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アイアン・メイデンの名曲30曲ランキング(2021年時点)。

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アイアン・メイデンのアルバムを聴くという行為は、興奮と感動、意外性に満ちた小説を読み進めていくのに近い体験だと個人的に思っている。聴き終えた時の満足感や、「いい物に触れることが出来た」という充実感は何物にも代えがたい。
リズムの速さ、激しく唸るような2本のリードギター、めまぐるしい展開、叙情的な歌詞を絶叫するヴォーカル、へヴィメタルの持つ全てのエッセンスがここに集約されていると言っても過言では無い。1975年の結成から40年以上。メタル界に君臨し続ける生きる伝説アイアン・メイデンの名曲をピックアップした。


30.Running Free(1980)
デビュー・アルバム収録。メイデンにしては珍しいストレートなロックチューン。最初の2枚のアルバムは、スティーブ・ハリスの幻想性とポール・ディアノのパンク・スタイルがうまく融合していた。この曲は後者寄り。今もライブの定番ではあるが、こういうタイプの曲はポール・ディアノの歌声の方が説得力がある。


29.Empire Of The Clouds(2015)
今のところの最新作「Book Of Souls」収録。「Book Of Souls」は多分ほとんどのファンの想定を上回る濃密な2枚組大傑作となり、しかもブルースは舌癌の真っ只中に居たのに関わらず見事なヴォーカルを見せつけた。それを象徴するのが18分に及ぶこのバンド史上最長の曲。アイアン・メイデンの長尺の曲というのは、長くすることが目的ではなく、様々な要素を足していったら長くなった、というもので、情報量が多い。だからちょっと疲れたりもするのだが、聴き終えて理解出来た時のカタルシスは何事にも変えがたい。これは経験した人でないと分かりづらい快感だと思う。ブルース自身の飛行機愛と、1930年に実際に起きた飛行船事故がテーマとなっている曲で、バラード調で始まるが、物語のように転調を重ねていく。


28.Talisman(2010)
「The Final Frontier」収録、こちらも9分の長尺。アコースティックの哀愁漂う民族音楽風のイントロから一気に緊張感あるリフに転調する。お約束感もあるものの、聴きごたえ満点。サビのメロディも秀逸、ソロもカッコいい。「The Final Frontier」では最高の曲だと思う。ライブアルバム「En Vivo」版も必聴。


27.Flight Of Icarus(1983)
傑作「Piece Of Mind」収録。このアルバムは「The Trooper」の存在感が抜けているが、秀逸な曲多し。この曲は勇壮なコーラスが魅力。コンパクトにまとまったアメリカ向けの曲ではあるものの、こういう曲を書けたからこそ、ただのNWOBHMバンドではとどまらなかったのだ。商業的なのかと言うと、そんなことは全然無いと思う。スティーブはこの曲を嫌い長らくライブではやっていなかったものの、2018年にセットリストに復帰した。「Live After Death」版も必聴。


26.Judas By My Guide(1992)
「Fear Of The Dark」収録。なぜベスト盤にももされずライブの定番にもならないのか分からない超名曲だと個人的には思う。メイデン史上最も過小評価されてるのではないかと思っている滅茶苦茶カッコいい曲。切れ味抜群のリフと拳を突き上げたくなるような「Aces High」ばりの勇壮なコーラスに鳥肌。どう聴いても1曲目の「Be Quick Or Be Dead」や2曲目の「From Hear To Eternity」よりいい曲なのだが、なぜかあまり知られていない。


25.Prowler(1980)
デビューアルバム1曲目。メロディアスなリフにメイデンらしさが感じられるが、この時のメイデンの魅力はそれ以上にフックのある展開とスピード感、そしてそれにマッチしたポール・ディアノのヴォーカルだと思う。メイデンの複雑な感じが苦手な人は少なくないと思うが、このデビューアルバムはマジでカッコいいので聴いて欲しい。NWOBHMらしい、少し雑なサウンドも味。


24.Revelations(1983)
「Piece Of Mind」収録。メロディアスで哀愁溢れるオープニングから攻撃的なリフへの転調というお家芸が一番分かりやすく表れてるのがこの曲だと思う。サビがどこなのかは良く分からない。リフがサビ。


