから色々青春があるわよ、という内容。中高一貫の男子校だった僕は何も共感できない。記憶すらない。


17.Lover(2019)
「Lover」タイトル曲。このアルバムはダンスリズムは抑えめで、それまでは無かった、レトロなサウンドが全編に渡っている。個人的にはかなり好きなアルバム。Duffyあたりを彷彿とさせる浮遊感あるサウンドと艶っぽいヴォーカルがいい。Duffyは復活しないのでしょうか。もう10年待ってます。


16.Champagne Problems(2020)
「Evermore」収録のピアノバラード。共同作曲者にWilliam Boweryとクレジットされているが、これは進行形彼氏の俳優ジョー・アルウィンペンネームである。同じ日の夜に、彼氏は結婚を切り出そうとしてて、彼女は別れようと言おうとしてる、という曲。
こういう場合、男は女性側の熱が冷めてきていることを察知していて、別れることへの張り裂けんばかりの恐怖から勢い任せで結婚してくれ、と言っているパターンが多いです。
女性は冷静に対応しましょう。


15.The Last Great American Dinasty(2020)
「Folklore」収録。この曲はテイラーが購入した家の元住人で大富豪だったレベッカ・ハークネスについて歌っていて、自身のことも投影している。破滅的で最高の人生を過ごしてるわ、というロックスター的内容。


14.Out Of The Woods(2014)
「1989」収録。このアルバムを最初聴いたときは正直加工されすぎた音に若干引いてしまったのだけど、この曲はいい。一度聴いたら丸一日脳内再生されるメロディです。元彼のことを思い出す歌。


13.Dear John(2010)
「Speak Now」収録のカントリーバラード。ジョンというのは一瞬お付き合いしたジョン・メイヤーのことらしい。「めちゃくちゃ遊び人だよあの人、やめときなって」と周りに言われながらも突っ走ってしまい後悔してます、あなたが捨ててきた女たちもみんな泣いてるわよ、という内容。


12.Style(2014)
「1989」収録。個人的には、歌詞が少し時代錯誤(なんか白人至上主義時代の理想スタイルっぽい)な気もしなくはないのだけど、それは多分考えすぎなのでしょう。シンプルで緊張感あるエレクトロ・ポップ。


11.Cornelia Streets(2019)
「Lover」収録。アルバムのなかでは多分最もメロディアスでキャッチーな曲。コーネリア・ストリートというのはニューヨークにある、かつてテイラーが部屋を借りていた通りの名前。


10.Delicate(2017)
「Reputation」収録。攻撃的な曲が多いアルバムの中では比較的穏やかな曲。タイトル通りのはかなさを感じさせる繊細なサウンドも表現力抜群。評判最悪の私でも大丈夫?という内容。セレブになった葛藤が見られます。


9.Cruel Summer(2019)
「Lover」収録。厚みのある浮遊感のあるサウンドとポップなメロディで悲しげな内容を歌う、テイラーの真骨頂。前作「Reputation」のトゲを振り払うような朗らかな曲。でも失恋ソングです。


8.Getaway Car(2017)
「Reputation」収録。ソングライターとしての威厳を見せつけるキャッチーさとエネルギーを備えた名曲。元カレと別れるために今カレを利用しようしたらいざこざになって結局どっちともうまくいかなかったという内容。ちゃんと別れてからの方がいいよ、という教訓です。


7.Forever And Always(2008)
「Fearless」収録。疾走感溢れるメロディと哀愁のカントリーサウンドが魅力的な名曲。シングルカットこそされなかったものの、アルバムのデラックス版にはピアノバージョンも収録されているが、オリジナルのカントリーバージョンの方がいいと思う。そういえば、なにやら権利関係のゴタゴタで、アルバム6枚を再収録するらしい。恐らくあまりアレンジしたりはせずに収録するのだと思うけど、ヴォーカルは今の方が成長しているので楽しみです。


6.Blank Space(2012)
「Red」収録。ああ、シンガーソングライターからポップスターに移行した象徴的な曲である。ただリズムは印象的で、歌詞もメディアに対する皮肉たっぷりと、テイラー節は炸裂。
ウルトラ大金持ち、全人類あこがれの的、最高の美容エステに毎日行けて最高の服もジュエリーも好きなだけ買える、どんな男もイチコロ、音楽やらなくてもやしゃごの代まで遊んで暮らせる、曲なんか金を出せば買える、という環境になったなかで、ミュージシャンとしての魂を失わずに自分らしい曲作りを続けてきたことが偉い。普通は頭がおかしくなります。


5.Enchanted(2010)
「Speak Now」収録のパワーバラード。「Love Story」の続編的ラブソングで、ギターソロも秀逸。アダム・ヤングについて歌っているとのこと。


4.State Of Grace(2012)
「Red」収録。U2やミューズを思わせる、疾走するリズムと浮遊感あるギターサウンドが爽快な、1曲目にぴったりな力強いアンセム系の曲。


3.Love Story(2008)
「Fearless」収録。キャッチーなカントリーポップで、シングルが世界で1800万枚売れた。ロミオとジュリエットのジュリエット目線で書かれた、おとぎ話系ラブソング。


2.You Belong With Me(2008)
「Fearless」収録の疾走感ある名曲。キャッチーさではナンバーワンの青春ラブソング。


1.All Too Well(2012)
「Red」収録。今のところテイラー・スウィフトの最高傑作はこの曲ではないかと思っている。ダイナミックなメロディのバラードで徐々にロック調になる展開もいけている。失恋ソングの大作。


そんなアホな、という感じかもしれないが、テイラー・スウィフトはミュージシャンとして過小評価されている、というのが僕の感想だ。
あまりにそれ以外の要素が強すぎて、彼女のソングライティング能力のすごさは見落とされがちだと思う。
(音楽活動さえ続けてくれれば、)テイラー・スウィフトは今後30年も40年も音楽界に君臨できる偉大なシンガーソングライターだと思う。
テイラー・スウィフトと2ヶ月違いのタメである僕としては、この学年から生まれた最大のスターを応援し続けたい。
あっちは世界の頂点、こっちは千葉県の底辺という違いこそあるものの、同時代に生まれ、同時代に30代に突入し、同時に老いていくという点では同じなのだ。一見してそれとは分からずも、科学的には同じ生物なのである。
1989年〜1990年世代のみんな、これからも頑張っていこう。テイラー・スウィフトと同級生なんだぜ。