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ブライアン・アダムズ の名曲20曲ランキング(2021年時点)。

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ブライアン・アダムズというアーティストの位置付けはちょっと難しい。
「80年代洋楽」という日本的なくくりにおいてはビッグアーティストなのかもしれないが、「ロック」の棚の中心には多分いない。
ハードロックでもパンクでもグラムでもニューウェーブでもなく、親しみやすいサウンドなのに、上手いことジャンルに当てはまらない。
じゃあそんなのはロックじゃねえ、ポップスの棚にぶち込んどけ、と言われれば、そこは抵抗したい。「正統派で大衆的なロック」としか言いようがないのだ。細かく棚を分けてしまった店側に落ち度がある。
カナダが産んだ偉大なるソングライター/ロックンローラーブライアン・アダムズの名曲20曲をランキング化した。

20.Somebody(1984
名作「Reckless」収録。ライブ映えする分かりやすいコーラスのロック曲ながら美しいメロディが魅力の代表曲の一つ。


19.Cloud Number Nine(1998)
ブライアン・アダムズが成功し続けた大きな要因の一つは、90年代に出したいくつかのポップス曲やバラードのシングルがことごとくヒットしたことだ。
古参のロックファンは眉をしかめるのか知らないが、メロディメーカーとしての本領を発揮しつつ、大衆的なアプローチを成功させるあたりが感覚だ。この曲はのちにダンスグループChicaneのリミックスバージョンがヒットしたものの、アルバム版がバンドサウンドでいいと思う。


18.Shine A Light(2019)
このリストには1曲しか挙げられなかったが、最新作「Shine a Light」は年相応のブライアン・アダムズのロックサウンドを凝縮した傑作。
こちらは雄大で爽快感のあるタイトルトラック。キース・スコットの哀愁あるギターサウンドも健在。


17.Cuts Like A Knife(1983)
「Cuts Like A Knife」のタイトルトラック。ブライアン・アダムズの最高傑作というと一般的には「Reckless」とされるが、このアルバムも負けず劣らずのクオリティ。
ロディアスなギターと突き抜けるような爽快なサウンドが心地良い名曲。


16.Touch The Hand(1991)
アルバム「Waking Up The Neighbours」はそれまでとは異なる豪快な80年代ハードロックサウンドになっている。それもそのはず、本作のプロデューサーはAC/DCDef LeppardNickelbackも手がけたジョン・マット・ランジなのだ。
中でも2曲目のこの曲はシンプルなリフ、とどろくドラムサウンドBon JoviDef Leppardばりのコーラスと、完璧なハードロックに仕上がっている。


15.Don't Even Try(2015)
13枚目「Get Up」収録。イントロから哀愁のギターメロディが冴え渡る。ブライアン・アダムズサウンドの核はやはりキース・スコットのギターなんだなあ、と感じさせる。
シンプルでありながら心に響く、これぞブライアン・アダムズなメロディック・ロックの佳曲。


14.Please Forgive Me(1993)
ベストアルバム「So Far So Good」収録。ギターを中心としたサウンドと哀愁あるメロディが魅力的なバラード。シンガーとしてのブライアン・アダムズの魅力を最も感じられる曲でもある。


13.There Will Never be Another Tonight (1991)
「Waking Up The Neibours」収録のヘヴィかつ疾走感あふれる圧巻のハードロックチューン。フックに次ぐフックと盛大なコーラスは80年代のハードロックサウンドそのもの。


12.(Everything I Do)I Do it For You(1991)
「Waking Up The Neighbours」収録の名バラード。19か国でチャート1位を獲得し、ブライアン・アダムズ最大のヒット曲となった。イギリスでは16週連続1位となり、この記録は現在でも破られていない。終盤のギターソロも胸アツ。


11.I Thought I'd Seen Everything(2008)
「11」

2008年リリースの「11」収録。哀愁あるメロディとヴォーカル、絶妙なギターサウンド、キャッチーなコーラスと全てが揃った完璧なロックチューン。時代に流されないブライアン・アダムズの核心を見ることができる。


10.One Night Love Affair(1985)
「Reckless」のオープニングトラック。「Summer Of 69」と並ぶ、これぞブライアン・アダムズなロックチューン。シンプルでキレのあるリフと哀愁のギターメロディ、ライブ映えするコーラスが炸裂。


9.The Best of Me(1999)
ベストアルバム用に書き下ろされたポップ調の楽曲。定番の代表曲と比べるとやや知名度は低いが、メロディとハーモニーの美しさは随一。


8.Lonely Nights(1980)
2ndアルバム「You Want It You Got It」収録。ここにきてキャッチーで哀愁漂うギターサウンドを中心としたブライアン・アダムズを確立。シンプルながらなぜか胸が熱くメロディと歌声が魅力の名曲。


7.Run To You(1984
「Reckless」収録の大ヒット曲。何か意外な展開があったり、サビで大きく盛り上がるタイプの曲ではないが、適度なスピード感の繰り返しが心地よい名曲。


6.This Time(1983)
「Cuts Like A Knife」収録。イントロからキャッチーで特徴あるギターメロディが冴え渡る爽快な名曲。これを聴くとキース・スコットというギタリストがいかに過小評価されているかが分かる。ここまでメロディを引き立たせる弾き方が出来るギタリストを他に知らない。


5.Straight From The Heart(1983)
「Cuts Like A Knife」収録の、シンプルながら完璧なロックバラード。ブライアン・アダムズ最初のヒット曲となったが、実際にはシンガーソングライターのErik Kagnaが作曲した曲。


4.I'll Always be Right There(1996)
「18 Til' I Die」収録のアコースティックバラード。あまり定番にはなっていないが、個人的にはブライアン・アダムズの最も優れたバラードだと思う。優しいメロディと哀愁ある歌声が魅力。


3.Back To You(1997)
MTV Unplugged」で披露されたアップテンポなポップチューン。哀愁あるメロディ、という点ではナンバーワンだと思う。ギターソロも美しい。この曲のスタジオ版というのを見たことも聴いたこともないのだけど、存在するんだろうか。


2.Heaven(1984
「Reckless」収録。80年代を代表するパワー・バラード。当時主流となっていたJourneyを、はじめとする産業ロックサウンドに影響を受けた壮大なプロダクションが大成功。ブライアン・アダムズ色が薄い、と言えばそうなのかもしれないが、名曲であることには違いない。


1.Summer of 69(1984
「Reckless」収録。やっぱりブライアン・アダムズと言えばこの曲だ。軽快なギターメロディと覚えやすいコーラス、ちょっぴり哀愁漂う展開と歌声と、キャッチーでありながら何だか胸を締め付けられる、全ての魅力が詰まった名曲。


