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平和と希望。Bon Jovi「2020」レビュー

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  2002年の「Bounce」(9.11テロと、ニューヨークの復興がテーマだった)以来、ボン・ジョヴィは社会問題への考えを音楽で表現するようになった。戦争、人種差別、ホームレス、権利を奪われた人々…。それはジョン・ボン・ジョヴィが社会に恩返しをしたいと感じ始めたからに他ならない。長年にわたって希望とポジティブなメッセージを広めるための手段としてボン・ジョヴィは音楽を利用してきた。そこに、80年代の様な派手なコーラスやブワーンとしたギターサウンドは不要だった。取り分け2013年の「What About Now」以降はサウンドから派手さや華やかさは徐々に取り除かれていった。

当初は5月にリリース予定だったこのアルバムは、もともとはアメリカ大統領選挙という大きなイベントが行われる象徴的な年になることにちなんで「2020」と名付けられたが、始まってみると、2020年はもっと大きな意味を持つ年になっていた。誰も想像できなかったほどに。「社会を意識したアルバム」とジョンが位置付けていたこの作品には、加筆が必要だった。

クレジットを見ての通り、「2020」は事実上ジョン・ボン・ジョヴィのソロアルバムと言っていい。10曲のうち8曲はジョン・ボン・ジョヴィのソロ作曲で、残りの2曲は長年の共同作業者であるジョン・シャンクスとビリー・ファルコンとの共同作曲による。要するにこれはジョンのアルバムであり、つまるところジョンの「発言」である。

発売延期に伴い、追加されたのは「American Reckoning」「Do What You Can」の2曲。「American Reckoning」は、自分が裕福な白人特権の体現者であることを知っているジョンが、ジョージ・フロイドの殺害にインスパイアされた曲。"I'll never know what it's like to walk a mile in his shoes"「彼の気持ちなど、俺には絶対に分かり得ない」という歌詞は重い。奇妙なほど平易で抒情的、深く険しい声で歌われることで、よりそのメッセージと感情はダイレクトに伝わってくる。敬愛するブルース・スプリングスティーンに影響を受けたと思われるアレンジは見事。

 「Do What You Can 」ボーナストラック版では、「Who Says You Can't Go Home」でもデュエットをしたジェニファー・ネットルズが参加している。Covidに正面から向き合い、「Who Says~」以降定番となったカントリーロックスタイルで「ソーシャルディスタンスを保ちつう、今世界はハグを必要としている」と締めくくっている。

緊張感のある "Let It Rain "では、デヴィッド・ブライアンのピアノも冴えわたる。ジョンのソロアルバムと言っていいのだが、オリジナルメンバーのディヴィッドとティコはじめ、フィルX、ヒュー・マクドナルド、エヴェレット・ブラッドリーは長きに渡ってツアーをともにしてきた面々で、この阿吽の呼吸はもはやこのメンバーでしか成り立たないところまで来ている。リッチー・サンボラが戻ってくる穴は、今となっては無いのかもしれないとすら思わせる。

「Beautiful Drug」はあの「Bad medicine」へのオマージュと捉えるべきかもしれない。「Bad medicine」での「Love」は女に夢中になる麻薬だった。30年以上が経った今、「Love」はワクチンが無い中での唯一の治療法。愛、愛、もっと愛を。それがジョンの答えだ。

「Lower the Flag 」は2019年8月に起きたオハイオ州での乱射事件について重厚な低温で歌い上げている。名曲「Dry County」のメロディを想起させるバラード「Blood In The Water」はアメリカを取り巻く移民問題叙事詩に乗せて取り上げている。もちろん、現職大統領を念頭においている。

強く社会的な内容であることを考えると、「2020」はバンドのキャリアの中で最も挑戦的なアルバムと言えるかもしれない。もっと簡単な道、つまり今まで通りの物を求める、ノスタルジーに浸りたいファンが望む物を与えることもできたのだろうが、そうではなく、ジョンは今言うべきことをファンに与えることを選んだ。多くの生死がからむこの年に、パーティーロックを歌うことは「音痴」だとジョンは判断したのだろう。ここにヘアメタル時代のボンジョヴィの姿はない。

ロックを求めているのであれば、「2020」はハードロックでこそ無いものの、ロックサウンドとフォーク、ブルーズの融合、 豊かな曲展開など、聴くべき要素が幾らでも提供されている。過去にしがみつく必要はない。

年老いて賢くなった男が、この世界と折り合いをつけようとしている姿。それが「2020」のジョン・ボン・ジョヴィだ。その言葉は、時に当たり障りのないものであり、時に大胆で挑発的なものでもある。少なくとも彼は、過去の栄光の中に沈んでいくことを良しとしていない。そろそろ、僕らロックファンも成長しないといけない時期なのだ。ボン・ジョヴィが成長しているように。

 

 

 

 

 

 

 

 

AC/DCの名曲20曲ランキング(2021年時点)。

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スターウォーズのオープニングテーマを聴けば、誰でも高揚する。
緊急地震速報のアラーム音を聴けば、誰でも身構える。
極論を言うと、AC/DCの音楽はそれに近い物だと僕は思う。
どこの国、どの時代の人間でも、このサウンドに体は反応するのではないかと。AC/DCを聴きながら静かに鎮座している方が、人類として不自然なのだ。
頭で聴かなくても、歌詞が分からなくても、骨で感じ取ることができる。
君の人種が何か、ゲイかレズか、障害があるか無いか、鬱か良好か、金持ちか万事金欠か、右翼か左翼か、デブかスリムか、前科ありか無しか、SNSの友達が多いか少ないか、そんな違いはAC/DCのロックサウンドの前では何の意味も無い。AC/DCの音楽は誰にでも平等に一撃を食らわせる。
オーストラリアが産んだ生きる伝説、AC/DCの名曲20曲をランキング化した。


20.Jailbreak(1976)
ミュージック・ビデオも収録した1976年のシングルながら、1984年まではオーストラリア以外で発売されていなかったらしい。5年後に'Back in Black'が世界的ヒットとなり、その時にレコード会社が慌ててEPを発売。以後ライブの定番に。ヘヴィでシンプルな名曲。

