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一番とっつきやすいプリンス作品。Prince/Prince(1979)


きっかけが何であれ、「プリンスを聴いてみたい」と思った時点で、あなたは上位3%の音楽好きに入るだろう。

テレビドラマを見て、人気ゲームをダウンロードして、Youtuberの動画を見ているだけでは「プリンスの音楽を聴いてみよう」なんて発想には至らないと思うのだ。

一番有名なのが一番いいはずなんだから、世界最高の音楽はテイラー・スウィフトアリアナ・グランデのはず、あとクイーンマジで神、というところから3歩進んだあなたは、プリンスの音楽を偏見無しで聴くことができるはずだ。


プリンスについてはベストアルバムを聴く前に1枚スタジオ・アルバムを聴いてみた方がいいと思う。プリンスは普通のアーティストと比べ、異常なくらい音楽性の幅が広い。

だからベストアルバムを聴いたところで一貫性がまるで無く、つかみどころがないまま「こんなもんか・・・」と終わってしまうような気がするのだ。
それより、まずプリンスを好きになることが先だと思う。一回好きになって追求していけば、その才能のすごさに愕然とするだろう。


プリンスはアルバムごとにテイストを統一している。どんなにいい曲ができても、その時作っているアルバムに合わないと感じたらすぐにポイしてしまう。だからこそアルバムが一つの作品として完成しているのだ。


そして最初に聴くおすすめとして、どれよりもこれを挙げたい。

特に「星野源がプリンスに影響を受けたらしいから」という人には圧倒的にこのアルバムを聴いてみることをおすすめする。星野源のポップセンスやお洒落なサウンドの源流がここには濃縮されている。また、ベストを聴いたけどピンと来ていない、という人にもこれを改めて聴いてみることを推奨する。












れっきとした変態である。
どこが星野源なのか。
どんな気持ちでこのジャケットにしたのかは良く分からない。

しかし何はともあれ、このアルバムはダントツで取っつきやすい。分かりやすく、売れ線の曲で埋められている(それを狙ってやったところがまた凄い)。逆に言えば、斬新すぎる曲がない。
タイトルは「Prince」だけど、デビューアルバムというわけではない。2枚目の作品だ。


プリンスの音楽は、シンプルで分かりやすい。ただ音楽性が広すぎるから分かりづらいような気になってしまうだけだ。このアルバムを1枚通して聴けば、そのことがわかると思う。

代表曲の「I Wanna Be Your Lover」、チャカ・カーンもカヴァーしたヒット曲「I Feel For You」をはじめ、ストレートでポップセンスあふれる曲の数々。プリンスのファルセットヴォイスも全編を通して冴え渡っている。

そしてもちろん、作詞作曲、アレンジ、プロデュース、演奏、歌、全てプリンス自身による。
彼のギターとピアノのうまさも実感できるだろう。


何度も別の記事でも言っているが、プリンスは天才だ。ポール・マッカートニーよりも、スティーヴィー・ワンダーよりも、マイケル・ジャクソンよりも天才だと僕は思っている。

音楽好きでいて、プリンスの才能に触れていないのであればそれは勿体ないと思う。

今はこの濃厚なジャケットのCDをカウンターに持って行かなくても、音楽は聴くことが出来る時代だ。音楽好きなら、一度ダウンロードして聴いてみてほしい。


「I Feel for You」チャカ・カーン バージョン。