音楽の天才あるあるとして、マルチミュージシャンであること、多作であること、の2つの能力を持ちがち、という法則がある。
この2つを満たしてたら、それは多分音楽の星の下に生まれたアーティストだ。
マルチミュージシャンというのは、色んな楽器を操れるっていう意味。ギターもベースもドラムもキーボードもハーモニカも自分でこなせてしまう。
有名どころだとスティービー・ワンダー、プリンス、フランク・ザッパなんかがそれで、コールドプレイのクリス・マーティンもそう。
そしてブライアン・アダムズもこの2つの能力を持っている一人だ。マルチミュージシャンで、50曲以上の楽曲を他のアーティストに提供している。ブライアン・アダムズは天才なのだ。
「80年代洋楽特集」のワゴンに押し込められようが、ブライアン・アダムズは2021年現在、れっきとした現役だ。2019年には最新作「Shine A Light」をリリース、コロナ渦の現在は曲をコツコツと書きためているはず。
2020年代ブライアン・アダムズの進化を見届けよう。

メタル史に残る駄ジャケ34連発。

音楽のデジタル化が進めば無くなってしまうのではないかと危惧されていたアルバム・ジャケットという文化は、物理的なパッケージとしてではなく、画面上で目を引くための重要な要素として無事に生き残った。
ここではヘヴィメタル史に燦然と輝く、邪悪で愛らしい駄ジャケを厳選した。
アルバムジャケット鑑賞は、音楽を聴かない音楽鑑賞と言っても過言ではなく、これらの作品を味わってこそ真のヘヴィメタルファンであると言える(言えない)。


Warrior「The Battle Has Started」(2004)
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Boned「Up at the Crack」(2004)
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Manowar「Anthology」(1997)
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Ragnarok「Nattferd」(1995)
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Ragnarok「Blackdoor Miracle」(2004)
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Jack Starr's Burning Starr「No Turning Back!」(1986)
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KeyDragon「Drink From the Waters of War」(2003)
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Battleaxe「Burn This Town」(1983)
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Metalucifer「Heavy Metal Chainsaw」(2001)
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Metalucifer「Heavy metal Drill」(1996)
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Riot「Narita」(1979)
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Blood Staine Dusk「Dirge Of Death's Silence」(2001)
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Vanlade「Iron Age」(2012)
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Satan Jokers「Les Fils du Métal」(1983)
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Torment「Bestial Sex」(1991)
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Sovereign「Disgrace Command」(2000)
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Immortal「Diabolical Fullmoon Mysticism」(1992)
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Rok Bergade「The Attack Is On(1983)
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Abruptum「Evil Genius」(1995)
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Fates Warning「Night On Brocken」(1984
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Dethkorps「Metal Tit」(1991)
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M.A.D.「Taboo of the Western World」(1991)
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Post Mortem「Message From the Dead」(2009)

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The Handsome Beasts「04」(2004)
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Denet「Terrestrial Dying」(2013)
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Mactatus「The Complex Bewitchment」(1999)
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Messiah「Extreme Cold Weather」(1987)

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Mortiis「The Stargate」(1999)
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Knorkator「Hasenchartbreaker(1999)
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Obtained Enslavement「The Shepherd and the Hounds of Hell」(2000)
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Saint「Time's End」(1986)
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Arcane「Ambiguity」(1994)
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Enochian 「Night Monumental Evil(1996)
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Adema「Topple The Giants」(2013)
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以上殿堂入り34点。
ここに挙げられていない名作があれば是非ご連絡頂きたい。

Babymetalが今さら紅白に出るわけ

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今年の紅白にBabymetalが出る、というニュースを耳にして、多くのファンは「今さらなんで紅白?」と思ったんじゃなかろうか。今や欧米でアリーナ公演を行い、世界のメタルフェスのビッグアーティスト枠に収まっている彼女たちは、もはや紅白歌合戦などという国内のテレビショーに収まる存在ではないのだ。

今年Babymetalが紅白に出場することになった大きな理由は、欧米における新型コロナウイルスの感染拡大状況にある。ご存じの通り、アメリカやヨーロッパの感染拡大は全く収まらず、それどころか日に日に最悪ペースを更新し続けている地獄の様相。多くの関係者は当初2021年の後半にはコンサートは出来るようになる、と見ていたが、今はそういう状況では無くなった。客を入れてのコンサートは2022年まではどう考えても無理、というのが現時点(2020年11月)の音楽界の一致した見解であり、すでに2021年のコンサートをその翌年に延期する動きが本格化している。2021年秋のフェス、例えば英ダウンロードフェスティバルなどはアナウンスこそされているものの、ほぼ100%潰れると推測されている。アナウンスをしているのは「万が一」やれるとなった時に、アナウンスをしておかなければ開催出来ないからであり、2021年はまず無理、というのが大方の見方だ。

ただ日本での状況は少しこれとは異なる。欧米と比較すればまだ感染拡大は抑えられている状況(とされていて)、スポーツやイベントなど、人数制限を行ったうえでの興行はすでに開始されている。ライブハウスやアリーナの運営サイドとしては国内アーティストで可能な限り回していく方向に舵を切っている。人数が制限されているのだから、出来るだけ少ない出費で数をこなさないとならないが、いずれにせよ、国内においては限定的な形とはいえ、そしてそれがいつまで続けられるかも分からないとは言え、今のところ興行はできる。

さてBabymetal。

現在彼女たちの収入の大きな部分はグッズ販売も含めた欧米でのコンサート活動から来ていて、それはつまり2020年に引き続き2021年も上記のことから大幅な収入減が確実ということを意味する。しかもこれが2022年に復活するという保証も全く無いのだ。

そこで彼女たちは少なくとも2021年については、この数年置いてけぼりにしてしまっていた「日本の一般層」を改めて開拓することに注力しようと判断したと思われる。今まで断ってきた紅白歌合戦への参加、そして先日発表された武道館10連公演で派手に周知を図り、今のうちに国内での立ち位置を盤石にしておくという寸法だ。

紅白参加の宣伝効果については言うまでもない。正直なところ年々その価値は下がっているような気もするのだが、普段積極的に音楽を聴かない層の人々、好きなアイドルグループや歌手以外のジャンルは聴かないという人も、何となく見てしまっているのが紅白歌合戦だ。多分。

Babymetalに取っては今さら紅白だが、されど紅白。ここで国内での認知度を改めて固め、色んな意味で安心の状態でコロナ明けの世界にまた立ち向かっていってほしい。頑張れ。


アイアン・メイデンの名曲30曲ランキング(2021年時点)。

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アイアン・メイデンのアルバムを聴くという行為は、興奮と感動、意外性に満ちた小説を読み進めていくのに近い体験だと個人的に思っている。聴き終えた時の満足感や、「いい物に触れることが出来た」という充実感は何物にも代えがたい。
リズムの速さ、激しく唸るような2本のリードギター、めまぐるしい展開、叙情的な歌詞を絶叫するヴォーカル、へヴィメタルの持つ全てのエッセンスがここに集約されていると言っても過言では無い。1975年の結成から40年以上。メタル界に君臨し続ける生きる伝説アイアン・メイデンの名曲をピックアップした。


30.Running Free(1980)
デビュー・アルバム収録。メイデンにしては珍しいストレートなロックチューン。最初の2枚のアルバムは、スティーブ・ハリスの幻想性とポール・ディアノのパンク・スタイルがうまく融合していた。この曲は後者寄り。今もライブの定番ではあるが、こういうタイプの曲はポール・ディアノの歌声の方が説得力がある。