19.Rock n' Roll Train(2008)
2000年の「Stiff Upper Lip」以来8年ぶりとなったアルバム「Black Ice」のオープニングトラック。針を落とした瞬間からAC/DC節全開のこの曲をランクインさせたが、今作は「Big Jack」「War Machine」など超強力な曲が複数あるので、飛ばしていた人は必聴。作った当初は「Runaway Train」という曲名だったようで、実際にそう歌っている。

18.If You Want Blood (You’ve Got It) (1979)
ボン・スコットの遺作となった「Highway To Hell」収録。今作は全体的にポップな仕上がりになっていて、なかでもこの曲や「Girl Got Rhythm」は秀逸。前年のライヴ・アルバムからタイトルを引っ張ってきている。アンガスとマルコムのリフはもちろんのこと、クリフのベースの強力なグルーヴが目立つ名曲。

17.Moneytalks(1990)
名作「Razor's Edge」の第一弾シングル。ここ数作、各アルバム1〜2曲収録されがちなキャッチー系の曲。売れ線に走っている訳ではなく、メロディと骨太なリフが心地よく融合している。コーラスのメロディの完成度はバンド随一。

16.Live Wire(1975)
生々しく迫力がある、AC/DCの真骨頂とも言える名曲。ボン・スコット時代は多くのショーのオープニングを飾った。ブライアン加入後はライブで披露されることは無くなった。マルコム・ヤングのリズムが見事。

15.Who Made Who(1986)
映画「Maximum Overdrive」の為に作られた、やや単調で商業的な曲だけど完成度は高いと思う。最初のドラムのサウンドだけで、なぜかAC/DCと分かってしまう辺りはさすが。ドラムとベースから始まり、リズムギター、ボーカル、リードギターの順番でサウンドが完成されていく展開が好き。

14.Sin City(1978)
AC/DCヘヴィメタルと呼ぶかどうかは人によるが、この曲はなかなかヘヴィ。アンガスのソロ、クリフがベースで弾くリフが至極。多分ラスベガス的な街をテーマにしている。

13.Dirty Deeds Done Dirt Cheap(1976)
全体的にはシンプルなAC/DCの曲だが、盛り上がるサビの後の、地を這うような歌声が最高。ライブ映えも〇。ジョーン・ジェットがカバーした。

12.Shoot To Thrill(1980)
「Back in Black」の2曲目。ノリが良くスピード感あふれる100点満点のロックチューン。「Hells Bells」の、奇妙な荘厳さからの流れがパーフェクト。

11.It's A Long Way To The Top(If You Wanna Rock n' Roll)(1975)
ロック賛歌的な初期の代表曲。バグパイプの演奏は、メンバーのルーツでもあるスコットランドに敬意を表したもの。MVが撮影された通りのすぐそばの道に、ACDCレーンという名前が正式に付けられた。

10.Hells Bells(1980)
5,000万枚のセールスを記録し、マイケル・ジャクソンの「Thriller」に次ぐ歴史上2番目に売れたアルバムとなった「Back in Black」のオープ二ング曲。荘厳な鐘の音に続く荒涼としたギターサウンド、ドラムビートから残りのバンドが入ってくるドラマチックな名曲。

9.You Shook Me All Night Long(1980)
「Back in Black」のリードシングルとなったキャッチーで高揚感あふれる名曲。メロディアスなリフと安定したドラムサウンドのバランスが見事。AC/DCの最大のヒット曲となった。

8.For Those About To Rock(We Salute You)(1981)
今でもライブを締めくくる「For Those About To Rock」タイトル曲。「Back in Black」と比べてしまうとやや地味な印象のアルバムだけど、佳曲多し。この曲の転調からの爆発はアンドリュー.W.Kも真っ青な盛り上がり。

7.Riff Raff(1978)
初期の爆走系の名曲。オープニングの緊張感、痛快な縦ノリのリフ、たたみかけるソロ、ボン・スコットの歌メロ、すべてが熱い。ライブアルバム「If You Want Blood You've Got It(邦題ギター殺人事件)』版は必聴。

6.T.N.T.(1975)
「オイ!オイ!オイ!」の名曲。最初聴いた時はこの掛け声がめちゃくちゃダサいと感じたが、今はオモシロに感じている(かっこいいとは思っていない)。抑揚をあえて抑えてズリズリと進んでいく曲の進行は最高にカッコよい。ライブ盤がおすすめ。

5.Highway To Hell(1979)
「Highway To Hell」タイトルトラック、AC/DCを象徴する曲の一つ。超絶シンプルで一度聴いたら忘れないラインを、ロック史に残る名曲にしてしまうのがAC/DCの職人芸。ボン・スコットの集大成とも言える。「地獄へのハイウェイ」は70年代後半のAC/DCの過酷なツアースケジュールのこと。ボン・スコットが亡くなり、若干笑えない感じになっている。ライブ盤の方がおすすめ。

4.Let There Be Rock(1977)
「Let There Be Rock(邦題:ロック魂)」のタイトルトラック。元ネタはもちろん聖書。波のように押し寄せるヘヴィでザクザクなリフ、ヘヴィなベースサウンドにヘドバンせずにはいられない超名曲。長くなるけど、やはりライブ盤がいい。

3.Whole Lotta Rosie(1977)
こちらも「Let There be Rock」収録(このアルバムは実は最高傑作だと個人的には思っている)。AC/DCサウンドというか、ロックンロールという音楽の根源的な魅力がこの曲にはある。つまりこういうことなのだ。この曲の歌詞など誰が気にするだろうか。ノリが良くてカッコ良くて楽しくてライブで盛り上がる曲がロックの到達点なのだ。ガンズが良くカバーする。

2.Thunderstruck(1990)
「Razors Edge」の1曲目。「For Those About To Rock」以降の80年代のAC/DCは、「Blow Up Your Video」「Fly On The Wall」「Flick Of The Switch」と、今一歩なアルバムを出し続けていたが、起死回生の会心作となったのが1990年の「Razor'z Edge」。その1曲目に当たるこの「Thunderstruck」のイントロの衝撃は人類普遍の物。耳にすれば、誰もがこのサウンドに気を取られてしまうはずだ(冒頭で緊急地震速報を例に挙げたのは、この曲を意識しています)。ストーンズの「Start Me Up」と並ぶ、史上最高の1曲目だと思う。ライブ盤がおすすめ(要は全部ライブ盤がおすすめ)。

