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2018年最高のアルバムはこれだった。

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「ロックスターで同性と寝たことない奴なんていないと思う」と、アリス・クーパーは言った。世間ではLGBT!LGBT!と騒いでいたりその反動があったりした2018年だが、ロックシーンでは何十年も前からそんなことはあえて騒ぎ立てるほどのトピックではなかった(ではない、と僕も思う)。男が男と、女が女と恋愛をするなんて関心の対象にする必要がないくらい普通の話だ。しかしその人物が天才であれば話は変わってくる。性別性を超越した、これまで無かったような傑作を生み出す可能性があるからだ。

Christine and the Queensのアルバム「Chris」についてだ。バンド名みたいだけど、エロイーズ・ルティシエというシンガーソングライターのソロプロジェクト。バイセクシュアルを公言し髪をバッサリ切り、彼女ならではの欲望や憂鬱、野心を見事な歌詞で表現している。デビッド・ボウイやプリンスやマイケル・ジャクソンなど、中性っぽさを音楽やファッションに取り入れたアーティストはこれまでにもたくさんいたが、LGBT機運が高まった今、ルティシエの力強いメッセージは大きな意味を持つはず。

でもそれだけではない。

作詞作曲はもとより、サウンドプロダクションもルティシエ自身が手がけたらしい。だとしたら天才としか言いようがない。80年代のファンクや90年代のマイケルジャクソン風の斬新なリズム構成や取っつきやすいメロディ、そして打ち込みなのにサウンドが生き生きとしている。

力強いメッセージ性、そしてLGBTなどの文脈を無視したとしても素晴らしい音楽とサウンドが、2018年にしてマイケル・ジャクソンやプリンスの傑作に匹敵するほどのアルバムを生み出した。英ガーディアン誌はこれを2018のアルバム・オブ・ザ・イヤーとした。僕も同意見だ。次点はプリーストのファイヤーパワーだ。3番目はストラッツだ。1番はこれだ。