29.Empire Of The Clouds(2015)
今のところの最新作「Book Of Souls」収録。「Book Of Souls」は多分ほとんどのファンの想定を上回る濃密な2枚組大傑作となり、しかもブルースは舌癌の真っ只中に居たのに関わらず見事なヴォーカルを見せつけた。それを象徴するのが18分に及ぶこのバンド史上最長の曲。アイアン・メイデンの長尺の曲というのは、長くすることが目的ではなく、様々な要素を足していったら長くなった、というもので、情報量が多い。だからちょっと疲れたりもするのだが、聴き終えて理解出来た時のカタルシスは何事にも変えがたい。これは経験した人でないと分かりづらい快感だと思う。ブルース自身の飛行機愛と、1930年に実際に起きた飛行船事故がテーマとなっている曲で、バラード調で始まるが、物語のように転調を重ねていく。


28.Talisman(2010)
「The Final Frontier」収録、こちらも9分の長尺。アコースティックの哀愁漂う民族音楽風のイントロから一気に緊張感あるリフに転調する。お約束感もあるものの、聴きごたえ満点。サビのメロディも秀逸、ソロもカッコいい。「The Final Frontier」では最高の曲だと思う。ライブアルバム「En Vivo」版も必聴。


27.Flight Of Icarus(1983)
傑作「Piece Of Mind」収録。このアルバムは「The Trooper」の存在感が抜けているが、秀逸な曲多し。この曲は勇壮なコーラスが魅力。コンパクトにまとまったアメリカ向けの曲ではあるものの、こういう曲を書けたからこそ、ただのNWOBHMバンドではとどまらなかったのだ。商業的なのかと言うと、そんなことは全然無いと思う。スティーブはこの曲を嫌い長らくライブではやっていなかったものの、2018年にセットリストに復帰した。「Live After Death」版も必聴。


26.Judas By My Guide(1992)
「Fear Of The Dark」収録。なぜベスト盤にももされずライブの定番にもならないのか分からない超名曲だと個人的には思う。メイデン史上最も過小評価されてるのではないかと思っている滅茶苦茶カッコいい曲。切れ味抜群のリフと拳を突き上げたくなるような「Aces High」ばりの勇壮なコーラスに鳥肌。どう聴いても1曲目の「Be Quick Or Be Dead」や2曲目の「From Hear To Eternity」よりいい曲なのだが、なぜかあまり知られていない。


25.Prowler(1980)
デビューアルバム1曲目。メロディアスなリフにメイデンらしさが感じられるが、この時のメイデンの魅力はそれ以上にフックのある展開とスピード感、そしてそれにマッチしたポール・ディアノのヴォーカルだと思う。メイデンの複雑な感じが苦手な人は少なくないと思うが、このデビューアルバムはマジでカッコいいので聴いて欲しい。NWOBHMらしい、少し雑なサウンドも味。


24.Revelations(1983)
「Piece Of Mind」収録。メロディアスで哀愁溢れるオープニングから攻撃的なリフへの転調というお家芸が一番分かりやすく表れてるのがこの曲だと思う。サビがどこなのかは良く分からない。リフがサビ。


23.For The Greater Good of God(2006)
「A Mattter Of Life And Death」収録。個人的にメイデンの凄さに初めて気づいたアルバムで、その中でも完成度が高いのがこの曲。ヘヴィでキャッチーさもあり、テーマが重厚。こんなに音楽にメッセージ、芸術性、才能の全てをぶち込み、しかも伝説のバンドであるにも関わらず最新作をライブで完全再現するというアーティストとしてのプライドに高校生の僕はマジでぶったまげた。一方では世間ではカスの様な音楽が流行っていて、なんじゃこりゃ世の中おかしいぜ、と僕は感じたのだった。派手な曲はないけど、今聴いてもなかなか凄いアルバムだと思う。


22.Ides Of March〜Wrathchild(1981)
「Killers」収録。ヘヴィメタルサウンドハウスという伊藤政則氏の年末のイベントに行っていた僕はこのイントロを知ってはいたものの(イベントはこのイントロから始まるのだ)それが「Ides Of March」だということはだいぶ後から知った。あろうことか「Killers」を聴いたことがなかったのだ。誰も教えてくれなかったし。ホラー映画的なこのイントロからパンクとメタルが融合したシンプルな「Wrathchild」への流れは理屈抜きでカッコいい。何の変哲も無い曲と言えば、まあそうかもしれない。


21.Children Of The Damned(1982)
「The Number Of The Beast」収録。派手な曲ではないが(特にこのアルバムの中では)、ブラック・サバス的な威圧感のあるホラー感が個人的にはとても好き。短い曲だけど、ちゃんとスピード転調もある。


20.Alexander The Great(1986)
「Somewhere In Time」収録。アルバムの最後は大作というお決まりに漏れずの長尺曲(8分台だからメイデン的には普通かもしれないけど)。勇壮な前半もいいが、4分くらいから始まるテンポのいい変調リズムとそこからのギターソロのぶつかり合いが劇的な名曲。


19.Dance Of Death(2003)
「Dance Of Death」のタイトルトラック。世間的な評判ではこのアルバムが21世紀メイデンの最高傑作とされている。静かな始まりからメタルチューンへの転調、ドラマチックでメロディアスなギターソロ、キャッチーな変拍子、メイデン要素の全てが詰め込まれた名曲。


18.Afraid To Shoot Strangers(1992)
「Fear Of The Dark」収録。静かというか語りかけるようなメロディから勇壮なメタルチューンに転調するのだが、この曲の醍醐味はギターメロディ。2分40秒と5分50秒から始まるメロディのフレーズがなにより劇的で感動的。湾岸戦争の恐怖がテーマとなっている。


17.Wickerman(2000)
「Brave New World」一曲目。ブルースとエイドリアン・スミスの凱旋カムバックを象徴するストレートなメタルチューン。ここから始まる21世紀の快進撃は80年代の黄金期をも上回る成功をバンドにもたらした。


16.Pachendale(2003)
「Dance Of Death」収録のエイドリアン・スミス作の大作。戦争をテーマにした曲で一番ズシンとくるのがこの曲だと思う。壮大なメロディを軸に複雑で緻密なアレンジを試みていて、例に漏れず情報量が多い。歌詞を読みながら聴くと泣けてくる。


15.Two Minutes To Midnight(1984
「Powerslave」収録。ライブには必須のどストレートな古典的メタルチューン。「Aces High」からこの曲への完璧な流れはメタル史に残る。


14.Seventh Son Of A Seventh Son(1988)
ファンの中では最高傑作との声も少なくない「Seventh Son Of A Seventh Son」タイトルトラック。大作だが、歌が入ってるのは4分半くらいまで。2つのパートに分かれており、息を飲む様な緊張感に満ちた前半〜間奏、サントラ的な壮大さを誇る後半と、交響曲を聴き進めていくようで感動的。この曲のカッコ良さを表現するのは中々難しい。