1.Back in Black(1980)
「Back in Black」タイトルトラック。単純明快であり、だからこそ凄い。華やかなメロディもない、こんなシンプルなぶつ切りの音が、なぜこんなにかっこ良く聴こえるのか?何を加えるかではなく、何を残すか。勢いやノリではごまかせないロックの凄みを感じさせる名曲。


間もなく新作「Power Up」が発売される。
年齢と近年のリリーススパンを考えると、これがラストアルバムとなる可能性は少なくない。マルコム・ヤングはもういないものの、ブライアン・ジョンソンがマイクを取り、アンガスがギターを弾き、ベースにクリフがいて、フィル・ラッドがドラムを叩く。これが大事なことだと思う。
昔からとはいえ、欧米でのそれと比べると、AC/DCの日本での知名度は極端に低い。ジャンルを問わず、音楽を好きだと自認するのならば、AC/DCは聴いておくべきだと思う。ここでいう音楽というのは、洋楽だとかジャズだとか、そんな細かいくくりじゃない。音に反応をする脳を持っているのであれば、という意味だ。
AC/DCは流行とは別次元に存在しているバンドであり、何も革新的なことはしない。
ただ半世紀近く、ロックンロールをやり続けてきただけ。
AC/DCはいつだってAC/DCなのだ。


マドンナの名曲20曲ランキング。

MVでは祭壇でセックスをし、黒人から宗教的な救いを受け、異性同性入り乱れて乱行をする。
つまるところ、それの何が悪いのか?

マドンナが世界のエンターテイメントシーンに与えてきた影響は数字では計り知れない。
ダンス、ファッション、ミュージックビデオ、映画といったあらゆるジャンルでマドンナは既存の価値観に対して声を挙げ、その声は大きかった。
宗教、セックス、人種、フェミニズム、あらゆるタブーを打ち破ってきた彼女の活動は、現在のLGBT運動、BLM(Black Lives Matter)運動にまで少なからぬ影響を与えている。
アルバム売り上げは3億枚。史上最も大きな「声」を持った女性アーティストの、1983年のデビューから今に至るまでの楽曲ベスト20をランキング化した。


20.Lucky Star(1983)
マドンナ自身が作詞作曲した、デビューアルバムからの4枚目のシングル。マドンナに取って最初の大ヒット曲となった。アップテンポのダンスビートをベースにしたキャッチーな曲。なにより、初期のマドンナの鼻にかかったような歌声が魅力的。今のダンスミュージックと違って機械的過ぎないサウンドで、活力が感じられる。このビデオのメイクやファッションをアメリカ中の10代が真似をした。


19.Cherish(1989)
「Like a Prayer」収録の、マドンナにしては可愛らしいポップなラブソング。アルバム自体は宗教をテーマにした重厚な雰囲気で、朗らかなのはこの曲くらい。モータウン調の爽快なメロディと歌が非常に魅力的。ビデオでは男のイケメン人魚達に取り囲まれる(その内の一匹とのちにちょっとだけ付き合った)。


18.Drowned World/ Substitute for Love(1998)
名作「Ray of Light」のオープニングトラック。当時マドンナが傾倒していた東洋神学やヨガの影響を大きく受けた神秘的な空気感に包まれたアルバムを象徴する1曲。それでいて聴き手を遠ざけることの無いキャッチーさも兼ね備えている。これまでのマドンナとは一線を画した、地声での歌唱も特徴的。


17.Open Your Heart(1986)
シンプルなポップロックチューン。元々はシンディ・ローパーに提供する為に書かれた曲だが、マドンナが歌うこととなった。独特なパーカッションのリズムと80年代っぽい爽快で分かりやすいコーラスの完成度が高い。「あなたの鍵でこじ開けて」、というのは多分隠喩。


16.What it Feels Like A Girl(2000)
「Music」収録のバラード調エレクトロポップ。静かなメロディの中に憂鬱さや怒りが感じられる。
暴力的と批判されたMVは午後9時以前の放映が禁止された。
この世界が女に取ってどんな場所か分かるか。
20年経った今でもこのメッセージは伝わり切っていない。


15.Burning Up(1983)
マドンナがデビューアルバムを作る前からデモテープを作っていた最初期の楽曲の一つ。作詞作曲も自身の手による。80年代風のドラムマシーンとシンセサイザーサウンドが際立つ、パンク調のダンスチューン。同じくデビューアルバム収録の「Luckey Star」「Borderline」のようにヒットはしなかったが、名曲だと思う。


14.Frozen(1998)
「Ray of Light」収録。サントラ風のメランコリックなメロディとエレクトロサウンドが見事な傑作。アルバム全体の雰囲気同様、退廃的でスピリチュアルなMVも素晴らしい。


13.Live to Tell(1986)
3rd「True Blue」の第一弾シングル。前作の勢いそのままに出したこのアルバムだが、それまでのちょいエロダンスアイドル風のイメージとは異なる大人風バラードを先行シングルにおいたことで、マドンナはアーティストとして第二段階に入った。神秘性やメッセージ性を押し出したこのアルバムで、マドンナはその影響力をさらに高めることとなった。ヒットしたバラードがあまり多くない中で、この曲をマドンナのキャリア最高のバラードと評するファンは多い。


12.Ray of Light(1998)
「Ray of Light」タイトルトラック。 イギリスのフォークデュオ、Curtiss Maldoonの "Sepheryn "をベースに、疾走感のある見事なダンスチューンに仕上げている。


11.Justify My Love(1990)
レニー・クラヴィッツとの共作。SMや同性愛を含むセクシャルな歌詞とビデオが話題になりがちだが、それを差し置いてもいい曲だと思う。重いビートとマドンナのささやくようなヴォーカルが妖しい雰囲気を出している。


10.Holiday(1983)
デビューアルバム収録、マドンナ最初のヒット曲となった。シンプルな曲ながら、弾けるようなマドンナのヴォーカルと爽快なパーカッションが聴き手を飽きさせない。どっかそこら辺のスタジオで撮影しただけみたいなMVも味。


9.Crazy For You(1985)
マドンナっぽくないと言えばぽくない、いい意味でThe 80年代の華やかなパワーバラード。カーペンターズの楽曲やマイケル・ジャクソン「Human Nature」の作詞を担当したジョン・ベティスが作曲。ライブ版も最高。MVを見れば分かる通り、どちらかというと体を求めてる内容。


