海外メディアが報じる日本

海外メディアが日本の出来事をどう報じているか?解説付きで日々お届けします

アルバムレビュー

世界が変化しているのであれば、変わらない方がいいものもある。 AC/DC「Power Up」レビュー

2014年の「Rock Or Bust」をリリースして以来、AC/DCには多くのことが起きた。アルバムのプロモーションツアー中に、バンドの支柱であるマルコム・ヤングは認知症のために引退を余儀なくされ、ブライアン・ジョンソンも重度の聴覚障害のために脱退。ドラマー…

平和と希望。Bon Jovi「2020」レビュー

2002年の「Bounce」(9.11テロと、ニューヨークの復興がテーマだった)以来、ボン・ジョヴィは社会問題への考えを音楽で表現するようになった。戦争、人種差別、ホームレス、権利を奪われた人々…。それはジョン・ボン・ジョヴィが社会に恩返しをしたいと感じ…

一番とっつきやすいプリンス作品。Prince/Prince(1979)

きっかけが何であれ、「プリンスを聴いてみたい」と思った時点で、あなたは上位3%の音楽好きに入るだろう。テレビドラマを見て、人気ゲームをダウンロードして、Youtuberの動画を見ているだけでは「プリンスの音楽を聴いてみよう」なんて発想には至らないと…

ポールとコリイの絆。

自殺した2人の友人に対し、あるミュージシャンが心ない投稿をした。「自殺なんて、腰抜けもいいとこだ!」その発言に、彼は反応した。「そう言ってしまうのは簡単なことだ。どんなに深刻な問題かを考えず、事実に背を向けて、何事も起こってないかのようなフ…

Humanic/ H.E.R.O(2019)

今のところ2019年のハードロック界最注目のニューカマーと言っていいであろう、デンマークの3人組H.E.R.Oのデビューアルバムが遂にリリース。読み方は「ヒーロー」だ。ニューカマーとは言うものの、2014年にはすでにシングル「Superpowers」をリリースしてお…

アヴリル・ラヴィーンの希望。

Head Above Water/ Avril Lavigne(2019)あれから色々あった。 流行とは残酷なもので、日本で一番有名な洋楽アーティストの1人であるアヴリル・ラヴィーンが今年新作を出したことはあまり話題になっていない。 そもそもアヴリル・ラヴィーンの知名度が日本…

Prequelle/ Ghost(2018)

多分、今欧米と日本で最も評価の差が著しいバンドがGhostだ。日本では最近ようやく名前が知られてきた程度だが、欧米ではフェスのヘッドライナークラスの超大物となっている。メタルを背負って立っているといっていいすぎではない。とはいうものの。Ghostの…

Greatest H.E.A.Ts/ H.E.A.T(2018)

すでにメロディアスハードの第一人者としての地位を築いているスウェーデンのH.E.A.T初のベストアルバム。 メロハーバンドとしては珍しくその評価は欧米でもほぼ同様の物となっている。というかFair Warning辺りが全く知られていない分、H.E.A.Tについては欧…

Been Meaning to Tell You/ Ina Forsman(2019)

フィンランドの24歳のシンガーソングライター「イナ・フォルスマン」の2ndアルバム。 これは素晴らしい。 ジャンルはブルースとされているみたいだけど、ピアノ、ギター、サックスを多用していて曲調はバラエティに富んでいる。 もちろん全曲彼女自身が作曲…

Piano and Microphone/ Prince(2018)

プリンスの未発表曲は全部で10000曲分以上あるらしい。 1万曲って。これは1983年自宅スタジオで収録されたピアノ弾き語り音源集。 去年発売された。音源集というか、自宅のピアノを適当に弾きながら歌ってたのをたまたまカセットに録音してた、くらいの内容…

「支援と勇気付け」。

Strength in Numb333/ Fever333(2019)中継先ではあらゆる年齢、人種、宗教、性別の人が「変化」を求めてデモ暴動を起こしている。 女性記者が男性に「あなたは今日何をしに来たのですか?世界に、何を伝えたいのですか?」と聞く。 男性は叫ぶ。 「俺はみ…

勇気を出して15年ぶりくらいにダンボ鑑賞。

ダンボ公開は1941年だから、なんと78年前の映画だ。日本もアメリカもヨーロッパも絶賛戦争中でした。 この映画は個人的にはお母さんと檻越しに会うシーンが悲しすぎてちょっと観るのを避けてきたんだけど(火垂の墓理論)、3月に実写版が公開されるようなの…

Soilwork/ 現実〜VERKLIGHETEN(2019)

Soilworkは今作で、音のメジャー化に完全に成功したと言っていいのではないだろうか。 当初デスメタルバンドだったが、ここにあるのはTrivium辺りを彷彿とさせるモダンヘヴィネスサウンド。ミッドテンポやアリーナサウンド、クリーンヴォーカルが増えた。要…

ロイヤルストリートのBGMの話。

ディズニーファン以外の方に説明しておくと、ロイヤルストリートというのは、カリブの海賊脇の、古き良きアメリカンな感じになってる路地のことだ。ガラス細工の店とか香水の店とかがあって結構楽しい。アトラクションは無いけど、いい雰囲気なので通ってお…