13.Iron Maiden(1980)
デビューアルバム収録、バンドのテーマソングに恥じない名曲。全体的にパンキッシュでありながら緊張感のあるメタルリフ、キャッチーなコーラスと、初期のメイデンも爆発的なエネルギーを凝縮した1曲。


12.If Eternity Should Fail(2015)
「Books Of Souls」1曲目。傑作のオープニングに相応しい名曲。不気味な雄叫びから始まる勇壮なギターメロディと古典的なメイデンリズム。第二次ブルース時代のメイデンのアルバムはどれも良作だったが、2015年になってこれほどの名盤を発表するとはほとんどの人は予想していなかった。


11.Powerslave(1984
ブルース作曲の「Powerslave」タイトル・トラック。荒々しく緊迫感溢れるブルースのヴォーカル、神懸かり的なデイヴ・マーレーのソロ
が見事な記念碑的楽曲。「Aces High」「Two Minutes Midnight」のインパクトが強いアルバムだが、佳曲多し。


10.Run To The Hills(1982)
NWOBHMバンドの一つに過ぎなかったメイデンが頭一つ抜け出して世界的バンドになったのは、こういう曲を書き、それを完璧に表現することが出来たからだ。ブルース時代最初のシングルとなったこの曲は商業的とまでは言わないものの、パンクをベースにしていた初期2枚の楽曲と比較すると親しみやすくアメリカ向けだった。


9.Wasted Years(1986)
「Caught Somewhere In Time」収録、エイドリアン・スミス作。バンド最高のシンガロングコーラスソング。ラジオ向けのメロディアスな曲だが、疾走するリフがめちゃくちゃカッコ良い。80年代L.Aメタル風のソロもとても良い。


8.The Number Of The Beast(1982)
ホラー風のナレーションとブルースの人間離れした高音シャウトで幕を開ける歴史的メタル・アンセム。「聖者の行進」を大胆に取り入れた斬新なメロディと歌いやすいコーラス、全編を覆う悪魔的祝祭感が最高の1曲。


7.Rhyme Of The Ancient Mariner(1984
「Powerslave」収録の14分間の叙事詩。2015年の「Empire Of The Clouds」(18分)が出るまではバンド史上最長曲だった。長尺ではあるものの劇的で緊張感あふれる展開が高密度にまとまっていて、さすがの構成力。歌詞の繰り返しが全く無いあたりが地味にヤバい。一本の映画を観ているような名曲。


6.Aces High(1984
メタル史上最高の曲に挙げる人も少なくないであろう「Powerslave」のオープニング・トラック。チャーチルのスピーチに始まるアドレナリンに満ちた勇壮なリフとコーラスは最強。ヘヴィ・メタルというのはこういうものだ的名曲。


5.Phantom Of The Opera(1980)
デビュー・アルバム収録。スティーブ・ハリスが最初に試みた独創的かつ重厚なプログレ楽曲。何やら螺旋を描くようなオープニングのリフから、飛び跳ねるような中盤へのドラマチックな曲展開は見事。リアルタイムで聴いたらさぞかし衝撃を受けただろうな、とつくづく感じる。


4.The Evil That Men Do(1988)
「Seventh Son Of A Seventh Son」収録の名曲中の名曲。渋さすら感じさせる哀愁溢れるギターメロディとブルースの歌声の融合が至高。メタルサウンドの海に飲まれそうになる4分半。


3.Fear Of The Dark(1992)
「Fear Of The Dark」タイトル・トラック。哀愁あるメロディをベースに静と動を行き来する劇的な展開はメイデンの真骨頂。25万人を動員した2002年のRock In Rioバージョンが決定版。不朽の名曲。


2.The Trooper(1983)
「Piece Of Mind」収録。超攻撃的なリフとブルースの吠えるようなヴォーカルを一気に体感できる時代を超越したメタルのお手本的名曲。サビのコーラスの歌詞が何故か無いが、そんなことは気にならない。全編がサビなのである。


1.Hallowed Be Thy Name(1982)
「The Number Of The Beast」収録。ホラー感ある叙情性、華やかな曲調、スリリングな場面展開、心地よいリズム感と劇的なメロディが組み合わさった、メタル史に残る完璧すぎる名曲。ブルースのオペラのごときヴォーカルと終盤のインストパートも悶絶モノ。


ヘヴィメタルというジャンルにおける最重要バンド、アイアン・メイデン。彼らは過去の栄光に捉われることなく、21世紀に入っても新たな傑作を生み続けている。2020年5月の日本公演はあいにくキャンセルとなってしまったが、このパンデミックが落ち着けば、また新たな楽曲を携えてツアーに戻ってくれるはずである。それまでの間は、偉大なるメタルの聖者たちの軌跡を改めて振り返り、焦らず待とう。

アメリカが産んだハードロック/ヘヴィメタルバンド48選(2021年時点)。

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 言うまでもなく、アメリカはロックミュージック最大の市場であり、また最大の輸出国である。あらゆるカルチャーの中心であり、世界はいつでもアメリカの方を向いている(いまのところは)。アメリカで成功することは、つまり世界で成功したのとほぼ同義である。
70年代の王道ロック、スラッシュメタルの登場、L.A.メタルとMTVカルチャー、そして21世紀のヘヴィロック。この巨大な市場からは星の数ほどのバンドが現れ、消えていった。下記で紹介するのはその中で歴史に名を残すことととなった、ほんの一握りの偉大なバンド達である。


Aerosmithエアロスミス
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言わずと知れたアメリカン・ロックの王者。ブルーズやR&Bをベースにしたブリティッシュ・ロック的なアプローチながらファンクやカントリーと言った要素も取り込み、また商業的なヒット曲も多く書いたことで名実ともに世界最大のロックバンドの一つとなった。日本ではキッス、クイーンとともに70年代の3大バンドと呼ばれる。


Kiss(キッス)
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ジーン・シモンズとポール・スタンレーを中心に結成された地獄のロック軍団。キャッチーなロックサウンドだけでなく、派手なメイクやエンターテインメントの限りを尽くしたライブパフォーマンス、大規模なグッズ展開など、以後のロック・カルチャーにも大きな影響を及ぼした。70年代の印象が強いが、80年代以降も優れたアルバムを制作し続けた。2019年のツアーをもって活動を終了。


Van Halenヴァン・ヘイレン
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1978年「炎の導火線」でデビュー、エディ・ヴァン・ヘイレンのライトハンド奏法が全世界に衝撃を与える。革命的なギターパフォーマンスと作曲能力の高さで世界的人気を博す。デイヴ・リー・ロス→サミー・ヘイガー→ゲイリー・シェローン→サミー・ヘイガ―→デイヴ・リー・ロスと回文的なヴォーカル変遷で活動を続けるも、2020年10月、エディの死去により活動は事実上終焉。


Journey(ジャーニー)
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産業ロックの王者。デビュー直後はプログレハードロックを披露していたが、大衆的な方向にシフト。劇的なプロダクション、感動的なメロディ、分厚いコーラスを全面に押し出したスタイルでジャンルを確立。2007年に新ヴォーカリストアーネル・ピネダが加入し、良作を2枚リリースするが、2011年の「Eclipse」を最後にアルバムリリースは無い状態が続いている。