8.Music(2000)
8枚目のアルバム「Music」タイトルトラック。前作「Ray of Light」から作風が大きく変わり、アルバム全体がダンスミュージック路線で構成されている。スティングのライブを観て触発されたマドンナが自身で書き下ろした、音楽に対する賛歌のような内容。賛否あるものの加工されたマドンナのヴォーカルや普遍的なディスコビートが◯。


7.Vogue(1990)
世界30か国以上で1位を獲得したマドンナのキャリア象徴する曲の一つ。70年代のディスコサウンドに影響されたハウスミュージックで、ファッションアイコンとしてのマドンナのイメージを確立させた(ただ実際には雑誌ヴォーグのことを歌った曲ではない)。


6.Borderline(1983)
ポップさとマドンナと甘ったるい声、哀愁のあるメロディと、80年代のいい所を詰め込んだ名曲。当時の青春ドラマ風のチープなMVもいい。若いマドンナの瑞々しさ満点。


5.Hung Up(2005)
「Confessions On The Dance Floor」収録。ABBAの「Gimme!Gimme!Gimme!」をサンプリングしたダンスチューン。世界43か国のシングルチャートで1位を獲得し、マドンナ健在を印象付けた。


4.Express Yourself(1989)
「Like A Prayer」収録のダンスアンセムフェミニズムを全面に打ち出しているという点で最もマドンナらしい曲とも言える。保守的な女性から解放される、という内容のMVも必見。


3.Like A Virgin(1984
こちらもポップ史に残るアンセム。ビリー・スタインバーグとトム・ケリーが作曲した当初は男性が主人公のバラードだったが、これをナイル・ロジャースが見事にプロデュースし、マドンナの代表曲となった。


2.Material Girl(1984
「Like A Virgin」収録。タイトルトラックと並んでマドンナを象徴する名曲。軽快で印象的なリズムはジャクソンズの「Can You Feel It」がオリジナル。MVではマリリン・モンローをオマージュ。


1.Like A Prayer(1989)
傑作「Like A Prayer」の力強いタイトル・トラック。マドンナがソングライティングに深く携わり、真の表現者としてキャリアを築き始めたのはこのアルバムから。MVではK.K.Kの十字架や、黒人の牧師にキスをするシーンなどが登場し、バチカンから非難された。そういった経緯を抜きにしても強力なコーラスと、終盤のゴスペルが感動的な名曲。


「Like A Prayer」から30年以上が経った今、世界はマシになったか。いや、それどころか人種差別主義者が世界最高権力者になったり、「黒人の命も大事」という幼児レベルのスローガンを叫ばなければならないほどに、何も変わっていないように思える。

声を挙げること。

史上最も大きな声を持った女性アーティストであるマドンナの言葉に、僕らは今改めて耳を傾けた方がいい。


Like A Prayer(1989)


ヴァン・ヘイレンの名曲20曲ランキング。

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2020年10月6日、ハードロック史に残るバンドはリーダーの死という結末で事実上の終焉を迎えた。
今80年代〜90年代という時代を改めて俯瞰して見てみると、Van Halenよりも優れた楽曲を多く作っていたバンドはいくつか存在する。それでも当時ハードロックを聴いていた、という世代の人達が真っ先に挙げるバンド名は大抵Van Halenだ。それくらい鮮烈な存在だったのだ。
デイヴ・リー・ロスの強烈なパフォーマンス、当時どうやって弾いているのかすら謎だったエディ・ヴァン・ヘイレンのギタープレイ、そして「Jump」。
QueenAerosmith、Kiss、ツェッペリンやパープルといった70年代のバンド達が作り得なかった華やかさをVan Halenは持ち合わせていた。チャート上でのライバルはハードロックバンドではなく、世界広しと言えどもマイケル・ジャクソンくらいのものだった。
一方、最後の最後まで不協和音の絶えないバンドでもあった。その要因は大抵、エディ・ヴァン・ヘイレンの独裁体制に対するメンバーの反発だった。ヴォーカリストを交代した両方の時代でここまで大成功を収めたバンドは、他にはAC/DCくらいだろう。
史上最高のギターヒーロー、そして1980年代という特異な時代を定義付けたバンドの名曲20曲を振り返る。

20.Can't Stop Lovin' You(1995)
「Balance」収録。産業ロックと言われようが、良いものは良い。爽快なイントロと一度聴けば忘れない(というかどこか他でも聴いたことがあるような)サビが印象的。サミー・ヘイガーでなければ歌いこなせなかったであろう名曲の1つ。

19.Love Walks In(1986)
傑作「5150」収録のバラード。個人的には名曲中の名曲。繊細で美しいシンセサウンドとエモーショナルなギターソロは感涙。

18.And The Cradle Will Rock…(1980)
ギターの様に聞こえるイントロは実はエディがキーボードで出しているサウンドらしい。グルーヴが心地よい骨太ロック曲。

17.Hear About It later(1981)
戒厳令Fair Warning)」収録。重みのあるサウンドながらキャッチーなコーラス。こういう、一聴地味に聴こえる作りの曲を華やかに出来るのがエディの凄さでもある。ハードロックの様式美を敷き詰めたような隠れた名曲。サミー・ヘイガー時代にはこういった深みのある曲はあまり無い。

16.Beautiful Girls(1979)
チープなノリの曲ながら、こんな風にシャカシャカとリフを弾けるギタリストはエディ以外に居ない。大した曲じゃないな、と思わずに良く聴いてみて。

15.Jamie's Cryin'(1978)
デビューアルバム収録。ヒットシングルでは無いもののファンの中では人気の高い名曲。クリーンな声が合うだろうと思ったデイヴ・リー・ロスはこの曲の録音前1週間酒とタバコを絶ったが、ハスキーさが欲しかった周囲に懇願されて直前にタバコを吸わされて録音に挑んだらしい。タバコ1本で声が変わったのかは謎。

14.Romeo Delight(1980)
MotorheadSkid Rowを彷彿とさせる爆走系ロックチューン。ケリー・キング曰く「Van Halen最後の偉大なロックチューン」。それは言い過ぎではないでしょうか。

13.Human's Being(1996)
映画「ツイスター」のサントラ収録。Metallica風ダークな雰囲気の中で、激しいリフとキャッチーなサビが素晴らしくカッコ良い。