23.For The Greater Good of God(2006)
「A Mattter Of Life And Death」収録。個人的にメイデンの凄さに初めて気づいたアルバムで、その中でも完成度が高いのがこの曲。ヘヴィでキャッチーさもあり、テーマが重厚。こんなに音楽にメッセージ、芸術性、才能の全てをぶち込み、しかも伝説のバンドであるにも関わらず最新作をライブで完全再現するというアーティストとしてのプライドに高校生の僕はマジでぶったまげた。一方では世間ではカスの様な音楽が流行っていて、なんじゃこりゃ世の中おかしいぜ、と僕は感じたのだった。派手な曲はないけど、今聴いてもなかなか凄いアルバムだと思う。


22.Ides Of March〜Wrathchild(1981)
「Killers」収録。ヘヴィメタルサウンドハウスという伊藤政則氏の年末のイベントに行っていた僕はこのイントロを知ってはいたものの(イベントはこのイントロから始まるのだ)それが「Ides Of March」だということはだいぶ後から知った。あろうことか「Killers」を聴いたことがなかったのだ。誰も教えてくれなかったし。ホラー映画的なこのイントロからパンクとメタルが融合したシンプルな「Wrathchild」への流れは理屈抜きでカッコいい。何の変哲も無い曲と言えば、まあそうかもしれない。


21.Children Of The Damned(1982)
「The Number Of The Beast」収録。派手な曲ではないが(特にこのアルバムの中では)、ブラック・サバス的な威圧感のあるホラー感が個人的にはとても好き。短い曲だけど、ちゃんとスピード転調もある。


20.Alexander The Great(1986)
「Somewhere In Time」収録。アルバムの最後は大作というお決まりに漏れずの長尺曲(8分台だからメイデン的には普通かもしれないけど)。勇壮な前半もいいが、4分くらいから始まるテンポのいい変調リズムとそこからのギターソロのぶつかり合いが劇的な名曲。


19.Dance Of Death(2003)
「Dance Of Death」のタイトルトラック。世間的な評判ではこのアルバムが21世紀メイデンの最高傑作とされている。静かな始まりからメタルチューンへの転調、ドラマチックでメロディアスなギターソロ、キャッチーな変拍子、メイデン要素の全てが詰め込まれた名曲。


18.Afraid To Shoot Strangers(1992)
「Fear Of The Dark」収録。静かというか語りかけるようなメロディから勇壮なメタルチューンに転調するのだが、この曲の醍醐味はギターメロディ。2分40秒と5分50秒から始まるメロディのフレーズがなにより劇的で感動的。湾岸戦争の恐怖がテーマとなっている。


17.Wickerman(2000)
「Brave New World」一曲目。ブルースとエイドリアン・スミスの凱旋カムバックを象徴するストレートなメタルチューン。ここから始まる21世紀の快進撃は80年代の黄金期をも上回る成功をバンドにもたらした。


16.Pachendale(2003)
「Dance Of Death」収録のエイドリアン・スミス作の大作。戦争をテーマにした曲で一番ズシンとくるのがこの曲だと思う。壮大なメロディを軸に複雑で緻密なアレンジを試みていて、例に漏れず情報量が多い。歌詞を読みながら聴くと泣けてくる。


15.Two Minutes To Midnight(1984
「Powerslave」収録。ライブには必須のどストレートな古典的メタルチューン。「Aces High」からこの曲への完璧な流れはメタル史に残る。


14.Seventh Son Of A Seventh Son(1988)
ファンの中では最高傑作との声も少なくない「Seventh Son Of A Seventh Son」タイトルトラック。大作だが、歌が入ってるのは4分半くらいまで。2つのパートに分かれており、息を飲む様な緊張感に満ちた前半〜間奏、サントラ的な壮大さを誇る後半と、交響曲を聴き進めていくようで感動的。この曲のカッコ良さを表現するのは中々難しい。


13.Iron Maiden(1980)
デビューアルバム収録、バンドのテーマソングに恥じない名曲。全体的にパンキッシュでありながら緊張感のあるメタルリフ、キャッチーなコーラスと、初期のメイデンも爆発的なエネルギーを凝縮した1曲。


12.If Eternity Should Fail(2015)
「Books Of Souls」1曲目。傑作のオープニングに相応しい名曲。不気味な雄叫びから始まる勇壮なギターメロディと古典的なメイデンリズム。第二次ブルース時代のメイデンのアルバムはどれも良作だったが、2015年になってこれほどの名盤を発表するとはほとんどの人は予想していなかった。