Metallicaメタリカ
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1983年デビュー。1986年の歴史的傑作「Master Of Puppets(メタル・マスター)」でスラッシュメタルを、1990年「Metallica(ブラック・アルバム)」で以後のヘヴィミュージックを定義付けた、世界最大の影響力を誇るヘヴィメタルバンド。


Megadethメガデス
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デビュー前にメタリカをクビになったデイヴ・ムステインが結成、1985年デビュー。複雑なリフや、情け容赦ないツイン・ギターとリズム・セクション、社会的な歌詞が特徴だが、世界的バンドになり得たのは常にキャッチーさを忘れなかったから。Metallica以上にコンスタントにアルバムを作り続けていて、グラミー賞の常連でもある。


Slayer(スレイヤー)
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1983年デビュー、エクストリーム・メタルの始祖的存在。極限を超越した速度といかにも不気味な不協和音を巧みに構成したSlayerのサウンドは多くのフォロワーを産んだ。メンバーたちは悪魔崇拝主義者等では全くなく、「当時チャラついていたL.Aの奴らを怖がらせるのが愉快だった」(トム・アラヤ)。MetallicaMegadethAnthraxと共にスラッシュメタル四天王(Big 4)と称される。2019年、活動を終了。


Anthraxアンスラックス
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1983年デビュー、Big 4の一角。スラッシュメタルにとどまらずファンクやヒップホップの要素も取り込んだ自由な音楽スタイルで世界的な支持を得る。90年代以降のミクスチャー・ロックに多大な影響を与えた。


Guns n' roses(ガンズ・アンド・ローゼズ
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1987年、伝説的デビューアルバム「Appetite For Destruction」で登場。変幻自在のヴォーカリストアクセル・ローズと作曲の天才スラッシュにより一時代を築く。90年代後半以降活動を休止していたが、2008年に「Chinese Democracy」をリリース、2016年にはスラッシュとダフが復帰してのツアーを敢行。新作のリリースが待たれる。


Bon Joviボン・ジョヴィ
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1984年デビュー。「Livin' On A Prayer」「It's My Life」など不滅のアンセムや極上のバラードを書き続ける。21世紀に入ってからはよりメッセージ性の強い作風にシフトしているが、作曲能力の高さは健在。ルックスの良さも手伝い、アルバム総売り上げ1億3000万枚以上と、ハードロックバンドして最大の成功を収めている存在。


Motley Crue(モトリー・クルー
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華やかでキャッチーな音楽性、スキャンダラスなライフスタイルなど、80年代グラムメタルを象徴するバンド。2015年に解散ツアーを行うが、2019年に復活。アルバムを出すのかツアーをやるのかは、はっきりしていない。


Alice Cooperアリス・クーパー
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1969年デビュー。ロックミュージックとホラー、演劇を融合させた「ショックロック」の第一人者であり、後のロック文化に大きな影響を与えた重鎮。B級へヴィ・サウンドとアリス節のダミ声唱法で多くのキッズの人気を博した。気さくな人柄で「セサミ・ストリート」にも本人役で出演。


Mr.Big(ミスター・ビッグ)
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1989年デビュー。デイヴ・リー・ロス・バンド等で活躍していたビリー・シーンを中心に結成されたスーパーバンド。メロディアスなハードロックサウンドで取り分け日本で人気を博した。2008年に再結成後3枚アルバムをリリースしたが、2018年にパット・トーピー(ds)が死去。以降の活動については未定の状態となっている。


Dream Theater(ドリーム・シアター)
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1992年デビュー、名実ともにプログレメタルの頂点に立つバンド。高度な音楽理論に裏打ちされた緻密で劇的な構成と各メンバーの超人的な演奏技術で高い支持を得ている。


Cheap Trick(チープ・トリック)
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ハード・ポップの第一人者。先に日本でアイドル的人気で火が付き、1978年のライブ「at Budokan」で世界的人気バンドとなると同時に、コンサート会場としての日本武道館の存在を世界的な存在にした。現在も活動し続けており、不老不死っぷりはAerosmith以上。ハード・ポップの炎を絶やすまいとする多くの若手バンドたちからリスペクトを集め続けている。


Heart(ハート)
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女性ヴォーカルの本格的ハードロックバンドの先駆け的存在。Led Zeppelinグラムロックに影響を受けたロックサウンドをベースにしながらも商業的な曲も書き、世界的人気となった。今も現役で活動を続けている。


Slipknotスリップノット
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1999年デビュー。パンク・へヴィメタル・インダストリアル・ヒップホップをごった煮にして吐き出したようなカオスかつ攻撃的な音楽スタイル、圧巻のライブパフォーマンスでヘヴィミュージックファンを熱狂させる21世紀最大のモンスターバンド。


Pantera(パンテラ
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グルーヴを重視したギター・リフ、岩を粉砕するようなリズムで聴く者の身体を押しつぶさんばかりのヘヴィサウンドで90年代以降のヘヴィロックシーンに大きな影響を与えたバンドの一つ。2003年に解散、2004年ギタリストのダイムバッグ・ダレルがコンサート中に殺害されたことにより、再結成の道は潰えた。


Avenged Sevenfold(アヴェンジド・セブンフォールド)
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2001年デビュー。ラップメタル、ハードロックなど多様な音楽性を高次元でブレンドした独自のヘヴィメタルサウンドを確立、「Nightmare」はビルボードチャート1位を記録した。近年はプログレ的なアプローチも見られる。21世紀のメタルシーンを代表するバンドの一つ。


Marilin Manson(マリリン・マンソン
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1994年デビュー。反キリスト教といった過激なメッセージは社会問題にまで発展した。サウンド面ではメタルの重量感とエレクトロの享楽性を融合させた革新的なインダストリアルサウンドであり、シンガロングできるアンセムを多く作っている。


System Of A Downシステム・オブ・ア・ダウン
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スラッシュメタルプログレグランジ、ファンク、中東音楽などの要素を取り混ぜながら激しく歌い上げるヴォーカルと、なにやらコミカルな雰囲気が人気のヘヴィロックバンド。Slipknotと並ぶモンスターバンド、なのだが、最後のオリジナルアルバムは2005年にさかのぼる。2020年11月、15年ぶりとなる新曲3曲を発表も、アルバム制作については未定。


Mastodonマストドン
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2002年デビューのプログレメタルバンド。磨きのかかったヘヴィかつプログレッシヴなサウンドで唯一無二の世界観を築く。「Blood Mountains」(2006),「Crack The Sky」(2009)等名盤を発表しており、現代最高のヘヴィメタルバンドの一つとされる。


Tool(トゥール)
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現代のヘヴィロックシーンを代表するプログレメタルバンド。エキセントリックさとミステリアスさを兼ね備えた芸術的なサウンドですでにロックの重鎮の域に到達している。2019年にリリースしたアルバム「Fear Inoculum」はテイラー・スウィフト「Lover」を抜き去り3週連続ビルボードチャート1位を記録した。


Korn(コーン)
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1994年デビュー、いわゆるニューメタルムーブメントの先駆者。へヴィなリフと硬質なリズム、そしてヒップホップの要素を消化し切ったサウンドはヘヴィロック界の新たな扉を切り開いた。