12.Cabo Wabo(1988)
これまたデイヴでは歌いこなせないであろう曲。サウンド自体はヘヴィーながらキャッチーで心地よいロックチューン。

11.Dreams(1986)
サミー・ヘイガー時代を代表する名曲中の名曲。鳥肌級のイントロとサビの歌メロの高揚感すさまじ。「Jump」があれだけ売れて、この曲が30位止まりというのが全く解せない。Van Halen産業ロックサイドの最高傑作だと思う。

10.5150(1986)
「5150」のタイトルトラック。同アルバムは「Dreams」のインパクトが強過ぎて隠れがちだが、エディの天才的な閃きを感じさせるイントロのリフ、疾走感のあるメロディなど、アメリカン・ハード・ロックの金字塔的名曲。ギターソロからの流れは天才。とにかく天才。

9.Runnin' With The Devil(1978)
デビューアルバムの1曲目。ミッドテンポのドッシリとしたリフがカッコいい。次に来る「爆発」の序章的な立ち位置でもある。邦題がカッコいい。悪魔のハイウェイ。

8.You Really Got Me(1978)
The Kinksのカヴァー。カヴァーなんだが、完全に原曲を喰っている。エディのギターサウンドの破壊力に世界が衝撃を受けた。

7.Unchained(1981)
疾走感のあるヘヴィでテクニカルなリフとキャッチーなサビ、目が覚めるようなギターソロ。Van Halenサウンドの理想形。

6.Panama(1984
Van Halenと言えば「Jump」とこの曲。シンプルと言えばシンプルなんだが、ノリの勝ち。正直曲単体で見たらRattみたいなんだが、そこらへんのレベルの80sバンドとの違いを生み出しているのは、やはりエディのギターサウンドなのだ。

5.Dance The Night Away(1979)
ポップでシンプルながら、やはりリフは天才的。軽やかなメロディながら深みのあるサウンドやコーラスはVan Halenの真骨頂。イントロのゆるいドラムも最高。

4.Jump(1984
バンドの代名詞であるシンセのフレーズはもちろんのこと、ただのポップチューンで終わらせずに凝ったギターソロをぶち込んでくる辺りがにくい。「Van Halenってこの曲だけだろ?」と言われたことがある。ひっぱたいてやった。

3.Eruption(1978)
ギターシーンに革命をもたらしたインスト。この曲が80年代以降のいわゆる「ギターヒーロー」のイメージを決定付け、世界中のギタリストは一気にテクニカルな方面に舵を切ることになった。直接にせよ間接にせよ、今いるロックギタリストはこの曲の影響をだいたい受けている。

2.Hot For Teacher(1984
デイヴ時代のバンドの良いところを凝縮した名ロックチューン。圧巻のイントロはさることながら、妖しげな雰囲気のあるリフとキャッチーなコーラスが爆走する名曲。女子教師に発情する曲。気持ちは分かる。

1.Ain't Talkin' 'Bout Love(1978)
イントロのリフと、終始ヘヴィーな緊張感あるギターサウンドが耳に残る名曲。単純な構成ながら、バンドの表現力が光る。


80年代のアメリカン・ハードロックサウンドを定義付けた伝説的バンド、Van Halen
「Jump」しか知らない、という人も少なくないだろうが、彼らが8000万枚ものアルバムを売り上げたのは数々の歴史に残る名曲を産んできたからだ。
史上最高のギターヒーロー、エディー・ヴァン・ヘイレンがロック史に刻んだ金字塔の数々を改めて振り返ってみてほしい。


シンディ・ローパーの名曲20曲ランキング。



インパクトのある歌声、奇抜なファッション、チャーミングなキャラクター。80年代の洋楽を語る上で避けては通れないのが、シンディ・ローパーだ。「We are The World」でやたら目立っていた女性、として認識している人も多いと思う。あの音楽の神々の中において、10秒足らずのソロパートにも関わらずインパクトを残しているという事実がシンディの存在の特異性を物語っている。
日本とも強い絆で結ばれているシンディ・ローパー
その全キャリアの名曲20曲をランキング化した。


20.Unconditional Love(1989)
3rdアルバム「A Night to Remember」収録。最初の2枚のコマーシャルなポップミュージックと比べるとこのアルバム以降はシンディの歌のうまさに重きを置いているように感じる。商業的には失敗したものの、良く聴くといい曲が多い。なぜかシングルカットされなかった情熱的なバラード。


19.You Don't Know(1996)
「Sisters of Avalon」のリードトラック。90年代のシンディは迷走期と捉えられがちだが、このアルバムはいい曲が多く、良かった。メロディアスなミッドテンポの曲がで、シンディの歌手としての凄みを感じられる佳作。


18.Hole in My Heart(All The Way to China)(1989)
「A Night to Remember」収録。シンディが主演した映画「Vibes」用に作られた楽曲。キャッチーでスピーディーなポップロックと、まくし立てるようなヴォーカルがインパクト大。多くの人がイメージするシンディのイメージ通りの楽曲。


17.Boy Blue(1986)
「True Colors」収録。エイズで死んだ少年のことを歌った曲。曲調は爽快感のあるダンスポップだが、サビ部分のシンディの情熱的なシャウトが印象的。シングルの収益はエイズ支援団体に捧げられた。


16.I Don't Want be Your Friend(1989)
「A Night to Remember」収録。この曲はデズモンド・チャイルドのソロアルバム「Discipline」に収録されていて、それがオリジナルだと思っていたのだが、シンディが先だった。劇的で感動的なパワーバラード。


15.I'm Gonna be Strong(1994)
1969年、フランキー・レインが発表した楽曲をシンディの前身バンドBlue Angelがカバー、ソロ独立後の1994年にベストアルバム「Twelve Deadly Cyns」用に再度カバーした楽曲。この1994年版が一番知られていると思う。アカペラ風のアレンジとなっており、シンディの熱い歌声が一番味わえる感動的なナンバー。


14.Sally's Pigeons(1993)
「Hat Full of Stars」収録、シンディ作曲の曲。10代の頃中絶で亡くなった友人について歌っている。静かに穏やかに展開する、サビと呼べるサビが無いように思える内省的な曲だが、メロディは分かりやすい。エルトン・ジョン「Tiny Dancer」のフレーズを含む。


13.When You were Mine(1983)
「She's so Unusual」収録のアップテンポで超分かりやすいポップチューン。1980年のプリンスの曲のカバー。僕はプリンスの大ファンだが、この曲に関してはシンディ・ローパーの方が良くハマっている。


