海外メディアが報じる日本

海外メディアが日本の出来事をどう報じているか?解説付きで日々お届けします

平成の邦楽は全体的に良かった。

平成最後の紅白の締めをサザンとユーミンがかっさらってしまったことについて嘆いている平成の民がいるらしい。平成の日本の音楽はダメだったのか、と。しかしその心配は無いと僕は思う。邦楽のクオリティは上がっている。昭和の時のそれとは、比べ物にならないほど上がっている。

紅白をはじめ、テレビの音楽番組は「いい音楽を提供すること」を目的には動いていない。軸はあくまでも視聴率だ。J-Popファンなら、「なんでこの人紅白に出ないんだろう」と思うようなアーティストがきっといることだろう。そのアーティストは音楽的には優れているのかもしれないが、それより銭湯アイドルの方が視聴率が取れるとNHKが判断しただけのことである。それは間違っていると僕は思うのだが、これは企業の論理だから仕方ない。サザンとユーミンが最後に盛り上げたのは、世間が彼らを押しも押されもせぬ大御所だと認めているからである。タモリやたけしと同じだ。20年後には、平成世代の誰かが必ずあそこの位置にいる。

チャートの顔ぶれが酷すぎやしないか、との声も良く聴く。確かにチャートの上位は男女アイドルとEXILEグループに牛耳られていて世も末かと思わせる様相を呈している。しかしそれはCDの売り上げの話である。ストリーミングやダウンロードのランキングを見れば、才能ある若手アーティストの音楽がちゃんと聴かれていることが分かる。日本の多くのアイドルグループは音源をストリーミングさせないCD商法を取っている。しかし握手券販売目的で無駄なプラスチックを何十万枚もコピーするビジネスは、間違いなくすぐに淘汰される。僕は◯◯坂やジャニーズのアイドル自体を批判しているのでは全くない。彼らを取り巻いている構造が時代遅れだという話をしている。

とにかく、音楽が好きな人なら、より知名度が低く、より才能があるアーティストをきっと知っているだろう。邦楽のクオリティは確実に年々上がっている。星野源あいみょんSHISHAMOもSuperflyも、歌詞が英語でさえあれば世界で充分に通用するレベルだ。「なんで洋楽を聴く人が減ったんだろう」みたいな記事を僕はいくつか書いたが、「邦楽のクオリティが上がったから」というのも理由の一つだと思っている。昭和のアイドルや歌謡曲ばかりだった世界に、ツェッペリンとかクイーンとかマイケルジャクソンとかをぶち込まれたら、そりゃ洋楽派にもなるだろう。でも今は違う。

平成の日本は後世に誇っていい音楽、アーティストをたくさん産んだ。決して空白の30年間ではなかった。だから僕たちは次の世代のキッズに、「あのアーティストがデビューした時はそりゃあもう・・」と偉そうに吹いていいと思うのだ。

昭和世代にやられたようにだ。