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Infidels/ Bob Dylan(1983)

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まずはジャケットをご覧いただきたい↑。

忘れなきよう、これは商品のパッケージなのである。

不自然な角度で収まり悪く、少し緊張した面持ちの男。

1983年、ボブ・ディランの自撮り写真である(推測)。照れ隠しだろうか、近くにあったサングラスをついかけてしまった。最近撮ったちょうどいい写真が無かった為、左手を伸ばしてカメラを顔に向け、4〜5枚撮ったのだ。そして彼はフィルムを現像し(1983年です)、「これが一番自然かな」とチョイスしたのである。

場所はアイダホの野原に立つディランの別荘のテラスであろう。周りの目を気にせずに、良い環境で自撮りできる場所がここだったのである。

もう一度ご覧頂きたい↑。

1983年、ボブ・ディランの自撮り写真である。

ボブ・ディランの音楽は正直良く分からん、という人には、この自撮りアルバムを一度聴いてみることを圧倒的にオススメする。

良く分からないと、ディランの音楽はメロディもぼんやりに聴こえるし、声も歌い方も気持ち悪いように聴こえたりする。ライブではめちゃくちゃに原曲ぶち壊すし、ジャケットもそこら辺のスナップ写真みたいなのばっかで、全く掴みどころが無い。

しかしこのアルバムを聴いてディランのカッコ良さに気づいて欲しい。楽曲も粒ぞろいで、何よりこのガラガラのダミ声がディランのベスト、真骨頂なのだ。

ノーベル賞も取ったし、ディランというとどうしても「歌詞が偉大らしい」というイメージが先行するが、歌詞なんて分からなくてもいい。作詞家である前にディランはすごい歌手だ。そして一度理解できれば、ディランの音楽ほど分かりやすい物は無いのではないようにすら思える。このアルバムの曲は、比較的とっつきやすい。

ベストアルバムにも良く採用される名曲①「Jokerman」はもちろんのこと、⑧「Don't Fall Apart on Me Tonight」はディランの全楽曲の中でも個人的に一番好きな曲の一つだ。シンプルなメロディで哀愁があり、伸びの良い声が死ぬほどカッコ良い。

歌詞が分からないと良さが分からないなんて、ボブ・ディランの音楽はそんな程度の物ではない。まず音楽としてとてつもなくカッコ良いのだ。