Queensryche(クイーンズライク)
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1983年デビュー。1988年の3rd「Operation:Mindcrime」は正統派へヴィ・メタルとプログレッシヴ・ロックを融合したコンセプト・アルバムで、メタル史上10本の指に入る歴史的名盤。現在ジェフ・テイトは脱退し、トッド・ラ・トゥーレがヴォーカルを務める。



Manowar(マノウォー)
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「全ての偽メタルに死を」の信条のもと真のヘヴィメタルを追求し続けるキング・オブ・メタル。様式美に則った劇的な曲展開とヒロイズム漂う詞世界にこだわるストイックさは世界のメタラーからリスペクトを集める。「世界一音がデカいバンド」「世界一長いヘヴィメタルコンサート」としてギネスに登録された(前者は聴覚障害を促す恐れがある為現在は抹消)。ヘイル。


Machine Head (マシーン・ヘッド)
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ロブ・フリン(vo&g)を中心として92年に結成、1994年デビュー。PanteraやBiohazardらとともに90年代以降のグルーヴ・メタルを代表するバンドの一つ。鋭いギター・リフと硬質で重い爆裂サウンドは多くのフォロワーを産む。


Night Ranger(ナイト・レンジャー)
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日本でも非常に人気が高いアメリカン・ハードの代表格。ハードさと大衆性を兼ね備えた楽曲は、メタル・キッズのみならずポップ・ファンにもアピール。89年に解散も後に再結成、現役で活動中。


Skid Rowスキッド・ロウ
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ジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラが運営するレーベルのバックアップを受け1989年デビュー。パンキッシュなスピード感あふれるハードロックサウンド、名バラード、ヴォーカルのセバスチャン・バックの存在感などで一気に世界的人気バンドとなる。1998年にセバスチャン・バックは脱退したが、バンドは活動を順調に続けている。


Poison(ポイズン)
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L.Aメタルの代表格。その軽薄さあふれる(誉め言葉)パーティ・サウンドのため硬派メタルファンからは毛嫌いされ続けていた面もあるが、超ポップでキャッチーなロックサウンドの一方、ブルージーなバラードも得意としていて、ソングライティングは一流。今は楽曲の純粋な良さが認められ、多くのロックファンから愛される(イジられる)存在となっている。


Cinderella(シンデレラ)
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L.Aメタル代表バンド。ではあるものの、中心的存在であるヴォーカルのトム・キーファーは本格派のブルーズ・ロック志向であり、2nd「Long Cold Winter」以降はポップさと哀愁が見事に融合した骨太のハードロックで凄みを利かせる。歌心あふれるバラードも魅力。


Extreme(エクストリーム)
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ヌーノ・ベッテンコートを擁するハードロックバンド。ファンクやジャズを取り入れたサウンドを展開し、さらにはクイーンを彷彿とさせる壮大なプログレッシヴ・スタイルにも接近。「More Than Words」のヒットも重なり、絶大な人気を誇った。2008年に再結成。


Y&T
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ヴァン・ヘイレンと並ぶ西海岸ハードロックの至宝。切れ味抜群のリフ、印象に残るメロディ、重厚なコーラスと、アメリカン・ハードロックのテイストがすべて揃ったサウンドで日本でも根強い人気をを誇る。


Buckcherry(バックチェリー)
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1999年デビュー、現在に至るまで一貫してパンキッシュかつメロディアスなハードロックサウンドを作り続けている。2017年にバンドの核であったギタリストのキース・ネルソンとドラマーのザビエル・ムリエルが脱退するも、2019年発表の「Warpaint」では相変わらずの安定感。


Riot(ライオット)
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76年デビュー、取り分け日本の古参メタラーコミュニティ内で熱い支持と信頼を受ける正統派メロディックメタルバンド。哀愁のある旋律と泣きのツイン・リード・ギターを軸とした純度100%メタル・サウンドは日本人の心を捉え、アイドル歌手五十嵐夕記がカヴァーしてヒットしたほど。現在オリジナルメンバーは一人もいないものの、意志を継いだメンバー達により活動継続中。


Enuff Z' nuff(イナフ・ズナフ)
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1989年デビュー。The BeatlesCheap Trick譲りの、勢いやノリに頼らないメロディとドニー・ヴィーの切なく美しい歌声が魅力。現在も活動中。


Twisted Sister(トゥイステッド・シスター)
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「We're Not Gonna Take It」「I Wanna Rock」等メタルキッズ向けアンセムで人を博したディー・スナイダー率いるグラムメタルバンド。馬鹿っぽいイメージとは裏腹に「ロックは子供に悪影響か」が争点となったいわゆるPMRC裁判でも活躍した。


Testament(テスタメント)
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Metallica、Exodus等と並ぶベイエリア・スラッシュの代表格。切り裂くようなギター・リフと歌心あるメロディ・ラインで、独自のスラッシュサウンドを築き上げた。ヴォーカルのチャック・ビリーは難病を克服、さらに今年新型コロナウイルスにも感染したが無事回復。おめでとうございます。


Exodus(エクソダス
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ベイエリア最初のスラッシュメタルバンドとされ、四天王と並ぶ同ジャンルの先駆者。創設メンバーの中には現Metallicaのカーク・ハメットもいた。高速連射されるザクザクとしたリフとワイルドなシャウトが特徴的で、Testament、Death Angelらとともにベイエリア・クランチと呼ばれる。


Soulfly(ソウルフライ)
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元Sepulturaのマックス・カヴァレラが結成。Sepultura譲りのブラジルやアフリカ音楽を取り入れた豪快なヘヴィメタルサウンドが特徴。カヴァレラのヘヴィ・ミュージックへの愛情が感じられるサウンドは多くのロックファンから支持を集める。


The Black Crowes(ザ・ブラック・クロウズ
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1990年デビュー。ブルースをベースにしたヘヴィなギターとしゃがれたヴォーカルのクラシックロックを反映したサウンドで人気を博す。現在は解散し、ギタリストのリッチと旧メンバーがMagpie Saluteを結成、活動している。


Godsmack(ゴッドスマック)
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1996年デビュー、3作連続ビルボードチャート1位も達成した、現在アメリカを代表するヘヴィロックバンド。ダークでヘヴィながらキャッチーさを兼ね備えたグランジ系メタル。


Five Finger Death Punch(ファイヴ・フィンガー・デス・パンチ)
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2007年デビュー。強力なスラッシュサウンドと直球メタルを融合しつつもメロディアスなサウンドで大ブレイクし、2010年代で最も成功したメタルバンドの一つとなった。バラードもヒット。


Stone Sour(ストーン・サワー)
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Slipknotのヴォーカル、コリィ・テイラーが所属しているもう一つのバンド、というかこっちが先。2002年にデビューアルバムを出し、以降6枚のアルバムをリリース。ヘヴィかつ親しみやすいハードロックサウンドで世界的に高い支持を得ている。