11.Powerslave(1984
ブルース作曲の「Powerslave」タイトル・トラック。荒々しく緊迫感溢れるブルースのヴォーカル、神懸かり的なデイヴ・マーレーのソロ
が見事な記念碑的楽曲。「Aces High」「Two Minutes Midnight」のインパクトが強いアルバムだが、佳曲多し。


10.Run To The Hills(1982)
NWOBHMバンドの一つに過ぎなかったメイデンが頭一つ抜け出して世界的バンドになったのは、こういう曲を書き、それを完璧に表現することが出来たからだ。ブルース時代最初のシングルとなったこの曲は商業的とまでは言わないものの、パンクをベースにしていた初期2枚の楽曲と比較すると親しみやすくアメリカ向けだった。


9.Wasted Years(1986)
「Caught Somewhere In Time」収録、エイドリアン・スミス作。バンド最高のシンガロングコーラスソング。ラジオ向けのメロディアスな曲だが、疾走するリフがめちゃくちゃカッコ良い。80年代L.Aメタル風のソロもとても良い。


8.The Number Of The Beast(1982)
ホラー風のナレーションとブルースの人間離れした高音シャウトで幕を開ける歴史的メタル・アンセム。「聖者の行進」を大胆に取り入れた斬新なメロディと歌いやすいコーラス、全編を覆う悪魔的祝祭感が最高の1曲。


7.Rhyme Of The Ancient Mariner(1984
「Powerslave」収録の14分間の叙事詩。2015年の「Empire Of The Clouds」(18分)が出るまではバンド史上最長曲だった。長尺ではあるものの劇的で緊張感あふれる展開が高密度にまとまっていて、さすがの構成力。歌詞の繰り返しが全く無いあたりが地味にヤバい。一本の映画を観ているような名曲。


6.Aces High(1984
メタル史上最高の曲に挙げる人も少なくないであろう「Powerslave」のオープニング・トラック。チャーチルのスピーチに始まるアドレナリンに満ちた勇壮なリフとコーラスは最強。ヘヴィ・メタルというのはこういうものだ的名曲。


5.Phantom Of The Opera(1980)
デビュー・アルバム収録。スティーブ・ハリスが最初に試みた独創的かつ重厚なプログレ楽曲。何やら螺旋を描くようなオープニングのリフから、飛び跳ねるような中盤へのドラマチックな曲展開は見事。リアルタイムで聴いたらさぞかし衝撃を受けただろうな、とつくづく感じる。


4.The Evil That Men Do(1988)
「Seventh Son Of A Seventh Son」収録の名曲中の名曲。渋さすら感じさせる哀愁溢れるギターメロディとブルースの歌声の融合が至高。メタルサウンドの海に飲まれそうになる4分半。


3.Fear Of The Dark(1992)
「Fear Of The Dark」タイトル・トラック。哀愁あるメロディをベースに静と動を行き来する劇的な展開はメイデンの真骨頂。25万人を動員した2002年のRock In Rioバージョンが決定版。不朽の名曲。


2.The Trooper(1983)
「Piece Of Mind」収録。超攻撃的なリフとブルースの吠えるようなヴォーカルを一気に体感できる時代を超越したメタルのお手本的名曲。サビのコーラスの歌詞が何故か無いが、そんなことは気にならない。全編がサビなのである。


1.Hallowed Be Thy Name(1982)
「The Number Of The Beast」収録。ホラー感ある叙情性、華やかな曲調、スリリングな場面展開、心地よいリズム感と劇的なメロディが組み合わさった、メタル史に残る完璧すぎる名曲。ブルースのオペラのごときヴォーカルと終盤のインストパートも悶絶モノ。


ヘヴィメタルというジャンルにおける最重要バンド、アイアン・メイデン。彼らは過去の栄光に捉われることなく、21世紀に入っても新たな傑作を生み続けている。2020年5月の日本公演はあいにくキャンセルとなってしまったが、このパンデミックが落ち着けば、また新たな楽曲を携えてツアーに戻ってくれるはずである。それまでの間は、偉大なるメタルの聖者たちの軌跡を改めて振り返り、焦らず待とう。