12.Change of Heart(1986)
「True Colors」のオープニングチューン。全体的に緊張感のあるロックサウンドの名曲。バックコーラスはThe Bangles、MVはロンドンのトラファルガー広場で通行人が大勢いる前で撮影された。


11.I Drove All Night(1989)
「A Night to Remember」収録。疾走感のあるサビが印象的なロックチューン。元々はRoy Orbisonの為に作られた曲だったが、彼がリリースする前に亡くなってしまい、結局シンディ版の方が先に世に出た。セリーヌ・ディオンも後に歌ったりしてるのだが、シンディ版が一番サウンドがオーガニックで良い。


10.The Faraway Nearby(1986)
「True Colors」収録の天才的ポップチューン。シングルカットこそされなかったものの、個人的にはシンディの最高傑作の一つだと思っている。シンプルなフレーズメロディの繰り返しではあるが、シンディの声や歌唱法がこの曲を名作たらしめている。


9.The Goonies R' Good Enough(1985)
映画「グーニーズ」の音楽ディレクターを任されたシンディがサントラ用に製作した超キャッチーなポップチューン。サウンドは同時代のDuran Duran辺りに通じるものがある。シンディ自身はあまり好きじゃない曲だったらしく、長らくライブでは演奏されなかった。コミカルでカオスなMVは必見。


8.Rain on Me(2008)
「Bring Ya to The Blink」収録。2000年代のシンディはカヴァー集ばかりだったが、この久しぶりのオリジナルアルバムは高評価を得た。全体的に無機質なエレクトロサウンドが占めている中でこの曲はシンディの魅力全開のバラード。


7.She Bop(1983)
「She's So Usual」収録のダンスポップチューン。音は今聴くとだいぶショボいのだけど、バックのシンセやドラムマシーンの音が斬新。女性の自慰行為を連想させる歌詞で、PTA団体PMRCの「最も不快な15曲リスト」に見事選ばれた。


6.Money Changes Everything(1983)
「She's So Unusual」収録、シンディを象徴する曲の一つ。翌年のマドンナの「Material Girl」しかり、「結局男は金よ!」と言ってのける女性がカッコ良いとされた時代だったのかもしれない。今は男なんぞの収入に頼ろうとすること自体がダサいという風潮になってきているので、こういう曲はあまり聴かない。しかもこの曲も実は1979年にThe Brainsというバンドが発表した曲のカバーだ。いずれにせよシンディを、いや80年代を代表するキャッチーなロックチューンの一つ。


5.All Through The Night(1984
前年ジュレス・シアーが発表した曲のカバーだが、この曲も圧倒的にシンディ版が有名(バックヴォーカルにはジュレス自身が登場している)。シンセサイザーをフィーチャーしたシンプルなサウンドで、シンディの歌の上手さを際立たせている。キャラクターの印象からかシンディを下手ウマだと思っている人が多いが、この人はめちゃくちゃ歌が上手いのだ。


4.Who Let in The Rain(1993)
「Hat Full of Stars」収録のAOR風の感動的なバラード。歌い方は一貫して静かで落ち着いているが、徐々に後ろのサウンドが心地よく華やいでくるのが感動的。素晴らしいメロディを見事にアレンジするとこういうことになる。


3.Girls Just Want to Have Fun(1983)
シンディの代名詞的ナンバーにして、ガールズポップというジャンルを代表するアンセム。ロバート・アザールという歌手が書き、デモ版だけ録音していたのをシンディがカバー。シンセサイザーベースの超キャッチーでややコミカルなサウンド、特徴的な歌声とキャラクターでシンディの名を全米に知らしめた。


2.True Colors(1986)
フィル・コリンズのカバーも知られる名曲中の名曲。静かなメロディとシンディの感情的な歌声がサウンドに幅を持たせている。歌詞は色々な意味で読み取れるが、今ではゲイコミュニティの賛歌の一つにもなっている。


1.Time After Time(1983)
ポップス史に残る名曲であり、日本で最も有名な洋楽ナンバーの一つでもあるラブソング。浮遊感のあるシンセサイザーとギター、刻むようなパーカッションサウンドをベースに、感動的なメロディをシンディが歌いあげる。シンプルながら、誰の心にも永遠に刻まれるサビのメロディ。マイルス・デイヴィスもカバーした。


東日本大震災が発生した直後の3月16日、シンディは横田基地から日本に入り、節電をしながらのコンサートと募金活動を決行した。福島の原発はすでに危機的状況で、海外アーティストが次々と日本公演をキャンセルしていた中での公演だった。急遽チャリティーコンサートとなったこの公演に、日本のファンは涙を流しながら感謝をした。
その1年後にまた来日公演を行い、コンサートは被災地のいくつかの映画館で無料上映され、コンサートの収益も被災地に捧げた。この出来事は多くのテレビでも取り上げられた。
またある日、アルゼンチンの空港で全ての飛行機がストップしてしまい、人々が怒り出す現場に彼女は居合わせた。あろうことかシンディはアナウンス用のマイクを借り、アカペラで歌い出して怒っていた人々を楽しませたのだ。
情熱的な歌声と特徴的なファッションは言わずもがな、ヤンチャさや過激さの裏にかいま見える人間性こそがシンディ・ローパーを愛すべきポップアイコンたらしめているのだ。


マイクスタンドをなぎ倒し、ポリバケツをボコボコに蹴り飛ばし、乱入した客を抱きしめ、のライブパフォーマンス。乱入客はヤラセ風。


Babymetalの英語力が目覚ましく進化した件




2020年現在、一般的な日本人は英語を話せない。英語を話せるというだけでチヤホヤされるのは、先進国では日本くらいのものだ。
ただしこれは、英語を話せなくても日本なら問題なく暮らしていけるから、という合理的な事情によるところが大きい。
しかしエンターテイメントの世界では、事情は変わりつつある。映画も音楽も世界規模のサブスクリプションサービスが登場したことにより、国境は取り払われた。
世界を相手に出来るか出来ないかでは、収入は一ケタ変わる。そして世界を相手にする為には、現状ではどうしても英語が必要になってくるのだ。アメリカやヨーロッパの音楽と映画が世界を支配しているのは、その質以上に、「英語文化である」ことが大きな要因となっている。