Disturbed(ディスターブド)
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ロディアスなヴォーカルと鋼鉄度の高いソリッドなサウンドで世界的にブレイクを果たしたヘヴィロックバンド。 2011年に活動休止したが、2015年に活動再開を発表。


Steel Panther(スティール・パンサー)
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2009年にデビュー。Motley Crue風のコーラスを重視したメタルサウンド、馬鹿すぎるパフォーマンスと歌詞に80年代グラムメタルへの強烈な愛情を感じることが出来る。今までにリリースした4枚のアルバムは楽曲としてはどれも完成度が高く、ソングライティングの実力は一級品。こういうプロレス的な楽しみ方も今のメタラーには必須。


Halestorm(ヘイルストーム)
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2009年デビュー。爆走&キャッチーなロックサウンド、リジー・ヘイルの圧倒的なライブパフォーマンスとカリスマ性で徐々に人気を獲得。2018年にリリースした「Vicious」はチャート8位まで上がり、現代を代表するハードロックバンドの一つとなっている。


Greta Van Fleet(グレタ・ヴァン・フリート)
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2016年デビューの4人組。ブルースやフォークをベースにしたキャッチーなクラシックロックサウンドで、楽曲の完成度も極めて高いことから、「ロックの未来」と形容される今最注目の超大型若手バンド。

 
世界のロックカルチャーの中心であるアメリカだが、現在は新型コロナウイルスで時が止まった様になってしまっている。メンバー自身だけでなく、ツアークルーやコンサート会場のスタッフも仕事を失うなど、かつてない苦境に立たされている。しかし数年経てば、きっと皆活動を再開できる状態に戻るはず。それまでの間、今まで聴いたことがなかったアーティストを発掘したり、懐かしい曲を数年ぶりに聴き返したりしてみて欲しい。サブスクの場合は再生回数に応じてアーティストに小金が落ちるので、応援にもなるのだ。


世界が変化しているのであれば、変わらない方がいいものもある。 AC/DC「Power Up」レビュー

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 2014年の「Rock Or Bust」をリリースして以来、AC/DCには多くのことが起きた。アルバムのプロモーションツアー中に、バンドの支柱であるマルコム・ヤング認知症のために引退を余儀なくされ、ブライアン・ジョンソンも重度の聴覚障害のために脱退。ドラマーのフィル・ラッドは法的な問題でツアーには参加できず、2016年の最後のコンサートを持って、クリフ・ウィリアムスも引退を表明した。

アンガス・ヤングだけが残され、ツアーを完遂するためにアクセル・ローズの手を借りた。尊敬するバンドのピンチを見て、アクセルは自ら志願したのだ。足を骨折しながらもブライアン・ジョンソンの代役という大役をやってのけた彼はさすがであり、アクセルが救いの手を出していなければあの時点でAC/DCと言うバンドは完全に終わっていただろう。

そこに追い打ちをかけるように2017年、マルコム・ヤングがこの世を去る。ギターケースを片手に葬儀で悲しそうにたたずむアンガスの写真は、AC/DCの終焉を確信させるに充分過ぎる、ロック史上最も悲しい写真だった。しかしこのバンドの創設者の死は、メンバーを再び結び付けることとなった。

ブライアン、フィル、クリフは再び結集し、この17枚目のスタジオ・アルバム「Power Up」を見事に完成させたのだ。マルコムの遺志を継ぐために。全ての楽曲に共同作曲者としてマルコムの名前はクレジットされている。2008年の「Black Ice」の頃マルコムが書いた未使用の素材を一部ベースとしたこの作品は、アルバム全体がマルコム・ヤングへの追悼であるとも言える。40年前の「Back In Black」がボン・スコットへの追悼であったのと同じ様に。誰も聴けるとは思っていなかった12曲の新曲は、新型コロナウイルスアメリカ大統領選挙で世界が混乱に陥っている中でも、この偉大なロックバンドがそこに巨大な岩の様にあり続けるということを改めて証明している。

オープニングの「Realize」の最初の数秒を聴けば、この紆余曲折を経て作られたアルバムがこれまでのAC/DCのアルバムと変わらない、何の変哲もない最高の作品だということが予感できるはずだ。フィル・ラッド、クリフ・ウィリアムス、そしてマルコムの甥っ子スティーヴィー・ヤングのリズム隊の出すサウンドは、他者では真似のできないものであり、ブライアン・ジョンソンのヴォーカルも驚異的だ。「73歳なのに」「聴覚障害を克服したばかりなのに」という但し書きは彼には不要である。

アンガスのブルージーなソロが光る佳曲「Shot In The Dark」が先行シングルとなったが、ブライアンが「先行シングルを決めるのに悩んだ」と言う気持ちも理解できる。これほど優れた楽曲がまとまり良く並んだアルバムは、1990年の「Razor's Edge」にまで遡らないと無いかもしれない。

「Through The Mists Of Time」は恐らくこれまでのAC/DCには無かったスタイルの楽曲だ。メロディアスな音を紡いで作り上げていて、バラード風でもある。アルバムのハイライトの一つであり、新たな名曲の誕生と言っていいだろう。モダンなブルーズとストーンズ風のロックンロールが融合した「Kick You When You're Down」、一度聴いたら忘れられない強烈なリフをフィーチャーした「Demon Fire」、そして新たなアンセム「Code Red」、いずれもAC/DCの歴史に新たに刻まれる素晴らしい楽曲だ。

新型コロナウイルスの流行は、音楽シーンを大きく変えてしまった。コンサート、ツアー、アルバムリリースはことごとく延期され、欧米においては2022年までは集客イベントは厳しいというのが業界の一致した見解であり、AC/DCの今作に伴うツアーも出来たとして2022年になると思われる。

自分たちがどこにいるのか、どこに向かっているのかさえもわからないこの時代において、AC/DCはこれまでと同様の生命力とエネルギーに満ちた堂々たるアルバムを携えて帰ってきた。AC/DCというバンドがなぜ45年間先頭を走り続けてきたか。それはパンク、ディスコ、ニューウェーブ、グラム、スラッシュメタルグランジブリットポップ、テクノ、全ての流行に惑わされることなく、彼らのスタイルを貫き続けてきたからであり、メンバーの死、疫病の流行といった苦難もこの偉大なバンドを打ち砕くことはできない。AC/DCはまだまだ終わっていない。マルコムはこの作品を誇らしく思っているはずである。

 

 

 

メタリカの名曲20曲ランキング(2021年時点)。

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 影響力、売上、存在感という点を考慮すると、メタリカこそが史上最大のヘヴィメタルバンドである。スラッシュメタルの先駆者であり、90年代以降はヘヴィロックがメインストリームに浸透するための門戸を開く原動力となった。メタリカが居なければ今のヘヴィミュージックシーンはどうなっていたか、想像するのはとても難しい。「Kill' Em All」でのデビューから35年以上。ヘヴィミュージックシーンの絶対王者の名曲20曲を挙げる。

20.All Nightmare Long(2008)
「Death Magnetic」収録。前作『St Anger」に対するファンの酷評を受け、今作「Death Magenetic」については原点回帰のアプローチを試み、これが功を奏した。特にこの曲は、気迫あふれるヴォーカルと壮大なリフが特徴的。メタリカが今世紀にリリースした最高の曲の1つではないだろうか。

