海外メディアが報じる日本

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アヴリル・ラヴィーンの希望。


Head Above Water/ Avril Lavigne(2019)

あれから色々あった。
流行とは残酷なもので、日本で一番有名な洋楽アーティストの1人であるアヴリル・ラヴィーンが今年新作を出したことはあまり話題になっていない。
そもそもアヴリル・ラヴィーン知名度が日本でここまで高くなったのは、ガールズロックと呼ばれる物が2000年代前半には珍しかったこと、加えてそのルックスが要因だったと思う。Mステを見て、全日本人が衝撃を受けたのだ。

今となってはガールズロックは珍しくもなんともないので(というよりガールズロックなんていうジャンルはそもそも無いと思うのだけど)、2000年代前半のイメージが染みついてしまっているアヴリルの新作が話題にならないのは当然かもしれない。

しかし、色々あった。
2015年、アヴリルは難病を患い、半年間寝たきりの状態となった。離婚もした。
新作はどん底からの復活作と位置づけられる。
これまでのイメージを覆す全裸にギター1本のジャケットや力強い歌声、曲調からは、これまでのカラを破って新たにシンガーソングライターとしてスタートを切っていく、決意や希望が表れているように感じる。
闘病中のベッドで書かれたのが、タイトルトラックの「Head Above Water」。
これを1曲目、先行シングルに持ってくるあたりが、これまでのアヴリル・ラヴィーン像との決別を意味しているように思う。
苦しみの中で、生きる希望を叫ぶ強烈な曲だ。


神よ、私の頭を水中に沈めないで
どんどん苦しくなる、溺れさせないで
待っているから助けに来て
死ぬには早すぎる