そんな中、Babymetalが英語を話せるようになった。つい数年前は対応不可だった海外メディアの英語インタビューを、ほとんど問題無くこなせるようになった。


2016年Loudwireインタビュー

Su-Metal(中元すず香)の英語の発音は元々良かったが、2016年時は英語で返すことは出来なかった。それが今やこのレベルにまでなった。↓


2019年Rocksoundインタビュー

使える単語はまだ限られているようだが、特にSu-Metalは、ネイティブ脳になりつつある。つまり頭の中で日本語→英語という翻訳作業をほとんど行なわずに英語で会話をすることが出来るようになっている。
こうなると、もう英語に対する抵抗はほぼゼロであり、少し勉強をすればそこら辺の頭の悪いネイティブよりも遥かにまともな英語が話せるようになる。

ファンなら周知の通り、Babymetalは欧米のファンの方が多い。彼らに向けて想いを直接発信出来るというのは、告知効果として非常に大きい意味を持つ。
英語をほとんど完璧に会得しつつあるBabymetalは、もはや日本にとどまる理由が無い。
日本のテレビに出る出ない、ドラマの主題歌に採用されたされない、そんなちっぽけなことは気にしなくても良くなったのだ。
Babymetalが世界で活躍していることを日本のメディアが扱わなくても、そんなことは彼女たちにとっては取るに足らない問題なのだ。


少し話がそれるのだけど、良く、仕事で使わないなら英語なんか出来ても意味が無い、と言う人がいる。
しかし言語を習得するというのは、その程度の話ではないと僕は思うのだ。

日本の大学に留学に来てる海外の学生達が将来仕事で日本語を使うと思うだろうか。
言うまでもなく、ほとんどの学生は一生使わない。
そんなことじゃなく、彼らは、漫画や映画、ポップカルチャーと言った文化に惹かれて日本に来ているのだ。
日本語を理解し、より文化を身近に感じてみたいという思いで来てくれているのだ。

さらに英語が分かると、世界の情報にアクセスする力が飛躍的に向上する。
世界の頭のいい人達は基本的に英語で情報を発信している。細かい調べ物をするときにも、日本語で調べてあまり有用な情報が得られない
時は、英語で調べれば世界の誰かがより質の高い、新しい情報を発信している。
日本の媒体を通じてしまうと、そこにはメディアの意図が介入する為、情報の正確性は著しく下がる。この段階でフェイクニュースに変わることも非常に多かったりする。

英語が出来れば、少なくとも情報伝達という点においては、もはや国境は存在しなくなる。
ネットや海外メディアでの世界的評判、そしてRed Hot Chili PeppersやGuns n'Rosesと言った巨人達とのツアーを通じて、彼女たちはエンターテイナーとして確固たる評価を手にした。
彼女たちが向かう先に壁は無いのである。




ジューダス・プリーストの名曲20曲ランキング。



1974年のデビュー以来ヘヴィメタルという音楽ジャンルを牽引し続けてきた鋼鉄神、ジューダス・プリースト
初期はプログレ寄りのハード・ロックだったが、1978年の「Stained Class」、そして1980年の「British Steel」で、より重厚でスピード感あるヘヴィメタルサウンドを確立。「Defenders of Faith」「Screaming for Vengeance」「Painkiller」等の名作をリリースし、押しも押されもせぬメタルゴッドとして君臨し続けてきた。そのサウンドはデビューから45年経った今も健在。
ヘヴィメタルはどんな音楽か、と聞かれれば、ジューダス・プリーストを聴いてもらえばそれでいい。
我らが鋼鉄神の名曲20曲をランキング化した。


20.Halls of Valhalla(2014)
2014年のアルバム「Redeemer of Souls」は傑作では無いかもしれないが、いい曲が複数収録されている。「Dragonaut」のタイトなロックサウンドも捨てがたいが、このアルバムではやっぱり一番プリーストらしいと思うのはこの曲。2015年の来日公演時、アルバムを聴かずにライブに挑んでしまったのだが、この曲のカッコよさにはブッとんだ。聴いたことがあるような曲、と言えばまあその通り。


19.Rapid Fire(1980)
名盤「British Steel」のオープニングを飾る爆走メタルチューン。同時代のNWOBHMムーブメントのバンド達(Raven、Tank辺り)と共通する、ドコドコいうドラムサウンドが可愛らしくて(!?)好き。メロディ展開には乏しいかもしれないが、コテコテなメタルサウンドがカッコいい。


18.Judas Rising(2005)
ロブ・ハルフォード復活作となった「Angel of Retribution」の幕開けを飾る曲。荘厳なオープニングからの重厚なメロディ展開が感動的。個人的には初めてリアルタイムで聴いたジューダスの曲なので思い入れポイントも加算。「Angel of Retribution」からはこの1曲しかここでは挙げていないが、「Deal with the Devil」「Worth Fighting For」など佳曲多しの良作。あれからさらに14年経ってますます盛んであろうとは、この時知る由なし。


17.Riding on The Wind(1982)
「Screaming for Vengeance」2曲目(トラックリスト上は3曲目だけど事実上は2曲目)。「Electric Eye」から間髪なしで始まる鮮烈なドラムイントロと一気に空気を変えるリフがカッコ良い。ライブ映えもするし、もっと評価されるべき屈指の名曲だと思う。「嵐の出撃」という邦題もパーフェクト。


16.A Touch of Evil(1990)
Painkiller」収録のバラード。攻撃性全開の同作において、初期ジューダスの叙情性を感じさせる唯一の曲。ヘヴィなリフとギターソロも秀逸。メタルバンドのバラードというと一歩引いてしまう人もいると思うのだけど、この曲はシンプルなメロディで分かりやすい。ライブでも定番曲の一つ。


15.Living After Midnight(1980)
ライブでは終盤に必演のパーティーロック調の佳曲。ひたすらノリの良い曲であり特筆すべき点も別に無いのかもしれないが、こういった曲を大事にする辺りに、彼らがいつの時代もライブの楽しさを重視してきたことが感じられる。ヘヴィメタルもロックンロールの中の1ジャンルに過ぎないことを、メタルゴッド自らが啓蒙してくれてるような気分になる。この曲を批判するメタルオタクがいるとすれば、それはプリーストのライブを体験したことがない人だ。


