海外メディアが報じる日本

海外メディアが日本の出来事をどう報じているか?解説付きで日々お届けします

Babymetalが今さら紅白に出るわけ

f:id:mottie024:20201118195447j:plain

今年の紅白にBabymetalが出る、というニュースを耳にして、多くのファンは「今さらなんで紅白?」と思ったんじゃなかろうか。今や欧米でアリーナ公演を行い、世界のメタルフェスのビッグアーティスト枠に収まっている彼女たちは、もはや紅白歌合戦などという国内のテレビショーに収まる存在ではないのだ。

今年Babymetalが紅白に出場することになった大きな理由は、欧米における新型コロナウイルスの感染拡大状況にある。ご存じの通り、アメリカやヨーロッパの感染拡大は全く収まらず、それどころか日に日に最悪ペースを更新し続けている地獄の様相。多くの関係者は当初2021年の後半にはコンサートは出来るようになる、と見ていたが、今はそういう状況では無くなった。客を入れてのコンサートは2022年まではどう考えても無理、というのが現時点(2020年11月)の音楽界の一致した見解であり、すでに2021年のコンサートをその翌年に延期する動きが本格化している。2021年秋のフェス、例えば英ダウンロードフェスティバルなどはアナウンスこそされているものの、ほぼ100%潰れると推測されている。アナウンスをしているのは「万が一」やれるとなった時に、アナウンスをしておかなければ開催出来ないからであり、2021年はまず無理、というのが大方の見方だ。

ただ日本での状況は少しこれとは異なる。欧米と比較すればまだ感染拡大は抑えられている状況(とされていて)、スポーツやイベントなど、人数制限を行ったうえでの興行はすでに開始されている。ライブハウスやアリーナの運営サイドとしては国内アーティストで可能な限り回していく方向に舵を切っている。人数が制限されているのだから、出来るだけ少ない出費で数をこなさないとならないが、いずれにせよ、国内においては限定的な形とはいえ、そしてそれがいつまで続けられるかも分からないとは言え、今のところ興行はできる。

さてBabymetal。

現在彼女たちの収入の大きな部分はグッズ販売も含めた欧米でのコンサート活動から来ていて、それはつまり2020年に引き続き2021年も上記のことから大幅な収入減が確実ということを意味する。しかもこれが2022年に復活するという保証も全く無いのだ。

そこで彼女たちは少なくとも2021年については、この数年置いてけぼりにしてしまっていた「日本の一般層」を改めて開拓することに注力しようと判断したと思われる。今まで断ってきた紅白歌合戦への参加、そして先日発表された武道館10連公演で派手に周知を図り、今のうちに国内での立ち位置を盤石にしておくという寸法だ。

紅白参加の宣伝効果については言うまでもない。正直なところ年々その価値は下がっているような気もするのだが、普段積極的に音楽を聴かない層の人々、好きなアイドルグループや歌手以外のジャンルは聴かないという人も、何となく見てしまっているのが紅白歌合戦だ。多分。

Babymetalに取っては今さら紅白だが、されど紅白。ここで国内での認知度を改めて固め、色んな意味で安心の状態でコロナ明けの世界にまた立ち向かっていってほしい。頑張れ。