19.Whiplash(1983)
「Kill 'Em All」収録。荒々しい疾走感とひたすら刻みまくるリフ、スラッシュメタルの教科書的名曲。今でもライブの定番となっている。

18.Harvester Of Sorrow(1988)
「...And Justice For All」の大胆さと野心を集約した、同アルバムの先行シングルとなった曲。ガンズ・アンド・ローゼズのデビューアルバムに魅了されたラーズは、メタリカが新しいアプローチを取る時が来たと感じていた。やや単調な様にも聞こえるが、容赦の無い尖ったリフは鳥肌もの。

17.Moth Into The Flame(2016)
「Hardwired… To Self-Destruct」収録。比較的好意的に受け入れられた前作「Death Magnetic」から8年間のブランクがあったが、2016年夏にこの曲が先行リリースされると、「ブラック・アルバム」以降最高傑作との評価が浸透した。複雑さはないもののキャッチーかつ強力なヘヴィロック。エイミー・ワインハウスと彼女の依存症との闘いにインスピレーションを受けている。

16.Seek And Destroy(1983)
「Kill Em' All」収録の不朽の名曲。録音のクオリティが悪いが、古典的なリフと、何よりもクリフ・バートンの直感的なリズムが魅力的。それこそが当時のメタリカに取って、他のバンドとの違いを生むファクターXだったのだ。

15.Welcome Home(Sanitarium)(1986)
「Master Of Puppets」収録。「Master Of Puppets」は前作「Ride The Lightning」で確立させた黄金律を色んな意味で進化させている(とうか、微調整している)。この名曲は「Fade To Black」で確立されたスローでな陰鬱なムードをさらに強化。

14.Sad But True(1991)
「ブラック・アルバム」収録。ひたすらヘヴィなタメの利いたリズムと、パワフルなヴォーカルがカッコ良い。聴けば聴くほど味が出るグルーヴィーな名曲。「Enter Sandman」と並んでこのアルバムを象徴するような死ぬほど重いサウンド

13.Disaposable Heroes(1986)
「Master Of Puppets」収録。息もつかせないような縦ノリのリフの嵐とドラマチックな構成力。スラッシュメタル史に残る古典の一つ。ソープランドボーイ。

12.Ride The Lightning(1984
「Ride The Lightning」タイトル曲。グルーヴ感あるノコギリリフが死ぬほどカッコ良い。死、逃れられない運命という重厚なテーマ性も魅力。Halestormによるカバーも個人的には必聴。

11.Blackend(1988)
クリフという偉大な才能を失ったものの、80年代後半のメタリカは勢いは誰にも止められなかった。「Battery」を彷彿とさせつつもさらに曲の幅を広げるたこの名曲は、メタリカがクリフ無しで続けられるだけでなく、より大きなステージへステップアップしていくことを世界に証明した。

10.Nothing Else Matters(1991)
ジェィムズがガールフレンドに宛てて書いたラブソング。ジェイムズ自身は当初この曲はメタリカでやるべきじゃないと考えていたが、ラーズとボブ・ロックがアルバムに取り入れるよう説得。パワフルなギターソロに向かうように構成されたこのバラードは大ヒットとなり、バンドの重要な金字塔となった。ファンやメディアが勝手に作っていた境界線を自ら踏み外し、ヘヴィミュージックを表現する方法が多様であることを世界に証明した。

9.Orion(1986)
「The Call Of Ktulu」と並ぶインストの名作。クリフ・バートンのクラシックミュージックへのリスペクトあふれるこの曲は複雑に織り成されたメロディの結晶。美しく温かさを感じられる傑作であり、リリースからわずか6ヶ月後に亡くなった天才の不滅の遺産でもある。残されたメンバーはこの曲をライブで演奏するのに、20年もの期間を要した。ジェイムズはクリフへの追悼として、この曲ベースの音符を左腕に彫っている。

8.Unforgiven(1991)
「ブラック・アルバム」収録。美しくオーケストレーションされた完璧なメタルバラード。ジェイムズの歌のうまさが至極。

7.One(1988)
地雷を踏んだ歩兵が目を覚ますと、腕も足も五感も、心以外のすべてを失っていることに気づくというやや不気味な反戦ソング。哀愁あふれる前半と容赦ないツインリードの後半、という構成が見事な、メタリカ版「天国への階段」的名曲。

6.Fade To Black(1986)
「Ride The Lightning」収録。その後の「Welcome Home(Sanitarium)」や「One」のベースとなるバラードであり、悲しみに満ちたメロディと正義感に満ちた力強さが見事に融合している。Deep Purpleの「Child In Time」やJudas Priestの「Beyond The Realms Of Death」に匹敵する名曲。そういうのももともとバンドのバックグラウンドにはあったのだろうけど、「Kill' Em All」やるタイミングが無かったのだと思う。

5.Enter Sandman(1991)
「ブラックアルバム」1曲目。90年代以降のヘヴィミュージックを定義付けた影響力絶大な名曲。グルーヴィーなリフ、ジェイムズの歌心あふれるヴォーカル、タメの利いた重すぎるリズム隊のサウンドを、大金でプロデュース。複雑さは無いものの、言うまでもなく最高傑作の一つ。「Now I lay me down to sleep...」とつぶやいている子供はプロデューサー、ボブ・ロックの息子。

4.For Whom The Bell Trolls(1986)
「Ride The Lightning」収録。クリフ・バートンのベースリフを中心に構成されたこの名曲は、暴力の無益さと死の必然性がテーマ。シンプルな曲ながら、90年代以降のメタリカサウンドの原型ともいうべきヘヴィさを体感できる。「速さ」と「重さ」は異なることをメタリカは理解していたのだ。

3.Battery(1986)
「Master Of Puppets」オープニング。中世風のアコースティックのイントロから死角無しのスラッシュチューンへと突入していく。実はサンフランシスコのバッテリー・ストリート444番地にあるライブハウス「オールド・ウォルドーフ」へのオマージュらしい。電池ではない。

2.Creeping Death (1984
「Ride The Lightning」収録。雷のようなリフの連続と嵐のようなドラミング、「Die!Die!」コールなど、メタリカを偉大たらしめている全てをこの曲は表している。近年はライブのオープニング定番曲となっている。

1.Master Of Puppets(1986)
「Master~」タイトルトラック。4人全員によって書かれたこの4楽章の壮大な叙事詩はバンドの芸術性の頂点。ハンマーでぶっ叩くようなイントロからスローな中盤に至るまで、8分半にも及ぶ天才なリフで複雑に構成された名曲。この傑作が世界のメタルシーンに与えたインパクトを表現するのは難しい。


世界最大のヘヴィメタルバンド、メタリカ
現代のヘヴィロックシーンで彼らに影響を受けていないバンドなど存在しないといってもいい。ヘヴィメタルとメインストリームを橋渡しした最大の功労者であり、またスラッシュメタルを芸術に域に昇華させた最初のバンドでもある。改めてその進化の歴史を辿ってみよう。