14.Between The Hammer and The Anvil(1990)
Painkiller」がプリーストに取って「第2のデビューアルバム」と呼ばれる最大の所以は、ドラマー、スコット・トラヴィスの加入だと思う。彼が加入しなければ、この激烈なサウンドは実現し得なかった。目が覚めるような強烈なリフとリズム、史上最強レベルのロブのシャウト。ギターソロも素晴らしい。この極端なサウンドでありながらも歌心を感じさせるのがロブの本当にすごいところだと思う。徹頭徹尾凄まじい曲ばかりの「Painkiller」の中でも、際立っている曲の一つ。


13.Turbo Lover(1986)
シンセギター、ドラムマシーンを導入して賛否を呼んだアルバム「Turbo」の1曲目。シンプルなメロディを繰り返しながらだんだん盛り上がっていく、これもライブ映えする曲。発売当時は賛否を呼んだものの、今となっては否定的な意見はほとんど聞かないように思う。シンセギターのサウンドはハマっているし、それ以上に、新しいサウンドを追い求めてきたバンドの姿勢に賛同するファンが多いのではないか。


12.Firepower(2018)
目下最新作にして「Painkiller」以来の傑作と呼び声高い「Firepower」タイトルトラック。「Freewheel Burning」や「Painkiller」系統のプリースト流アンセム(ハイトーンではないけども)。ギターソロも熱すぎる。プリーストのカッコ良さを凝縮したような曲。


11.Exciter(1978)
「Stained Class」収録。プリーストのヘヴィメタルサウンドの原点であることはもちろん、現代のスピードメタルの源流でもあると個人的には思っている。音はだいぶ粗いが、疾走感あふれる名曲。


10.You've Got Another Thing Comin'(1982)
「Screaming for Vengeance」収録のノリの良いハードロックチューン。僕はIron MaidenよりもJudas Priest派なのだけど、それはプリーストがヘヴィメタルの様式美を保ちつつも、あくまでもロックンロールとして格好良いパフォーマンスを大事にし続けていると感じるからだ(メイデンがそうじゃない、ということではないが、この点についてはプリーストに軍配が上がると僕は思う)。ライブで聴くこの曲のカッコ良さは筆舌に尽くしがたい。


9.Hell Bent for Leather(1978)
1978年「Killing Machine」収録の荒々しいスピード感あふれる名曲。ダークな妖しいイントロ、印象的なリフ、ピロピロギターソロと死角なし。ロブがハーレーにまたがったら大抵この曲。


8.Breaking The Law(1980)
British Steel」収録。重くて速くてカッコ良い、メタル史に残るメインリフが強烈。シュールすぎる迷作MVも必見。

一応貼っておく。


7.Beyond The Realms of Death(1978)
初期の名バラード。哀愁漂う情熱的なヴォーカルメロディ、そしてギターソロが素晴らしく泣ける。徐々にアグレッシブに移行していく展開も見事。


6.Freewheel Burning(1984
名盤「Defenders of Faith」のオープニングを飾るバンド随一の疾走系アンセム。親しみやすい硬質なリフと爽快なギターソロ、これぞヘヴィメタルの様式美。


5.Jawbreaker(1984
「Defenders of Faith」の2曲目。他のアルバムでもそうだけど、プリーストは1曲目から2曲目に持っていく流れがうまい。だから本来はアルバムで聴いた方がいい。緊張感を保ちつつドライブするスピーディーかつメロディアスなリフがかっこいい。最後のシャウトも凄まじい。


4.The Hellion〜 Electric Eye(1982)
「Screaming for Vengeance」のオープニングチューン。メタルゴッドにふさわしい、神々しさを感じさせる荘厳なイントロ、キャッチーに刻むリフとどこか機械的な加工がされたロブのヴォーカル。ライブ版の方がかっこいいとは思う。ヘヴィメタル史上最高の1曲目。


3.Victim of Changes(1976)
「Sad Wings of Destiny」収録の初期の名曲。この時はメタル色は薄く、プログレハードなサウンドだった。Black Sabbath風の途轍もなくヘヴィなリフと、見事な曲構成。最初聴いた時は奇妙さが際立っていて意味が分からなかったが、聴いてるうちに、聴き終えたあとの妙な満足感がクセになった。アレンジ力と作曲能力のすごさに驚嘆するばかり。ぜひライブ版で。


2.Painkiller(1990)
「頭の中がグルグル回転して、視点が定まらない。アドレナリンがどんどん分泌されて、吐く息も荒い。『Painkiller』は強烈だった。強烈すぎて言葉を飲み込み、まるで熱病に冒されたように、ただただ唸ってばかりいた。PRIESTの偏執狂的マニアなら、この気持ちは分かってくれるだろう。待望のニュー・アルバムのマスター・テープが届けられて2週間以上が経過しているというのに、その興奮は冷めるどころか、ますます増殖し、全身に広がっている。」
伊藤政則氏はアルバム「Painkiller」についてライナーノーツに上記のように書いた。Painkillerヘヴィメタルというジャンルの到達点の一つだということに異論を挟む人はあまりいないだろう。アルバム全編を通じて鼓膜を破るようなヘヴィでスピード感溢れるサウンド、圧巻の曲の完成度で、「Painkiller」はヘヴィメタルという音楽を新たな境地へ押し上げた。
歴史的なドラムのイントロ、嵐のようなリフ、空気を切り裂くツインギターソロ、血管ブチ切れシャウト、全てを備えたこのタイトルトラックはアルバムのサウンドを象徴している。


1.The Sentinel1984
「Defenders of Faith」収録。重々しいイントロから始まるドラマチックな構成は今も全く色あせない。息が詰まるような緊張感と、勇壮なメロディで疾走する曲展開。最後のサビのたたみかけが見事。重く、劇的で、速い。プリースト、いや、ヘヴィメタルの魅力の全てがこの曲に詰まっている。


世界中から絶賛を浴びた最新作「Firepower」はグラミー賞を初め、ありとあらゆる賞を総なめにした。
Judas Priestヘヴィメタルというジャンルへの貢献は言葉で語り尽くせる物ではないが、驚くほどベきことに彼らは今なお、これから自分達に出来ることは何であるのか、未来を見据え続けている。時代の変化を受け止めつつも戦い続ける姿勢、それもまた世界中のメタルファンやアーティストから彼らが尊敬され続ける理由なのだ。




The Sentinel


Babymetalとは何度も共演するなど交流が深い


↓ロブのインスタが面白い、というお話。興味があればどうぞ