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プリンスの名曲30曲ランキング。


音楽史に残る天才プリンス。

作詞、作曲、プロデュース、ヴォーカル、ギター、キーボード、ベース、ドラム、全てを世界最高レベルでこなした彼は、リリースしただけでも600曲以上、未発表曲はアルバム100枚分以上とも言われる膨大な数の楽曲を書いてきた。ファンク、ソウル、ジャズ、ロック、とジャンルの壁など存在しないかの様に華麗に飛び越えていき(そんな壁は無い)、その都度成功を収めてきた唯一無二の才能を持ったカリスマは、全世界のミュージシャンに多大な影響を及ぼした。どんなに優れた曲でもアルバムの色に合わなければボツにしていくという手法取っていたため、本来はアルバム単位で聴くことを絶対的にオススメするが、時間が無い人は下記の一覧を見てまずは名曲だけでもチェックして頂きたい。

30.Batdance(1989)
バットマンサウンドトラック収録。ジョーカーの笑い声から始まり目まぐるしく展開していく、プリンスワールド全開のほぼインスト曲。映画のせりふにコンピュータ・サウンド、女性コーラス、ド派手なギターソロ、ハードなドラム、それらを余裕の表情でまとめてしまうプリンスの才能の片鱗を垣間見ることができる。農協牛乳。


29.Why You Wanna Treat Me So Bad?(1979)
「Prince」収録。AORニューウェーブを融合させたポップな名曲。シンセとギターが絡み合うサウンドは洗練されていて、ジャンルにとらわれない才能をこの時点で見せていた。プリンスも公言しているが、アルバム自体が売れ線を狙ったものであり、それだけに1番とっつきやすいのもこのアルバムだと思う。


28.7(1992)
「Love Symbol」収録。中東や東洋的なサウンドにインスパイアされたスピリチュアルな曲。レトロ・ファンクなリズムと凝ったヴォーカルアレンジが目立つ一聴奇妙なサウンドながら、キャッチーなコーラスを忘れておらず、商業的にもヒットした。


27.Black Sweat(2006)
「3121」収録。21世紀版の「Kiss」とも言える、プリンスお得意の最小限の音で構成されたエレクトリック・ファンク。


26.My Name Is Prince(1992)
「Love Symbol」のオープニング・トラック。強力なビートと分かりやすいコーラス、笑うべきなのか微妙な自画自賛の歌詞が印象的なやや異色なトラック。ヘヴィーで強力なナンバーであることに変わりはない。


25.I Would Die For U(1986)
多幸感に満ちたポップチューン。曲自体は非常にシンプルで展開があるわけでも無いのだが、打ち込みに頼らないサウンドが魅力的。俺は女でもない、男でもない、俺は君が絶対理解できない何か。確かに。


24.Baltimore(2015)
2015年、バルティモアで黒人青年が警察官に拘束された際に亡くなった事件を受け書かれた曲。怒りに満ちた叙情的な作品でありながら、エレガントなメロディと印象的なストリングスのアレンジもある名曲。


23.Gett Off(1991)
「Diamonds And Pearls」収録。強烈なベースラインと締めくくりの猛烈なギターソロまで、プリンス・ファンクの最高傑作の一つ。


22.Mountains(1986)
「Parade」収録。サイケデリック風のアレンジが特徴の名曲。シンセ、ピアノ、思いっきり裏返ったファルセット・ヴォーカルなど、中毒性のあるめまいのするようなサウンドが展開する。


21.If I Was Your Girlfriend(1987)
Sign O' Times」収録。プリンスは80年代中盤以降。「カミーユ」という自身の女性版別人格を創り上げ、カミーユ名義の楽曲をいくつか出している。カミーユ名義の作品ではプリンスの声は高く加工されている。その中でもメロディが際立つ名曲がこの曲。


20.Soft and Wet(1978)
プリンス初のシングル。当時19才だったプリンスが全ての楽器の演奏もコーラスもやっている。この時点で「Produced, Arranged,Composed and Perfomed by Prince」の称号を手にしていた。プリンスの原点と呼べるファンクの風味、ピアノのうまさが際立つ。


19.Manic Monday(1986)
1984年に書いたボツ曲をThe Banglesに提供したら80年代を代表するヒットになってしまったポップチューン。針を落として5秒で目がさめるような、1度聴いたら忘れられないキーボードフレーズのリフレイン、これが全て。ポップ史に残る名曲。


18.1999(1982)
冷戦当時を反映した、核戦争についた歌った名曲。少し不安になるようなイントロから印象的なシンセ・リフ、段々盛り上がってくるヴォーカルが光っている。ほぼ同時期にリリースされたマイケル・ジャクソンの「スリラー」に近い方向性なのかもしれないが、プリンスの方がブラックミュージックとしての立場を守っている印象。


17.U Got The Look(1987)
傑作2枚組アルバム「Sign O' Times」2枚目のオープニングトラック。シーナ・イーストンとのデュエット曲。重いドラムパーカッションと刻むようなギターサウンドが印象的なロックチューン。


16.Darling Nikki(1984
「Purple Rain」収録。シングルにはならなかったものの、歌詞が卑猥すぎて物議をかもした変態トラック。アルバムの他の曲と比べると生音に近いライブサウンドが楽しめる後半では逆回転サウンドが出現。逆回転すると何を言ってるかが分かる。プリンスによるどこか抜けた様なドラム、暴走していくヴォーカルが最高。「保護者への注意書き」シールが開発されたきっかけとなった曲。