60年代のロンドンにタイムスリップ!「マイ・ジェネレーション〜ロンドンをぶっとばせ〜」

ロック好き、ファッション好きなら、その文化が産声を上げた当時の映像資料を観るのは興奮できる体験なのではないだろうか。1/5からBunkamuraで上映されている「MyGeneration〜ロンドンをぶっとばせ〜」は最適な映画だ。名優マイケル・ケインが、当時の自分…

「ヘラクレス」の音楽の底力。

ディズニー・オン・クラシックス2018のライブアルバム。 「ヘラクレス」にフィーチャーしたのは、とても面白いアイディアだと思う。ここ数年ハデスだけハロウィンイベントで大活躍中だけど、映画自体はあまり日本での知名度が高くない気がする。ストーリーは…

フランス最大のロックバンド、「Gojira」をオススメしたい理由。

フランスのロックバンドを、1つでも挙げることが出来るだろうか? 多分、ほとんどの人は1つも挙げられないと思う。僕もほとんど分からない。 フランスのロックバンドはそもそもほとんど世界進出をしない。理由は良く分からないけど、多分フランス語に固執す…

J-Popの良心。

今のJ-Popシーンは、多くの人が思っているより健全だと僕は思う。それは多分なにより日本のリスナーがアーティストの音楽や、その人となり(実はこっちが重視されてしまいがちだけど)を純粋に受け止めて共感し、応援し続けられるからだと思う。もしMiwaがア…

Ziggyの元ネタの人。

マイケル・モンローは、アクセル・ローズやジョン・ボンジョヴィ、ヨシズミ・イシハラと同じ1962年生まれだ。ハノイ・ロックスとしての活躍が若かったためか、もっと上というイメージが強かったのでちょっと驚いた。第1期ハノイはマイケルが23才の時に解散、…

アメフロで流れてそうな奴。

僕はアメフロでも働いていた。あれは菅第2次改造内閣の時代だった。持ち歩き式熊のぬいぐるみ全盛期の折、デカい方の店でそのぬいぐるみを僕は売りつけていた。ダッコシテイキマスカ、と奇妙な呪文を唱えながら。熊に着せる洋服は僕の私服よりも少し高かった…

僕は20年近くSum41をバカにしていた。本当に反省したい。

3月のダウンロードフェスティバルの出演者リストにオジーやスレイヤー、アンスラックスらに混じってSum41がいた。メタルフェスにSum41なんて大丈夫なんだろうか、僕が中1くらいの時に流行ったあのSum41?と思った。 今何をしているんだろうかと気になり、最…

The Golden Age of Rock n'roll

70年代英国のグラムロックは、今だからこそもっと脚光を浴びるべきジャンルだと思う。突き抜けたキャッチーさと陽気さは、全盛期モータウンとすら双璧を成すと僕は思っている音楽の、ロックの楽しさをあまり知らない人に最もアピールするサウンドのはずなの…

ヴェネチアンゴンドラで歌ってる奴。

ヴェネチアンゴンドラはシーっぽくてとても好きなアトラクションなんだけど、やってない時間帯が多くて結局乗らずじまいのことが多い気がする。閉園直前に乗ったりします。ミッキー広場からゴンドラエリアに抜けるあのトンネルみたいなとこが好きで何となく…

明るいブラックサバス。

欧米で「最も偉大なメタルバンド」「最も偉大なメタルアルバム」みたいな特集をやると、ほぼ百発百中でブラックサバスがトップに来る。日本だと、あまりそうはならない。理由は良く分からないが、多分リズムを重視するかメロディを重視するか、といったとこ…

闇との決別。

詳細を書かないが、とにかくLostprophets(ロストプロフェッツ)は解散し、現在ヴォーカルのイアン・ワトキンスは29年間の懲役に服している。「音楽活動を再開すべきなのか分からない。世間が僕らに目を合わせてくれるのかどうかすら・・・」と、ベーシスト…

2018年最高のアルバムはこれだった。

「ロックスターで同性と寝たことない奴なんていないと思う」と、アリス・クーパーは言った。世間ではLGBT!LGBT!と騒いでいたりその反動があったりした2018年だが、ロックシーンでは何十年も前からそんなことはあえて騒ぎ立てるほどのトピックではなかった(…

ウェスタンランドで流れてそうな奴。

僕は大学の時、ディズニーランドのウェスタンランドにあるカレー屋で働いていた。当時はショーウィンドウにバーモントカレーのパッケージが置かれており、「とんがりコーン」がメニューにあったのだ。とんがりコーンの注文が入ったら、カウンターの下の棚に…

パーティー野郎の新作。

血湧き肉踊る激情熱烈パーティーミュージックで知られるアンドリューW.Kだが、あれは本気なのかふざけてるのか、と思っていたロックファンは少なくないんじゃないか。2018年発売のアンドリューW.K9年ぶりのアルバム「You're Not Alone」を聴けばその答えは明…

オレンジレンジの新作。

今の中高生はピンとくるのだろうか、その昔めちゃくちゃ流行り、文化祭で「花」を演奏する子供バンドが続出した、あのORANGE RANGE。洋楽メタル好き、陰キャの権化であった中学生の僕は「オランゲランゲ」と揶揄し、くだらない音楽の代表格だとレッテル貼り…

BonJoviを最後まで見届けたい。

Bon Joviは今年ロックの殿堂入りを果たした。少し遅すぎる気もするが、ロックの殿堂なんて国民栄誉賞と同じくらい基準が良く分からないものだし、今さら殿堂入りしたからどうということでもないような気もする。でも「歴史的なバンドである」ことがようやく…