15.Nothing Compares 2 U(1985)
1990年にシネイド・オコナーがカバーして大ヒットとなったが、オリジナルはプリンスが自身直轄のバンドThe Familyに1985年に提供したもの。死後、プリンス自身による音源が発表され話題となった。そしてこれが、率直に言ってシネイド・オコナー版より素晴らしい。ロマンチックで、サックスソロもある。こういうストレートで優しい曲は自身のイメージと合わない、という理由で当時は自身の作品には収録しなかったらしいが、結果として未発表音源にさらに注目が集まることとなっている。


14.The Most Beautiful Girl in The World(1994)
英国チャート1位を獲得した名バラード。のちのフィアンセとなるメイテ・ガルシアについて歌っている。神がかり的なファルセットが素晴らしい。


13.I Could Never Take The Place of Your Man(1987)
プリンス史上トップ3に入るキャッチーな疾走ポップロックチューン。「Manic Monday」や「Raspberry Beret」と同系統。全体のキャッチーさはもとより、ギターソロも圧巻。ライブ風のMVも見事。


12.The Beautiful Ones(1984
「パープル・レイン」収録の粘着系バラード。アルバムの核となる、個人的には史上最高のラブソングの1つ。やや淡々とした前半から、激情の後半。ヴォーカルはやっぱり暴走気味。死後発売された回想録のタイトルにもなった。


11.Alphabet Street(1988)
アルファベット…という響きから可愛らしい曲かと思いきや、やっぱり卑猥な曲。かろうじて販売禁止にはならなかった。ベースはブルージーな曲なのに明るいポップソングに仕上がってるところが素晴らしい。ギターも秀逸。


10.Diamonds and Pearls(1991)
シンプルでコンテンポラリーなバラード。珍しくファルセットではない。子供と戯れるMVで、マイケル的な疑惑に一時さらされた。


9.Rasberry Berret(1985)
プリンスのポップミュージックの傑作。当時の世間が過剰にセクシーな曲をやめるよう騒いでいたのに対する、「これならいいだろ」という、プリンスなりの抵抗。雑貨屋で会ったベレー帽の女の子…と可愛らしい曲かと思いきや、最後で「ベレー帽しか身につけてなかった」というオチ付き。してやったり。


8.Sometime it Snows in April(1986)
友人の死を歌った曲。普通のシンガーやそこらへんのyoutuberが歌ったらなんて事ない曲なのかもしれないが、プリンスが劇的に歌うからこそ名曲になり得たと思う。全ての良いことには終わりがある。プリンスが亡くなった時歌詞が話題になった曲。


7.Little Red Corvette(1983)
ディスコファンクのアンセム。コルヴェットはスポーツカーの名前だが、これは女性の比喩。ドラムマシンのサウンドとロック風コーラスがとても良い、のに爽快にはなりきらず何やら妖しい雰囲気なのはプリンスらしいところ。歌詞に出てくる「Trojan」はコンドームの商品名。80年代サウンドを凝縮したような名曲。


6.Sign O' Times(1987)
NMEのベストシングルオブザイヤー受賞。無駄なサウンドを無くし、最小限のシンセサウンドに、麻薬、エイズ、貧困などに対する強烈な社会的メッセージをはらむ。


5.Controvercy(1981)
邦題「戦慄の貴公子」。今聴いても革新的と思わせるサウンドの曲。ギターのチャラチャラした音は、プリンスの真骨頂。


4.I Wanna be Your Lover(1979)
2ndアルバム収録、終始ファルセットで歌いあげる初期の爽やかな名曲。この時プリンスはまだ21歳。


3.Kiss
プリンスの一番すごいところの1つ。無駄なサウンドを徹底的にそぎ落とし、ギターブレイクを入れるだけで不朽の名曲となった。どうしたらこんなアレンジを思い付くのかが不思議なほど才能の圧が感じられる。全米1位獲得、2位もまたプリンスが書いたバングルスの「Manic Monday」だった。


2.Purple Rain(1984
プリンスを象徴するスタンダードナンバー。ただのバラードではない。ロック、ポップ、ファンク、R&Bを融合させたサウンド。過剰なまでの陶酔、うねり、威勢の良さ。プリンスの凄さがこの9分間に凝縮されている。


1.When Doves Cry(1984
芸術家として1mmも妥協せずに、ヒット曲を作る。これが普通のアーティストにはできないが、プリンスは何度もやってのけた。その究極がこの名曲。ベースラインを省いた最小限の音で構成された、今まで誰も聴いたことがないサウンドなのに、聴き手は従わざるを得なくなる。これもまた、今発売されたとしても革新的だと思えるであろう曲の1つ。


かつてローリングストーンズの前座についた時、ロックファン達はプリンスにブーイングを浴びせた。ミック・ジャガーは聴衆に「お前らにプリンスの凄さは分からないんだ」と吐き捨てた。
プリンスの音楽はあまりに幅が広く独特の世界観を持っているため、必ずしもとっつきやすくはない。でもしっかり聴けば、ジャンルの枠を超えた革新的なサウンドの虜にはず。